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反
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かえっ
ふりがな文庫
“
反
(
かえっ
)” の例文
細野入からは
反
(
かえっ
)
て五竜、唐松、白馬の方へ入込むのが順であるが、当時細野入から黒部山へ入込む者があるという風聞があったので
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
去る者日々に
疎
(
うと
)
しとは一わたりの道理で、私のような浮世の落伍者は
反
(
かえっ
)
て年と共に死んだ親を慕う心が深く、厚く、
濃
(
こまや
)
かになるようだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
投げだした左の足の長い親指の
反
(
そ
)
ったまで、しどけない御姿は花やかな
洋燈
(
ランプ
)
の夜の光に映りまして、昼よりは
反
(
かえっ
)
て御美しく思われました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
別にこの縁談については中に立ったというわけでもなし、
旁々
(
かたがた
)
下手に間に入って口をきくと、
反
(
かえっ
)
て
先方
(
せんぽう
)
から
怨
(
うら
)
まれなどした事もあったので
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
屋敷町の入口のことで、地面は洗われて
反
(
かえっ
)
てきれいになっていたが、塀に添った溝にはまだ濁り水が川のように流れていた。
小曲
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
▼ もっと見る
余の熱心の足らざるが故にあらずして
反
(
かえっ
)
て余の熱心(爾の
恵
(
めぐみ
)
によりて得ば)の足るがゆえにこの苦痛ありしなり、ああ余は幸福なるものならずや。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
のみならず彼女を避けているうちに
反
(
かえっ
)
て彼女に男らしい好奇心を持ち出したのは愉快だった。彼は前には甲野がいる時でも、台所の側の風呂へはいる為に裸になることをかまわなかった。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この雪は先年劒へ登った時よりも
反
(
かえっ
)
て少ないように思われたが、地獄谷から室堂方面に眼を放つと今年の雪の多いことが
首肯
(
うなず
)
かれる。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
教会外の人にして
反
(
かえっ
)
て余の真意を諒察するものあるを見て、余は天父の慈悲はなお多量に未信徒社会に存するを
了
(
さと
)
れり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
反
(
かえっ
)
て馬鹿にされるのが嬉しいように、人が来ると、其話をして、憎い奴でございますと言って、ほくほくしている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
さあ、源は
激
(
あせ
)
らずにおられません。こうなると気を
苛
(
いら
)
って
妄
(
やたら
)
に鞭を加えたくなる。馬は怒の為に狂うばかりになって、出足が
反
(
かえっ
)
て固くなりました。
遽
(
にわか
)
に「樺、樺」と呼ぶ声が起る。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私も
兼
(
かね
)
て病気と聞き
見舞
(
みまい
)
に
行
(
ゆ
)
きたいと思ったが、何をいうにも前述の如き
仕儀
(
しぎ
)
なので、
反
(
かえっ
)
て娘の
為
(
た
)
めに
見舞
(
みまい
)
にも
行
(
ゆ
)
けず蔭ながら心案じていたのである、
幸
(
さいわい
)
に心やさしい
婢女
(
げじょ
)
の看護に
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
『信府統記』は松本藩の編纂したものであるだけに、個人の作よりは年代が古くて
反
(
かえっ
)
て正確である。
又
(
また
)
此図には岩菅山が記入してない。
上州の古図と山名
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
如何
(
どう
)
いうものだか、内でお
祖母
(
ばあ
)
さんが
舐
(
なめ
)
るようにして可愛がって呉れるが、一向嬉しくない。
反
(
かえっ
)
て
蒼蠅
(
うるさ
)
くなって、出るなと
制
(
と
)
める袖の下を潜って外へ駈出す。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
わが故郷ならざりしがゆえにその美と厳とは
反
(
かえっ
)
て孤独悲哀の情を喚起せしごとく、この世は今は異郷と変じ、余はなお
今世
(
こんせい
)
の人なれどもすでにこの世に属せざるものとなれり。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「あれ、そんな心配をしておくれだと……それじゃ
反
(
かえっ
)
て御気毒ですねえ」
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此等
(
これら
)
の山脈は北アルプスと呼ばれている飛騨山脈よりは、概して高さに於て優っているに
拘
(
かかわ
)
らず、登山者の数は
反
(
かえっ
)
て甚だ少ないのである。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
其間の沢は細い上に深く
且
(
かつ
)
瀑が多いから、上るにしても下るにしても、夏季の雪渓の頃は
反
(
かえっ
)
て困難であり危険の場合がある。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
結局小高大高を
踰
(
こ
)
えて小楢俣に下った方が、山へも登れるし行程も
反
(
かえっ
)
て
捗取
(
