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じょ
ふりがな文庫
“
恕
(
じょ
)” の例文
この
恕
(
じょ
)
と申すのが取りも直さず公徳の
出所
(
しゅっしょ
)
である。私も人間であるから時には大きな声をして歌などうたって見たくなる事がある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうだ、小生意気ではないか、——いいえ、星が流れたんです、
隕石
(
いんせき
)
でございます、——と云った、そればかりならばまだしも
恕
(
じょ
)
すね。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
多くの
艱難
(
かんなん
)
を経た後になって、何よりもまず力が必要であると、痛ましい告白をなすにいたったのは、
恕
(
じょ
)
すべきことではある。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
また今の文学者連中が
独
(
ひと
)
りでよがっているのもその人の道楽として
恕
(
じょ
)
すべきだが将来の小児にその困難を感ぜしめるのは
如何
(
いか
)
にも気の毒だね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
男女にして
一度
(
ひとた
)
びこれを犯すときは、既に夫婦の大倫を破り、
恕
(
じょ
)
の道を忘れて情を痛ましめたるものにして、敬愛の誠はこの時限りに断絶せざるを得ず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
就中
(
なかんずく
)
性欲に関する動作は、若し
刹那
(
せつな
)
に動いて、偶然提供せられた受用を
容
(
ゆる
)
すか
斥
(
しりぞ
)
けるかと云うだけが、問題になっているのなら、それは
恕
(
じょ
)
すべきである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
クライスラーやコルトーあたりならまだ
恕
(
じょ
)
すべしとしても、ジャズや流行小唄の歌い手などのいかがわしきものを入れるのは御免を蒙りたいものである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「不覚」というのは又其次で、これは其働きの当を得ぬもので、不覚の好く無いことは勿論であるが、聞怯じ見崩れをする者よりは少しは
恕
(
じょ
)
すべきものである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それに、ルグリ先生が椅子を薦められなんだことは、まあまあ
恕
(
じょ
)
すべきだ。其許の
丈
(
せい
)
が低いため、先生はきっと、もう腰かけているものと勘違いされたのだよ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「
可惜
(
あたら
)
、治国愛民の宝剣も、いかにせん持つ人もなき
末世
(
まっせ
)
とあってはぜひもない。霊あらば剣も
恕
(
じょ
)
せ。
猪肉売
(
いのこう
)
りの浪人の腰にあるよりは、むしろ池中に葬って——」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは
恕
(
じょ
)
だろうかな。自分にされたくないことを人に対して行わない、というのがそれだ。」
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
帰農ももとより労働の一機会ではあるが、棄てておいてももとの穴へ入っていくと見るのは、
恕
(
じょ
)
しがたい無理である。いったんあけ渡した空隙は必ず何ものかが充たしている。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この点を捉えてここに多少
恕
(
じょ
)
すべきものありと論ずるが如きは、以ての外の僻論である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
しかし怒る人間は怒を表わさないで憎んでいる人間よりもつねに
恕
(
じょ
)
せらるべきである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
ああ神よ
恕
(
じょ
)
し賜え、
爾
(
なんじ
)
は爾の子供を
傷
(
きずつ
)
けたり、彼は
痛
(
いたみ
)
のゆえに爾に近づくこと
能
(
あた
)
わざりしなり、爾は彼が祈らざる故に彼を捨てざりしなり、
否
(
い
)
な、彼が祈りし時に
勝
(
まさ
)
りて爾は彼を恵みたり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
古代のごとき人知のいまだ進まざりしときならば
恕
(
じょ
)
すべきも、今日のごとき教育も普及し、学問も開け、わが国はいわゆる東洋第一の文明国と、ほかより称せられ、自らも公言する以上は
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その功績に対して当然他の一切を
恕
(
じょ
)
しても
