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幸先
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さいさき
ふりがな文庫
“
幸先
(
さいさき
)” の例文
思案はもう沢山だわ、——とにかく
幸先
(
さいさき
)
はいいんだから、さあ早く服を着かえて、一緒にマーシェンカのところへ行きましょうよ。
真珠の首飾り:――クリスマスの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
「僕はほゞ方針を
定
(
き
)
めて、君のところへ相談に来たんだ。折から忠臣蔵を見せて貰ったのは
幸先
(
さいさき
)
が好い。もう決心の
臍
(
ほぞ
)
を固めたよ」
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「それはそうだ、身の一命すらあしたの先は。しかし今日の
幸先
(
さいさき
)
は上首尾でございましたな。時も時、源家重代の白旗が授かるなどは」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雪之丞は、
東下
(
あずまくだ
)
りをしたばかりの、今日、この二人の恩人たちに、会うことが、出来たということが、何となく、
幸先
(
さいさき
)
がいいように思われる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「結構、事の血祭りに幕府の
間諜
(
いぬ
)
を斬れ、伊賀の上野とは
幸先
(
さいさき
)
がよい、やい幕府の間諜、表へ出ろ、荒木が三十六番斬りの名所を見せてやる」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「これ、お
父
(
とう
)
さんに、あげてよ。」と、
少年
(
しょうねん
)
はすずめを
清
(
きよし
)
くんにあたえて、ひとり
幸先
(
さいさき
)
のいいのをよろこんで、
野原
(
のはら
)
の
方
(
ほう
)
をさして
出
(
で
)
かけました。
すずめを打つ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
番太の小屋でガラッ八の帰りを待っていた平次、
幸先
(
さいさき
)
が悪いと見たか、やおら立上がって、煙草入を腰に落します。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ナルモヴは笑いながら、ヘルマンが長いあいだ守っていた——骨牌を手にしないという誓いを破ったことを祝って、彼のために
幸先
(
さいさき
)
のいいように望んだ。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
品川のはずれまで魚心堂が見送りに出て、
幸先
(
さいさき
)
を祝って四人のうしろから扇子の風を送った……四人旅、悲しく死んだお妙の泪のような
日照
(
ひで
)
り
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れて……。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
隣近所に男は頼みに行って見たもののおよそ小豆と名のつくものは、依然、一粒もなかった。ただの小豆ではあったが
幸先
(
さいさき
)
を祝うものゆえ、夫の失望は大きかった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
何となく
幸先
(
さいさき
)
が悪いような気がし、東京では又ロクでもないことが起るのではないか、二度あることは三度である、と云うような予感がしないではなかったのであるが
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「やあ
幸先
(
さいさき
)
がいゝぞ。どこもかしこもニュースばかりだ。それ、こゝにも奇談の種がある」
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
二上
(
ふたかみ
)
山の大阪の道から行つても跛や盲に遇うだろう。ただ
紀伊
(
きい
)
の道こそは
幸先
(
さいさき
)
のよい道であると
占
(
うらな
)
つて出ておいでになつた時に、到る處毎に
品遲部
(
ほむじべ
)
の人民をお定めになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
何の変事も起こらず無事にプリューメ街を去ったのは、既に
幸先
(
さいさき
)
のいい一歩だった。これからたとい数カ月でも国を去ってロンドンに行くことは、おそらく賢いやり方に違いない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
……
占
(
し
)
めた……名探偵名探偵。何という
幸先
(
さいさき
)
のいい発見だろう……これは……。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
伯父にとつては恐らく最後の新しい
首途
(
かどで
)
の前に、斯うした不幸が突然起つて、その
幸先
(
さいさき
)
を
挫
(
くじ
)
かれたので、何か不吉な前兆ででもあるかの如く、彼をしてこの新事業の前途を危ぶみ怖れしめた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「
幸先
(
さいさき
)
がいい」と私は思った。そして十二時になるとすぐに座を立った。
微笑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
幸先
(
さいさき
)
良しと勇みたった経正は、喜び勇んで湖岸の陣所に戻っていった。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ところが、いざ出発という間際に、
甚
(
はなは
)
だ
幸先
(
さいさき
)
の悪い出来事が起った。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とにかく、
幸先
(
さいさき
)
はわるくない。私はまた紫の煙草に火をつける。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「
幸先
(
さいさき
)
よしだ。兵糧その他、戦利品も莫大な数にのぼろう。かかる
大捷
(
たいしょう
)
を博したのも、日頃の鍛錬があればこそ——やはり平常が大事だな」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「五十七八にしても、兎に角、若い頃家で勉強して御出世をなすった長倉さんに仲人をして戴けば、
幸先
(
さいさき
)
が好いと申すものでございましょう」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
明日の合戦
幸先
(
さいさき
)
よし、上方では
初陣
(
ういじん
)
、ここでがんりきの腕を見せて、甲州無宿の腕は、片一方でさえこんなもの、というところを
贅六
(