はかど
)
ったに相違なかったと後悔した程である。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
又
(
また
)
子酉川の東沢西沢なども、当然奥仙丈の中より発源すと特記されなければならない筈であるのに、
反
(
かえっ
)
て西沢を冠して西沢御林山の名がある位である。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それでも
幸
(
さいわい
)
に其人が適材であるならば立派な書物が出来上るであろうが、
左
(
さ
)
もない時には其編纂が
反
(
かえっ
)
て累をなして、取捨に迷うような記事に
屡
(
しばしば
)
遭遇する。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然
(
しか
)
るに詳細であると信じていた地図も、平地は
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
一歩山に入ると
一向
(
いっこう
)
役に立たぬのみか、
迂闊
(
うかつ
)
に之を信用すると
反
(
かえっ
)
てひどい目に遭うので非常に驚いた。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
御来迎
(
ごらいごう
)
は日の出と縁がない訳でもないが、日の出そのものを指して言うのではない。日の出よりも
反
(
かえっ
)
て日の入る時に起る場合の方が多いかも知れない位だ。
山の魅力
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
今度は鉛のように重かった足が鉄塊のように重くなった。素知らぬ顔をして横目もくれず登って行く南日君を駆抜いてやろうと思うが、
反
(
かえっ
)
て
後
(
おく
)
れる許りだ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それでいて
反
(
かえっ
)
て此山あるが為に、其奥に隠された秘密の如何に優しい美しいものであるかを想像せしむるに余りある程の親しみ易さを見せているようである。
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然し困難と危険とに
反
(
かえっ
)
て興味を感ずる登山者に取りては、道の有無などはどうでもよいのだ。
夫
(
それ
)
で大正七、八年の頃から此峡谷に入り込む登山者が続出した。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
実をいうと真に仙境と称す
可
(
べ
)
き所は、
反
(
かえっ
)
て日本アルプス以外の地に多いのでありますが、夫等の記事は他日に譲って、ここには私が南北日本アルプスを物色して
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
以仁王がお通りになられたという上州方面には、更に其言い伝えもなく、
反
(
かえっ
)
て如何にも荒くれた伝説が残されているのも一奇という
可
(
べ
)
きである。『利根郡村誌』には
尾瀬の昔と今
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
両岸の岩壁は
反
(
かえっ
)
て高くなる程であるが、何等の危険も困難もなく、或は滝を賞し或は淵を眺め、行く行く壮麗な景色に眼を
娯
(
たのし
)
ませながら、河の中を右に左に徒渉して
渓三題
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
反
(
かえっ
)
て八ヶ岳のような大火山を附近に
崛起
(
くっき
)
せしめたのであろうと、
贔負目
(
ひいきめ
)
の大太鼓を叩いて置く。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
登ることは勿論横に搦むことも絶対に不可能であると事が
極
(
きま
)
れば、
反
(
かえっ
)
て恐ろしくも何ともない。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
この登りは相当に手剛いが、殿下には
反
(
かえっ
)
て
斯様
(
かよう
)
な場所の方がお気に召すように拝された。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
夫
(
それ
)
より
反
(
かえっ
)
て下流の
平
(
だいら
)
ノ小屋附近から下の方がよく望まれて、河原に堆積せる花崗岩のごろた石も雪の積もれるかと怪まれ、其中を川が黒い一条の帯を曳いたように流れているのが見える。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
両側に木がないので路は
反
(
かえっ
)
て探し憎くなった。右に左に幾度か紛れ込みながら一、二町も下ったろう、すると新しい火の光がすぐ脚の下に見えだした。三人は声を揃えて「オーイ」と怒鳴る。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
殿下はこの有様をお咎めもなく、
反
(
かえっ
)
て「皆の顔が見えなくては淋しい」と仰せられて、隔ての襖を取り外しになり、御座を広間の近くにお移しになって、微笑ましげに一同をお見渡しになった。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
或は刊行本の稿本となった者の方が
反
(
かえっ
)
て正本であったかも知れないとさえ想える。これは原本を見ない以上は断言出来ないが、果して想像した通りならば、峠の名の起りも推知するに難くない。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
“反”の解説
反(たん、段とも書く)は、尺貫法の面積の単位。土地の面積に使われる反と、布の大きさを表す反とがある。これとは別に6間の長さを表す反もある。
(出典:Wikipedia)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
“反”を含む語句
反響
反対
反抗
反覆
反映
仰反
反對
反古
反射
反閇
反返
無反
往反
一反
相反
反歩
反応
文反古
正反対
背反
...