いる)” の例文
第五、上士族の内にも小禄の貧者なきに非ざれども、がいしてこれを見れば、その活計はいるに心配なくして、ただいずるの一部に心をもちうるのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そしているまで、あたり次第しだいなんでも御座ござれ、其日そのひるだけのこと一心不亂いつしんふらんなければならぬ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
云終いいおわりて其コロップを衣嚢かくしいるるに此所へ入来るは別人ならず今しも目科が呼置きたる此家の店番にして即ち先刻余と目科と此家に入込しとき店先にて大勢の店子等たなこらに泡を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
いるれば第一お目の毒なれば戸外おもてへ出て爛漫たる櫻のさかり山水のながめもとより四方よもの人が花に遊行あくがれさけに醉ひ打戲るゝ景状ありさまを御覽にならばお目の藥と再度ふたゝび言はれて氣色けしきばみ忠兵衞夫等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつもはお庭に松葉まつばもはいる時分秋頃から御隱居樣のはさみの音も聞えず
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
不図ふと立聞たちぎきして魂魄たましいゆら/\と足さだまらず、其儘そのまま其処そこ逃出にげいだし人なき柴部屋しばべやに夢のごといると等しく、せぐりくる涙、あなた程の方の女房とは我身わがみためを思われてながら吉兵衛様の無礼過なめすぎた言葉恨めしく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雲にいる鳥の行衛ゆくえや星ひとつ 其由
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
鹿ながら山影さんえい門にいるかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
聞出し今日ぞ旦那さまをお助申時なりと大に悦び一つうの願書をしたゝめ天へものぼる心地にて梅ヶはしといふ處に待うけしに聞しにたがはず夜にいると右三人の供人ともびと定紋付ぢやうもんつき箱挑灯はこちやうちんを先に立みち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鹿ながら山影さんえいもんいるかな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
願ひ奉つる因ては何なりとも有合の御肴おさかなをさし上候はんと只管ひたすら詫入わびいりければ武士は忽ち顏色をやはらげ是は/\御亭主の挨拶あいさつ却つていたいるそうじて其方そなたの如く理を分て云るれば某し元より事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)