トップ
>
安値
>
やす
ふりがな文庫
“
安値
(
やす
)” の例文
この先もう一苦労してもいい相手だから、ずいぶん
安値
(
やす
)
いものにつくが……などと彼の頭はやはり、
算盤
(
そろばん
)
とは縁が断ち切れなかった。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
他
(
ほか
)
の書生がこんな事に出会ったりなどして、
如何
(
いか
)
にも気味が
悪
(
わ
)
るかったから、
安値
(
やす
)
くってよかったが、とうとう御免
蒙
(
こうむ
)
ったのであった。
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
あちら此方と
安値
(
やす
)
そうな間を借りては其処から局に通って、午前出の時は午後を針仕事に、午後出の時は午前を針仕事に
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
魚屋の盤台の鱸は……実は余りお
安値
(
やす
)
からず涼しく、ものにつけ涼しからぬはこれなく候。
逗子より
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊
(
こと
)
に便所は座敷の
傍
(
わき
)
の細い
濡椽
(
ぬれえん
)
伝いに
母家
(
おもや
)
と離れている様な具合、当人も
頗
(
すこぶ
)
る気に入ったので
直
(
すぐ
)
に
家主
(
やぬし
)
の
家
(
うち
)
へ行って相談してみると、
屋賃
(
やちん
)
も思ったより
安値
(
やす
)
いから非常に喜んで
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
▼ もっと見る
安値
(
やす
)
いリボンと息を吐き
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
私にもあまり
好
(
い
)
い気持がしなかったが、
何分
(
なにぶん
)
安値
(
やす
)
くもあるし、
賑
(
にぎや
)
かでもあったので、ついつい
其処
(
そこ
)
に居たのであった。
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
安値
(
やす
)
いものだ。……私は、その言い値に買おうと思って、声を掛けようとしたが、
隙
(
すき
)
がない。女が手を離すのと、笊を
引手繰
(
ひったく
)
るのと一所で、古女房はすたすたと土間へ入って
行
(
ゆ
)
く。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
場末の怪しげな
安値
(
やす
)
いおでんや兼業の河豚屋などへ首をつッ込み、近海もののトラ河豚の水っぽいのを食べて、帰り途に、中風のなりかかりみたいに、唇を痙攣させて欣んでいる連中もある。
河豚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何しろ
滅法
(
めっぽう
)
安値
(
やす
)
い家で、立派な
門構
(
もんがまえ
)
に、庭も広し、座敷も
七間
(
ななま
)
あって、それで家賃が
僅
(
わず
)
かに月三円五十銭というのだから、当時まだ
独身者
(
ひとりもの
)
の自分には、願ったり
適
(
かな
)
ったりだと喜んで
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
自分の胸だけで、もう決めていたような
口吻
(
くちぶり
)
だった。清吉はむしろ思う
壺
(
つぼ
)
だった。百五十両が、この女の
身代
(
みのしろ
)
になるならばむしろ
安値
(
やす
)
いものだという
算盤
(
そろばん
)
が——無意識のうちに胸で働いていた。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
針
(
はり
)
のやうな
茸
(
きのこ
)
が
洒落
(
しやれ
)
に
突
(
つゝ
)
いたのであらうと
思
(
おも
)
つて、もう
一度
(
いちど
)
身
(
み
)
ぶるひすると
同時
(
どうじ
)
に、
何
(
ど
)
うやら
其
(
そ
)
の
茸
(
きのこ
)
が、
一
(
ひとつ
)
づゝ
芥子
(
けし
)
ほどの
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて、ぺろりと
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して、
店賃
(
たなちん
)
の
安値
(
やす
)
いのを
嘲笑
(
あざわら
)
つて
居
(
ゐ
)
たやうで
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ホホホ。みんなお
安値
(
やす
)
いものばかりだね。——豆さん、おまえは」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内
(
うち
)
の
女中
(
ぢよちう
)
の
情
(
なさけ
)
で。……
敢
(
あへ
)
て
女中
(
ぢよちう
)
の
情
(
なさけ
)
と
言
(
い
)
ふ。——
此
(
こ
)
の
際
(
さい
)
、
臺所
(
だいどころ
)
から
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
を
二罎
(
にびん
)
持出
(
もちだ
)
すと
言
(
い
)
ふに
到
(
いた
)
つては
生命
(
いのち
)
がけである。けちに
貯
(
たくは
)
へた
正宗
(
まさむね
)
は
臺所
(
だいどころ
)
へ
皆
(
みな
)
流
(
なが
)
れた。
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
は
安値
(
やす
)
いのだが、
厚意
(
こゝろざし
)
は
高價
(
たか
)
い。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
無論、
安値
(
やす
)
くない
駕賃
(
かごちん
)
についた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
安
常用漢字
小3
部首:⼧
6画
値
常用漢字
小6
部首:⼈
10画
“安”で始まる語句
安
安堵
安心
安房
安全
安芸
安穏
安土
安否
安宅