“しのぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シノブ
語句割合
33.3%
信夫31.1%
15.6%
忍艸8.9%
忍草8.9%
忍竹2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
坐右ざゆうの柱に半折はんせつに何やら書いてってあるのを、からかいに来た友達が読んでみると、「今はしのぶおか時鳥ほととぎすいつか雲井のよそに名のらむ」
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おな白石しろいし在所ざいしようまれなる、宮城野みやぎの信夫しのぶふを、芝居しばゐにてたるさへなにとやらむ初鰹はつがつをころうれしからず。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しのぶを仕立てる場所について、植木室うえきむろの側を折れ曲ると、そこには盆栽棚が造り並べてある。香の無い、とは言え誘惑するように美しいべんの花が盛んに咲乱れている。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
のきにつり忍艸しのぶ、これは正太しようたうま買物かひものえぬ、理由わけしらぬひと小首こくびやかたぶけん。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ずっと陽照りつづきで檐下のきした忍草しのぶまでグッタリと首を垂れている。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは不弥うみの国から引き上げて来た奴国なこく兵士つわものたちの明りであった。訶和郎と香取は忍竹しのぶを連ねた簀垣すがきの中に身をひそめて、彼らの近づくのを待っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
大兄の哄笑こうしょう忍竹しのぶを連ねた瑞籬みずがきの横で起ると、夕闇ゆうやみの微風に揺れているかしわほこだちの傍まで続いていった。卑弥呼は染衣しめごろもそでみながら、遠く松の茂みの中へ消えて行く大兄の姿を見詰めていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)