いね)” の例文
旧字:
「それにつきては一条ひとくだりのもの語りあり、われもこよいはなにゆえかいねられねば、起きて語り聞かせん」とうべないぬ。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
源叔父はこのさま見るや、眠くば寝よとやさしくいい、みずから床敷きて布団ふとんかけてやりなどす。紀州のいねし後、翁は一人炉の前に坐り、眼を閉じて動かず。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いやいや、現に、昨夜は、獄舎にいね、きょうは門前まで、不浄者の放免などに、送られて来たと、われ自身、告げよったことではないか。……いかん、いかん。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一 女は常に心遣こころづかひして其身を堅くつつしみまもるべし。朝早く起き夜は遅くね、昼はいねずして家の内のことに心を用ひ、おりぬいうみつむぎおこたるべからず。又茶酒など多くのむべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
道家の説にほう姓の三あって常に人身中にあり、人のために罪を伺察し庚申の日ごとに天に上って上帝に告ぐる故、この夜いねずして三尸を守るとあって、その風わが邦にも移り
或時あるとき故人こじん鵬斎先生ばうさいせんせいより菓子一をりおくれり、その夜いねんとする時狐の事をおもひ、かの菓子折を紵縄をなはにてしかくゝ天井てんじやうへ高くりおき、かくてはかれがじゆつほどこしがたからんとみづからほこりしに
おほかたに遊び足りたり夜ふけたり子らよいねなむまた明日もあらむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わがころも夜具やぐ仕換しかへてつつましくいねてけり月夜つくよ夜ざくら
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
玉クシゲ三室ノ山ノ、狭名さなカヅラいねズバ遂ニ、有リカツマジシ。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
かへりおそきわれを待ちかねいねし子の枕辺まくらべにおく小さき包
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
門の戸けよ。風流男みやびおいねず。
夜はたれとかいね
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「それにつきては一条ひとくだりのものがたりあり、われもこよひは何ゆゑかいねられねば、起きて語り聞かせむ。」とうべなひぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「安土のお城に、まだ人々はいねもせず、夜をかしているとみゆる」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
縁の戸にひびく霜夜の玻璃のひゞひたなげきいねず御宝我は
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
常陸ひたちすけいね
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただいねましものを
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いねたるはだもよし
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただいねましを
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)