家財かざい)” の例文
かくてのちおとゝ別家べつけする時家の物二ツにわかちて弟にあたへんと母のいひしに、弟は家財かざいのぞまず光る石を持去もちさらんといふ。
看護みとりもせず其上家財かざい着類きるゐ金子迄掻集かきあつめ家出なし三年の今日迄行衞ゆくゑ知ず母には實の娘一人ありけるが夫を同伴ともなひて此家を出しは我が家の次第にかたむく身代に見切を付て他へうつおん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だがその時代は、学生生活はたいへん苦しいときであったうえに、雨谷君の実家は大水おおみずのために家屋かおく家財かざいごと流され、ほとんど、無一物むいちぶつにひとしいあわれな状態になっていた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それでもおほきな建物たてもの燒盡せうじんするには時間じかんえうした。あひだ村落むらもの手當てあた次第しだい家財かざいつてれを安全あんぜん地位ちゐうつした。てんおい白晝はくちう動作どうさ敏活びんくわつ容易よういであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その混亂こんらんのあとには、持出もちだした家財かざい金目かなめのものがすくなからず紛失ふんしつした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくてのちおとゝ別家べつけする時家の物二ツにわかちて弟にあたへんと母のいひしに、弟は家財かざいのぞまず光る石を持去もちさらんといふ。
さらさんよりいつそ江戸の淺草にて水茶屋渡世の甚兵衞は從弟いとこえんもある事故彼を便たよりて行ならば又よき手段しゆだんも有べきやと心の内に思ひを定め賣殘したる家財かざいを集め金にかへつゝ當歳の子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勝手かつての方へ立いで見れば家内かないの男女狂気きやうきのごとくかけまはりて、家財かざいを水にながさじと手当てあたりしだいに取退とりのくる。水はひくきに随てうしほのごとくおしきたり、すでたゝみひたにはみなぎる。
仕舞しまひ家財かざいうり路銀ろぎんとなし母子おやこ二人江戸へ立出馬喰町ばくろちやう定宿ぢやうやど武藏屋清兵衞方へ宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兄がいはく、光る石をひろしは我がくはだてなり、なんぢは我がちからたすけしのみなり、光る石は親のゆづりにあらず、兄が物なり。家財かざいわかつならばおやのゆづりをこそわかつべけれ、あたふまじ/\。
兄がいはく、光る石をひろしは我がくはだてなり、なんぢは我がちからたすけしのみなり、光る石は親のゆづりにあらず、兄が物なり。家財かざいわかつならばおやのゆづりをこそわかつべけれ、あたふまじ/\。
家財かざいはのこらず目前もくぜんけむりとなりぬ。