ぜいろく
)
に見せてやる。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
番太の小屋でガラツ八の歸りを待つて居た平次、
幸先
(
さいさき
)
が惡いと見たか、やをら立上がつて、煙草入を腰に落します。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
テナルディエは
幸先
(
さいさき
)
がいいと思っていた。ある日マニョンがその月分の十フランを持ってきた時、彼はふとこんなことを言った、「そろそろ父親から教育もしてもらわなくちゃならん。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
幸先
(
さいさき
)
が悪いとか何とか云うことは問題でないとしても、ボーイや女給たちがあの時のことを覚えていて、ああ又あのお嬢さんが見合いしてはる、と云う風な眼で見られたら不愉快である
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なにしろマア、ここでひさしぶりに茶壺らしい物を拝むとは、
幸先
(
さいさき
)
がいい。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この成功を、ノルゲ号の人々は
幸先
(
さいさき
)
がよいといつて喜びました。
北極のアムンセン
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「今夜は
幸先
(
さいさき
)
がいいぞ」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
月は弓張る
幸先
(
さいさき
)
に
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「すぐ御一見あって——たしかに瀬兵衛よ、と仰せられ、左右の方々を顧みて、
幸先
(
さいさき
)
よいぞ、めでたい——といよいよ御機嫌の
体
(
てい
)
にお見うけ申されました」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
結婚式を明後日に控えている折から、見習が社員に進んで俸給が十円上ったのは好い
幸先
(
さいさき
)
だった。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「せっかくだが、そいつはよそう、
悪銭
(
あくせん
)
身に着かずということになると
幸先
(
さいさき
)
がよくねえからな」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
このあんばいでは、海も順風、鳴門の
浪
(
なみ
)
にも大してもまれることはなかろう、まず、船出の
幸先
(
さいさき
)
は上々吉だ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう種類の人間には、
幸先
(
さいさき
)
や、
辻占
(
つじうら
)
というようなものを、存外細かく神経にかけることがあるもので、七兵衛はそれほどではないが、全く無頓着というわけでもありません。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「君、こゝは『叶』って家だね。縁談の打ち合せに『叶』とは
幸先
(
さいさき
)
が好い」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と、本陣の義元へ見参に入れ、
幸先
(
さいさき
)
よき味方の勝利を
祝
(
ことほ
)
ごうとて、これへ
齎
(
もたら
)
して来たものだった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃美濃と近江との境で、ちょっとこんな地理的遊戯を試みて、行きこし旅の
幸先
(
さいさき
)
を祝うということも、ありそうなことで、無からしめるほどの必要もなかったものでしょう。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「好い
幸先
(
さいさき
)
ですわ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今日は
幸先
(
さいさき
)
がいいと思って出て来てみると、現場へ来てはカスの食い通し。こんな日にゃ、出る目も出ねえ、ちぇッ面白くもねえと、がんりきが唾を
噛
(
か
)
んでやたらに吐き出しました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上洛陣の門出、
幸先
(
さいさき
)
よしと、すでに慢心な致して、兵馬も誇り立ち、戦気も怠ってあろうずと存ぜられまする。——天機は今、不意を衝いて、義元の幕中へ、攻め入らば、お味方の勝ちは必定
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
幸先
(
さいさき
)
よし」と、勇躍して、さらに次の作戦に向って、満を持していた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いけねえ、
草鞋
(
わらじ
)
が切れちゃった、
幸先
(
さいさき
)
がよくねえや、ちぇッ」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「戦はこれからだ。しかも
幸先
(
さいさき
)
はいい」と、士気を鼓舞していた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸先
(
さいさき
)
よしと、黄蓋は、
纜
(
ともづな
)
を解いて、一斉に発動を命令した。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
幸先
(
さいさき
)
いいぞ、御車を
遣
(
や
)
れい」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「じゃあ母上、お供して参ります。いきなり合戦に出会うなどということは、御奉公には
幸先
(
さいさき
)
のよいことですが、武運次第では、これがお別れにならないとも限りません。……その折りは、茂助はなかった子と、おあきらめ下さいまして」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「三州入りの、
幸先
(
さいさき
)
よいぞ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よしっ、
幸先
(
さいさき
)
は上々!」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえすがえす
幸先
(
さいさき
)
はよい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸
常用漢字
小3
部首:⼲
8画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“幸”で始まる語句
幸
幸福
幸運
幸手
幸福者
幸子
幸若
幸甚
幸吉
幸村