勘弁かんべん)” の例文
……よし、もう勘弁かんべんがならないぞオ。あたしこれから行ってひと談判してくるよ。さ、ナポレオン、もう一度学校へゆくのよ
「来年は一つりっぱにつくってみますから、どうか今年はこれで勘弁かんべんしていただきたい。」誰もみんなそんなことを言った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「ああ! どうぞ勘弁かんべんしてください!」とおとここたえた。「このんでいたしたわけではございません。まったくせっぱつまって余儀よぎなくいたしましたのです。 ...
勘弁かんべんしてらつせえ。うゝとも、すうとも返答へんたふすべもねえだ…わし先生せんせいはれるは、ほぞつては最初はじめてだでね。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「和尚さま、どうぞ勘弁かんべんしてくださいませ。わたしは死にたくありません、どうぞどうぞ、生命をお助けくださいませ」
死体蝋燭 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
勘弁かんべんはいいが、——丁度ちょうどいいところでおめえにった。ちっとばかりきてえことがあるから、つきあってくんねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「まあ、そんな乱暴らんぼうなまねをしないでください。ついくもみはずしてちてきただけで、なにもあだをするのではありませんから、どうぞ勘弁かんべんしてください。」
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「お婆さんが、そう言うのなら、勘弁かんべんしてやろう。もう一度、こんなことをすると、承知をしないぞ。」
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「いや、機嫌を悪くしたら、勘弁かんべんしたまえ。なあに、さっき珠子さんの後姿を見つけたもんだから……」
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それだから喧嘩になるんじゃないか? 一体お前が年嵩としかさな癖に勘弁かんべんしてやらないのが悪いんです。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とてもにぎやかな、ビックリすることばかりある町へはゆかれませんから、こればかりは勘弁かんべんして下さい
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
善ニョムさんは、もう勘弁かんべん出来なかった。麦の芽達は、無惨に踏みちぎられて、悲鳴をあげてるではないか。善ニョムさんは、天秤棒をふりあげて、涙声で怒鳴った。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
二郎のような向う見ずに云って聞かせる事を、ついお貞さん見たいなやさしい娘さんに云っちまったんだ。全くの間違だ。勘弁かんべんしてくれたまえ。今夜は御馳走ごちそうがあるかね。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「かしら、文ちゃんを折檻せっかんするのはよしたらどうです。目出度めでたい日だ。勘弁かんべんしておやりなさい」
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「君のところへびに行きはしなかったかネ。もしそうだったら勘弁かんべんしてくれたまえ。」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「まあまあ静まってくれ、この男は決して悪者ではないから勘弁かんべんしてやってくれ」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「御新造さま。済まないことをいたしました。どうか、勘弁かんべんして下さいまし」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それだけは勘弁かんべんして下さい」と彼女はややあって細い声で言った。
或る探訪記者の話 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
「何うしたものだろう? 君の勘弁かんべんを借りたい」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「姐御、そいつあ一つ勘弁かんべん願いてえ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
わしわるかった、勘弁かんべんしてくれ。』
「まあその辺で勘弁かんべんしてくれたまえ。俺のロケットの電池は、電圧がウンと下ってきたのだ。すこし倹約しないと、地球へ帰りつくまでたないかもしれないからネ」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分はもうける事ばかりを目的に働く人間じゃないとか、儲けさえすりゃどこがいいんだとか、何とかかとか理窟りくつねて、出来るだけ自己を主張しなければ勘弁かんべんしないところを
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、あなたが、あんまり私の話を避けよう避けようとするものだから、そしてあんな嬌態きょうたいでごまかそうとするものだから、僕もつい興奮してしまったのですよ。勘弁かんべんして下さいね。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
どうぞ勘弁かんべんしておくんなさい。あやまっても追付おっつくめえけんど……
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
僕はあの人物を知らなかったので君に大変失敬した勘弁かんべんしたまえと長々しい謝罪をした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だッ黙ってるな。いよいよもう、勘弁かんべんならねえ、こッの野郎ッ」
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「イヤ、つい粗相そそうをしました。勘弁かんべんして下さい」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「君の親切をにしては気の毒だが僕は転地なんか、したくないんだから勘弁かんべんしてくれ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「……河村さん。もうその辺で勘弁かんべんしてやったらどうですか」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どうかそれだけは勘弁かんべんして下さい
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「それはもう勘弁かんべんしてやれ」
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)