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おもいだ
ふりがな文庫
“
憶出
(
おもいだ
)” の例文
『新著百種』について
憶出
(
おもいだ
)
されるは
薄倖
(
はっこう
)
の作家
北村三唖
(
きたむらさんあ
)
である。三唖は土佐の生れで、現内閣のバリバリで時めいてる
仙石貢
(
せんごくみつぐ
)
の
親戚
(
しんせき
)
である。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
八時を打っても、未だ奥様は
御寐
(
おやすみ
)
です。旦那様は炉辺で汁の香を嗅いで、
憶出
(
おもいだ
)
したように
少許
(
すこし
)
萎れておいでなさいました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お島は、最近の養家の人達の、自分に対するその時々の素振や
言
(
ことば
)
に、それと思い当ることばかり、
憶出
(
おもいだ
)
せて来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
跡で文三は
暫
(
しば
)
らくの間また腕を
拱
(
く
)
んで黙想していたが、フト何か
憶出
(
おもいだ
)
したような
面相
(
かおつき
)
をして、
起上
(
たちあが
)
ッて羽織だけを着替えて、帽子を片手に二階を降りた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ところが、この地に着いて、
偶然
(
ふと
)
私は
憶出
(
おもいだ
)
したのは、この米沢の近在の某寺院には、自分の母方の大伯父に当る、
某
(
なにがし
)
といえる老僧が
居
(
お
)
るという事であった。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
▼ もっと見る
それからは
先
(
ま
)
ず無事に家へ帰ったものの、
今日
(
こんにち
)
まで、こんな恐ろしい目に出会った事は
未
(
いま
)
だにない、今でも独りで居て
偶々
(
たまたま
)
憶出
(
おもいだ
)
すと、思わず戦慄するのである。
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
で、
弥
(
いよいよ
)
移居
(
ひっこし
)
を始めてこれに
一朝
(
ひとあさ
)
全潰
(
まるつぶ
)
れ。傷も
痛
(
いたん
)
だが、何のそれしきの事に
屈
(
めげ
)
るものか。もう健康な時の心持は
忘
(
わすれ
)
たようで、全く
憶出
(
おもいだ
)
せず、何となく
痛
(
いたみ
)
に
慣
(
なじ
)
んだ形だ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
それでもちろん私は
独逸
(
ドイツ
)
にいるそやつの
双生児
(
ふたご
)
兄弟を
憶出
(
おもいだ
)
して、それから手がかりをたどって——
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
その女の
談
(
はなし
)
に、
或
(
ある
)
時、その女が自分の親友と二人遠く離れて居て、二人の相互の感情が
通
(
かよ
)
うものか、
如何
(
どう
)
か、一つ実験をしようと、
前
(
ぜん
)
以
(
もっ
)
て約束をして、それから
後
(
のち
)
、お
互
(
たがい
)
に
憶出
(
おもいだ
)
した時
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
不思議なことに、名前は、何一つ、人の名も所の名も物の名も、全然
憶出
(
おもいだ
)
せない。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
近時は鴎外(のみならず他の文壇の友人)とも疎縁となって、折々の会合で同席する位に過ぎなかったが、それでも
憶出
(
おもいだ
)
せば限りない追懐がある。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
他人の中に育ってきたお蔭で、誰にも
痒
(
かゆ
)
いところへ手の
達
(
とど
)
くように気を使うことに慣れている自分が、若主人の
背
(
せなか
)
を、昨夜も流してやったことが
憶出
(
おもいだ
)
された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それをこうして居れば未だ
幾日
(
いくか
)
ごろごろして苦しむことか知れぬ。それにつけても
憶出
(
おもいだ
)
すは母の事。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
かと思うとフト口を
鉗
(
つぐ
)
んで
真面目
(
まじめ
)
に成ッて、
憶出
(
おもいだ
)
したように
額越
(
ひたえご
)
しに文三の顔を
眺
(
なが
)
めて、笑うでも無く笑わぬでもなく、不思議そうな
剣呑
(
けんのん
)
そうな奇々妙々な
顔色
(
がんしょく
)
をする。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
憶出
(
おもいだ
)
せばこの琴はまだ
妾
(
わたし
)
が先生の塾に
居
(
お
)
った時分
何時
(
いつ
)
ぞや
大阪
(
おおさか
)
に催された演奏会に、師の君につれられて行く時、
父君
(
ちちぎみ
)
が
妾
(
わたし
)
の初舞台の
祝
(
いわい
)
にと買い
賜
(
たま
)
われたものだ、
数千
(
すせん
)
人の聴客を
以
(
もっ
)
て満たされた
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
私は柏木のことばかり思続けました。
流行謡
(
はやりうた
)
を唄って
木綿機
(
もめんばた
)
を織っている時、
旅商人
(
たびあきんど
)
が
梭
(
おさ
)
の
音
(
ね
)
を賞めて通ったことを
憶出
(
おもいだ
)
しました。岡の畠へ通う道々妹と一緒に摘んだ
野苺
(
のいちご
)
の黄な実を憶出しました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幸田露伴
(
こうだろはん
)
はかつて『浮雲』を評して地質の断面図を見るようだといったが、『其面影』は断面図の代りに横浜出来の輸出向きの美人画を
憶出
(
おもいだ
)
させた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お島はそんな時、恩人の
子息
(
むすこ
)
で、今アメリカの方へ行っているという男のことなどを
憶出
(
おもいだ
)
していた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と不図何か
憶出
(
おもいだ
)
して我と我に
分疏
(
いいわけ
)
を言て見たが、まだ
何処
(
どこ
)
かくすぐられるようで……不安心で。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
むかしの幸福。今の苦痛……苦痛は兎角免れ得ぬにしろ、懐旧の念には責められたくない。昔を
憶出
(
おもいだ
)
せば自然と今の我身に引比べられて
遣瀬無
(
やるせな
)
いのは
創傷
(
きず
)
よりも
余程
(
よッぽど
)
いかぬ!
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
老込んだ証拠には、近頃は少し暇だと直ぐ過去を
憶出
(
おもいだ
)
す。いや
憶出
(
おもいだ
)
しても一向
憶出
(
おもいだ
)
し
栄
(
ばえ
)
のせぬ過去で、何一つ
仕出来
(
しでか
)
した事もない、どころじゃない、皆碌でもない事ばかりだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
孔雀
(
くじゃく
)
が豚を道連れにするエソップにでもありそうな図が
憶出
(
おもいだ
)
された。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と昔を
憶出
(
おもいだ
)
して塚原老人はカラカラと笑った。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
憶
常用漢字
中学
部首:⼼
16画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“憶”で始まる語句
憶
憶起
憶良
憶度
憶測
憶劫
憶病
憶面
憶付
憶却