刻々こくこく)” の例文
利鎌とがまを振りまわしている死の神はわれ等の同志百七十一人のもとを離れて、いまや刻々こくこく敵の副司令へせまりつつあるのだ。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すきとおるようなそらいろは、ちょうどつめたいガラスのように、無限むげんにひろがっています。そして、刻々こくこく紫色むらさきいろやま姿すがたわっていくのでありました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
刻々こくこくにあきらかにほてれ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うみは、一つのおおきな、不思議ふしぎうるわしい花輪はなわであります。青年せいねんは、口笛くちぶえいて、刻々こくこく変化へんかしてゆく、自然しぜんまどわしい、うつくしい景色けしきとれていました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、搭乗員とうじょういんの募集にちょっと手間どったが、これも一週間前に片づき、目下もっかわが独本土上陸の決死隊二百名は、刻々こくこく独本土に近づきつつあるところじゃ。
青年せいねんは、ゆめなかふねおもいだしました。とうとう、まぼろし現実げんじつとなったのです。そして幸福こうふくが、刻々こくこくに、自分じぶんかってちかづいてくるのでありました。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうこうする裡に同志百七十一名の生命は、刻々こくこくちぢまってゆく。そうだ、こうしては居られない。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
刻々こくこく方向舵を曲げたり、噴射気ふんしゃきの強さを加減してスピードをととのえたり空気タンクや冷却水の出る具合を直したりするという一番重大で面倒な役目をひきうけていたのだった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この息詰いきづまる空気くうきなかで、は、刻々こくこく自分じぶん生命いのちれてゆくのをかんじながら
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
水嵩みずかさはみるみるうちに増大して、水位すいい刻々こくこくあがって来た。床の四隅よすみから水は噴出ふきだすものと見え、その四隅のところは水柱が立って、白い泡の交った波がごぼんごぼんと鳴っていた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ねんは、刻々こくこく時計とけいはりすすむごとく、また、いつしか季節きせつがめぐってきた。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
というのは、運のわるいことにしおがだんだんあがって来たのである。四人のしめていられる場所は、刻々こくこくとせまくなって来た。早い時期に外へとび出した方がよかったかもしれない。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さてこそ出るは溜息ためいきばかりで、卿の心臓はごとごとと鳴って刻々こくこく変調を来たす。
もう、太陽が水平線のよこにぴょっこり顔を出したころだったので、波は金色に、銀色に、また赤や紫にかがやいて、恐竜島の緑の島が刻々こくこくにさまざまな色彩で染めあげられていくところだった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
日本艦隊の加古かこ古鷹ふるたか衣笠きぬがさ以下の七千トン巡洋艦隊は、その快速を利用し、那智なち羽黒はぐろ足柄あしがら高雄たかお以下の一万噸巡洋艦隊と、並行の単縦陣型たんじゅうじんけいを作って、刻々こくこくに敵艦隊の右側うそくねらって突き進んだ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
死は刻々こくこくと四人の身体に、音もなくしのびよってくるのだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
未曾有みぞうの大事件は、刻々こくこく近づきつつある。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)