トップ
>
塀外
>
へいそと
ふりがな文庫
“
塀外
(
へいそと
)” の例文
磐石
(
ばんじやく
)
を曳くより苦く貫一は膝の
疼痛
(
いたみ
)
を
怺
(
こら
)
へ怺へて、とにもかくにも
塀外
(
へいそと
)
に
踽
(
よろぼ
)
ひ出づれば、宮は
未
(
いま
)
だ遠くも行かず、
有明
(
ありあけ
)
の
月冷
(
つきひやや
)
かに夜は水の
若
(
ごと
)
く
白
(
しら
)
みて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
蚯蚓
(
みゝず
)
が風邪の妙薬だといひ出してから、
彼方此方
(
あちらこちら
)
の垣根や
塀外
(
へいそと
)
を
穿
(
ほじ
)
くり荒すのを
職業
(
しやうばい
)
にする人達が出来て来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
祖母が目をかけてやっていた、
母子
(
おやこ
)
二人
世帯
(
じょたい
)
の者が、祖母の
家
(
うち
)
の
塀外
(
へいそと
)
に住んでいた、その息子の
方
(
ほう
)
のことです。
人魂火
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして、さしかかったのが、中央区内の、とある小公園の
塀外
(
へいそと
)
でした。右がわは公園のコンクリート
塀
(
べい
)
、左がわはすぐ川に面している、さびしい場所です。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから三四日経ったある雨の
夜
(
よ
)
、
加納平太郎
(
かのうへいたろう
)
と云う同
家中
(
かちゅう
)
の侍が、
西岸寺
(
さいがんじ
)
の
塀外
(
へいそと
)
で暗打ちに
遇
(
あ
)
った。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
病院の
塀外
(
へいそと
)
を歩き𢌞つて、
植込
(
うゑご
)
みの梢越しに見える陰鬱な建物の窓から、もしや其の人の顏を見る事もやとかゝる思ひにばかり月日を送つたりする中、其の年の秋
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
さて、こうして七兵衛が、三田の四国町の薩摩屋敷の、芝浜へ向いた方の通用門の附近を通りかかった時分、中ではこんな
評定
(
ひょうじょう
)
をしていたが、
塀外
(
へいそと
)
の道の両側には
夥
(
おびただ
)
しい人出。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「へえ、それはもう完全やと申上げたいくらいだす。
塀外
(
へいそと
)
、門内、邸宅の周囲と、都合三重に取巻いていますさかい、これこそ
本当
(
ほんま
)
の蟻の匍いでる隙間もない——というやつでござります」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小路
(
しょうじ
)
の停留所へさしかかったが、ふと、電車線路の向う側の、とある病院の
塀外
(
へいそと
)
に、畳屋の塚本が台を
据
(
す
)
えてせっせと畳を刺しているのが
眼
(
め
)
に留まると、急に元気づいたように乗り着けて行って
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今日
(
こんにち
)
のお客来で
御蔵
(
おくら
)
から道具を
出入
(
だしい
)
れするお掃除番が、
粗忽
(
そこつ
)
で此の締りを開けて置いたかしらん、何にしろ
怪
(
け
)
しからん事だと、段々側へ来て見ますと、
塀外
(
へいそと
)
に今の男が立って居りますからハヽア
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ロミオ あ、これ、お
待
(
ま
)
ち。やがて、あの
寺
(
てら
)
の
塀外
(
へいそと
)
へ、おぬしに
渡
(
わた
)
す
爲
(
ため
)
に、
繩梯子
(
なはばしご
)
のやうに
編
(
あ
)
み
合
(
あは
)
せたものを
家來
(
けらい
)
に
持
(
も
)
たせて
遣
(
や
)
りませう。それこそは
忍
(
しの
)
ぶ
夜半
(
やは
)
に
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
の
頂點
(
ちゃうてん
)
へ
此身
(
このみ
)
を
運
(
はこ
)
ぶ
縁
(
えん
)
の
綱
(
つな
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
川手邸の表門と裏門と
塀外
(
へいそと
)
とを固めることになったし、邸内妙子さんの部屋の
外
(
そと
)
には、宗像博士自ら、小池助手を引きつれて、徹宵見張りを続けることにした。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その日は薄雲が空に迷って、
朧
(
おぼろ
)
げな日ざしはありながら、時々雨の降る天気であった。二人は両方に立ち別れて、
棗
(
なつめ
)
の葉が黄ばんでいる寺の
塀外
(
へいそと
)
を
徘徊
(
はいかい
)
しながら、勇んで兵衛の参詣を待った。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どの船からという事もなく幽暗なる
半月
(
はんげつ
)
の光に漂い聞ゆる男女が
私語
(
ささやき
)
の声は、折々
向河岸
(
むこうがし
)
なる
椎
(
しい
)
の木屋敷の
塀外
(
へいそと
)
から
幽
(
かす
)
かに
夜駕籠
(
よかご
)
の掛声を吹送って来る川風に得もいわれぬ
匂袋
(
においぶくろ
)
の
香
(
か
)
を伴わせ
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
顔を洗ってしまうと、私はふと昨夜の唸り声とそれに関聯して土蔵の中の双生児のことを思出し、嘗つて深山木氏が覗いたという、
塀外
(
へいそと
)
の窓を一度見たくなった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
君江は気がついて
泥
(
どろ
)
の中に起直って、あたりを見ると、投出された場所は津の守阪下から阪町下の巡査派出所へ来る間の真暗な道だと思いの外、まるで方角のわからない屋敷町の
塀外
(
へいそと
)
であった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
はては、深夜黒い人影が彼女の家の
塀外
(
へいそと
)
をさまよったり、郵便受に気味の悪い脅迫状が舞込んだりし始めた。十八の娘は彼女の出来心の恐ろしい
報
(
むく
)
いに震え上ってしまった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
江戸時代にあつては此等の
溝川
(
みぞかは
)
も寺院の門前や大名屋敷の
塀外
(
へいそと
)
なぞ、幾分か人の目につく場所を流れてゐたやうな事から、土地の人にはその名の示すが如き特殊な感情を与へたものかも知れない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は相手に悟られぬ様、静かに雨戸の側から離れて、闇の
叢
(
くさむら
)
を、
塀外
(
へいそと
)
へと急いだ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
江戸時代にあってはこれらの溝川も寺院の門前や大名屋敷の
塀外
(
へいそと
)
なぞ、幾分か人の目につく場所を流れていたような事から、土地の人にはその名の示すが如き特殊の感情を与えたものかも知れない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
塀
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“塀”で始まる語句
塀
塀際
塀越
塀下
塀和
塀囲
塀土
塀墻
塀頭
塀弦