弱味よわみ)” の例文
敵にうしろを見せたためしのないわが甲軍が、織田の援軍が近づくと聞くやいな、逃げ走ったと聞えたら、ふたたびこの汚名と弱味よわみぬぐわれませぬぞ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
べつ自分じぶんがそれについて弱味よわみつてないにしてもさ、ながあひだにはなんだか不安ふあんを感じてさうな氣持きもちがするね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
をつとおもはずをそらした。すつかり弱味よわみかれたかんじで内心ないしんまゐつた。が、そこでつま非難ひなんをすなほにけとるためにはをつと氣質きしつはあまりに我儘わがままで、をしみがつよかつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
かれ弱味よわみのある自分じぶんおそれをいだきつゝ、入口いりぐちつめたい廊下らうかあしした。廊下らうかながつゞいた。右側みぎがはにあるへやこと/″\くらかつた。かどふたまがると、むかふはづれの障子しやうじ灯影ひかげした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人の弱味よわみを見るに上手じょうずなこの群集動物は、相手を見くびると脅迫きょうはくする、かなわない時は味方みかたを呼ぶ、味方はこの山々谷々から呼応して来るのですから、初めて通る人は全くおどかされてしまいます。
表町おもてまちとて横町よこちやうとておな教塲けうじやうにおしならべば朋輩ほうばいかわりははづを、をかしきへだてと常日頃つねひごろ意地いぢち、れはをんなの、とてもかなひがたき弱味よわみをば付目つけめにして、まつりの處爲しうちはいかなる卑怯ひきやうぞや
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
良人おっとほうでもすこしも弱味よわみせず、落付おちつきはらった様子ようすをしていました。