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しのぶ
ふりがな文庫
“
忍
(
しのぶ
)” の例文
「
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
をか
)
」は上野谷中の高台である。「太郎稲荷」はむかし柳河藩主立花氏の下屋敷に在つて、文化のころから
流行
(
はや
)
りはじめた。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
坐右
(
ざゆう
)
の柱に
半折
(
はんせつ
)
に何やら書いて
貼
(
は
)
ってあるのを、からかいに来た友達が読んでみると、「今は
音
(
ね
)
を
忍
(
しのぶ
)
が
岡
(
おか
)
の
時鳥
(
ほととぎす
)
いつか雲井のよそに名のらむ」
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
昨日今日、
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
おか
)
の花の雲は、八百八町どこからも、薄紅色の衣をたなびかせた天女のように見えはじめて、遠くの富士と
一対
(
いっつい
)
の美景になった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忍
(
しのぶ
)
が
岡
(
おか
)
と太郎
稲荷
(
いなり
)
の森の梢には
朝陽
(
あさひ
)
が際立ッて
映
(
あた
)
ッている。
入谷
(
いりや
)
はなお半分
靄
(
もや
)
に包まれ、吉原
田甫
(
たんぼ
)
は一面の霜である。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
御主人と
忍
(
しのぶ
)
さんは、決して仲の良い
親娘
(
おやこ
)
ぢやないけれど、お道坊が飛び込んで來たのも無理はありません。
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
其の
中
(
うち
)
上野の
夜
(
よ
)
の八ツの
鐘
(
かね
)
がボーンと
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
おか
)
の池に響き、
向
(
むこう
)
ヶ
岡
(
おか
)
の清水の流れる音がそよ/\と聞え、山に当る秋風の音ばかりで、
陰々寂寞
(
いん/\せきばく
)
世間がしんとすると
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
気が
塞
(
つま
)
って来ると、笹村はぶらぶら家の方へ行って見た。家には近所の
菎蒻閻魔
(
こんにゃくえんま
)
の縁日から買って来た
忍
(
しのぶ
)
が
檐
(
のき
)
に釣られ、子供の悦ぶ金魚鉢などがおかれてあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その悪疾は、今は草吉の妻であり、以前は港の売春婦であつた
忍
(
しのぶ
)
が彼にうつしたものであつた。
蒼茫夢
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
時を移さず姿をやつして、鳥追い
笠
(
がさ
)
に、あだめかしい
緋色
(
ひいろ
)
の
裳裾
(
もすそ
)
をちらちらさせつつ、
三味線
(
しゃみせん
)
片手にお由がやって参りましたので、名人は待ちうけながら、ただちに
忍
(
しのぶ
)
ガ
岡
(
おか
)
目ざしました。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
むかし
思
(
おも
)
へば
忍
(
しのぶ
)
が
岡
(
おか
)
の
名
(
な
)
も
悲
(
かな
)
しき
上野
(
うへの
)
の
背面
(
うしろ
)
谷中
(
や か
)
のさとに
形
(
かた
)
ばかりの
枝折門
(
しをりもん
)
、
春
(
はる
)
は
立
(
たち
)
どまりて
御覽
(
ごらん
)
ぜよ、
片枝
(
かたえ
)
さし
出
(
だ
)
す
垣
(
かき
)
ごしの
紅梅
(
こうばい
)
の
色
(
いろ
)
ゆかしと
延
(
の
)
びあがれど、
見
(
み
)
ゆるは
萱
(
かや
)
ぶきの
軒端
(
のきば
)
ばかり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
新樹、つり
忍
(
しのぶ
)
、羽蟻、菖蒲湯、そういった時令が俳句に詠み込まれる、立夏に近い頃だったので、杉の木立の間を洩れて、射し入る月光はわけてもすがすがしく地に敷いては霜のように見えた。
一枚絵の女
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
翌二十四年の一月には
鳥越
(
とりこえ
)
の中村座に出勤して、一番目の「
八陣
(
はちじん
)
」で
主計之助
(
かずえのすけ
)
、中幕の「
合邦
(
がっぽう
)
」で俊徳丸、二番目の「
忍
(
しのぶ
)
の
惣太
(
そうだ
)
」で松若をつとめていたが、舞台の活気はすこしも衰えなかった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
おか
)
」は上野谷中の高台である。「太郎稲荷」はむかし
柳河
(
やながわ
)
藩主立花氏の
下屋敷
(
しもやしき
)
にあって、文化のころから
流行
(
はや
)
りはじめた。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
作者河竹新七は後の黙阿弥で、所謂天地人に象つた作は「
吾嬬下
(
あづまくだり
)
五十三次」である。此年新七は、三月に中村座から転じて来て、
忍
(
しのぶ
)
の総太を演じた四代目市川小団次に接近した。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「その刄物は、女持ちの
華奢
(
きやしや
)
なものだ。娘の
忍
(
しのぶ
)
が、母から讓られたものだといふよ」
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吹かすばかりか、先日は
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
おか
)
で、この山手組へ生意気な腕立て
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「行く先ゃ
忍
(
しのぶ
)
ガ
岡
(
おか
)
の天海寺だ。急いでやりな」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
忍
(
しのぶ
)
ヶ
岡
(
おか
)
と太郎稲荷の森の梢には
朝陽
(
あさひ
)
が際立ッて
映
(
あた
)
ッている。
入谷
(
いりや
)
はなお半分
靄
(
もや
)
に包まれ、
吉原田甫
(
よしわらたんぼ
)
は一面の霜である。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
不老不死の靈藥よりは、もつと利き目のあつたらしい、
看板
(
かんばん
)
娘の
忍
(
しのぶ
)
と名乘るまでもありません。長い眉毛と、大きい眼と、品の良い頬から襟のあたり、俯向いた姿はまことに非凡です。
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
忍
常用漢字
中学
部首:⼼
7画
“忍”を含む語句
堪忍
忍耐
忍冬
忍返
耐忍
忍坂
不忍池
忍術
忍入
忍川
忍笑
忍耐力
陰忍
忍路
不忍
忍辱
残忍
勘忍
忍込
忍草
...