宜
(
よろ
)
しかろうと思います。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
世には
山師
(
やまし
)
流の医者も多けれどただ金まうけのためとばかりにてその方法の無効無害なるはなほ
恕
(
じょ
)
すべし、日本人は牛肉を食ふに及ばずなど言ふ
牽強附会
(
けんきょうふかい
)
の説をつくりちよつと旧弊家
丁髷
(
ちょんまげ
)
連を
籠絡
(
ろうらく
)
し
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「酒屋は
恕
(
じょ
)
すべしですが、女郎屋には僕も賛成出来ません」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
まあ
恕
(
じょ
)
すべきであると考えたであろう。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
それには
恕
(
じょ
)
すべき点もある。多くのフランス人自身でさえ、彼以上によくフランスの言葉を理解してはいなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
渠はしかく
活
(
い
)
きながら暗中に葬り去られつ。良人を殺せし妻ながら、諸君請う
恕
(
じょ
)
せられよ。あえて日光をあびせてもてこの憐むべき貞婦を
射殺
(
いころ
)
すなかれ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あるいはこれに反して我が身に一点の醜を包蔵せんか、満天下に無限の醜を放つものあるも、その醜は以て我が醜を
浄
(
きよ
)
むるに足らず、また
恕
(
じょ
)
するに足らず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
自死に毒を用いるのは
耻辱
(
ちじょく
)
を受けざる為で、クレオパトラの場合などはまだしも
恕
(
じょ
)
すべきだが、自分の利益の為に他を犠牲にして毒を飼う如きは何という卑しいことだろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一益
(
かずます
)
の場合は、その動きのつかなかったことも、
恕
(
じょ
)
さなければならなかった点は多い。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああはたして仁なりや、しかも一人の
渠
(
かれ
)
が残忍
苛酷
(
かこく
)
にして、
恕
(
じょ
)
すべき老車夫を懲罰し、
憐
(
あわれ
)
むべき母と子を厳責したりし
尽瘁
(
じんすい
)
を、
讃歎
(
さんたん
)
するもの無きはいかん。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ゆめゆめあるまじき事にして、徹頭徹尾、
恕
(
じょ
)
の一義を忘れず、
形体
(
からだ
)
こそ
二個
(
ふたり
)
に分かれたれども、その実は一身同体と心得て、始めて夫婦の人倫を全うするを得べし。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そのうえ、彼は
滑稽
(
こっけい
)
なことにあまり敏感ではなかった。彼は間もなく、それらの物品や人たちの饒舌な懇篤さに
馴
(
な
)
れてしまった。彼らに向かって何を
恕
(
じょ
)
しがたいことがあったろう。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
巧偸豪奪
(
こうゆごうだつ
)
という語は、宋の頃から既に
数〻
(
しばしば
)
見える語で、骨董好きの人〻には豪奪ということも自然と起らざるを得ぬことである。マアそれも
恕
(
じょ
)
すべきこととすれば恕すべきことである。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「無力の民には、そこは
恕
(
じょ
)
すべきところもあるが」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
残念ながら分らなかったというならまだも
恕
(
じょ
)
すべきであるに、先に将校に
検
(
しら
)
べられた時も、
前刻
(
さっき
)
吾
(
おれ
)
が聞いた時も、いいようもあろうものを、敵情なんざ聞こうとも、見ようとも思わなかったは
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
せめて
土産
(
みやげ
)
に敵情でも探つて来れば、まだ
言訳
(
いいわけ
)
もあるんだが、
刻苦
(
こっく
)
して探つても敵の用心が厳しくつて、残念ながら分らなかつたといふならまだも
恕
(
じょ
)
すべきであるに、先に将校に
検
(
しら
)
べられた時も
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恕
漢検準1級
部首:⼼
10画
“恕”を含む語句
寛恕
宥恕
忠恕
御寛恕
諒恕
仁恕
御仁恕
御宥恕
信夫恕軒
推恕
靄々仁恕
了恕
良恕
松岡恕菴
恕菴
恕庵
恕堂
御諒恕
御海恕
哀恕
...