おい)” の例文
おい懇篤こんとくに頼まれたお方じゃ! それにおいには義兄弟じゃ! 安全の場所へおかくまいするまでは、上人の身辺で荒々しい所業など
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
仕方がないからおいらは海へ飛び込んじゃった、海へ飛びこんでね、時々頭をぽかりぽかりと出して様子を見ながら泳いでいたんだよ。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うむ、ありゃもうとっくに帰った。おいいてことよと受合って来たけれども、不安心だと見えてあとからついて来たそうで、老人としよりは苦労性だ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少年 わからねえなあ……おじさん切符はあるのか? なけりゃおいらが手に入れてやろうか、代を二倍ばっか出してくれると手に入れてきてやるよ。
樹氷 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
折角せつかく、お大事だいじになせえよ。おいらは、これでやつと蘇生いきかへつたわけさ。まるで火炮ひあぶりにでもなつてゐるやうだつたんでね」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「俺は、集団農場さ残る。……だって、集団農場はサヴェートのもんで——おいらサヴェートの子なんだもん」
ペーチャの話 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
二人は何か争ひを始めたのか? 「あいつ」といふのは「ヒイ」の意で「おいらはなあ!」といふのは「自分が考へる処に依ると」といふ意味だと百合子が教へたが
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
あいつらは朝から晩まで、おいらの耳のそばまで来て、世界の平和の為に、お前らの傲慢がうまんを削るとかなんとか云ひながら、毎日こそこそ、俺らをこすってへらして行くが、まるっきりうそさ。
楢ノ木大学士の野宿 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「錢形の兄哥あにき、御苦勞だつたね。おいらが來た上は、もう引取つても構はないよ」
「別においらは、おめえにいんねんをつけようといふんぢやねえからさ!」
「ゼイタクぬかすな。おいらにゃ、そんなことナニヌネノだ、とよ。」
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
おいらもう一文も無え。——くそ。こら」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
おいらの神輿みこしだ。んでもはなすな。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
っちゃアいけねえ射っちゃいけねえ! ここでられてたまるものか。せっかくおいらが骨を折って八ヶ嶽から追い出して来た熊だ。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ちっとは元気がついたかい。いくらか元気がついたら、お前の所番地を言ってみねえな、そうすればそこまでおいらが送ってやるよ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それでも更に相手が話しかけてゆくと、さもさも迷惑さうに「おいら、そんなことは知んねえだよ。」
その村を憶ひて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それでもおいらはんないとも言ひやしなかつた……自分じぶんのことはたなげたなりわすれてしまつて。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あいつらは朝から晩まで、おいらの耳のそばまで来て、世界の平和のために、お前らの傲慢ごうまんけずるとかなんとか云いながら、毎日こそこそ、俺らをこすってへらして行くが、まるっきりうそさ。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
芸者の馬鹿は構わんが、薄情は不可いかんな! 薄情は。薄情な奴はおいら真平だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいや俺は呆れもしねえ」次男の赤魚あかえがベソを掻きながら、「明日からおいらはどうするんだ。一文なしじゃ食うことも出来ねえ」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
実のところはおいらはモウ小遣銭こづかいせんもねえのだ、さしあたってなんとか工面くめんをしなけりゃならねえのだが、兄貴だって同じことだろう。
「ざまあみやがれ、慾張よくばりめが。おいらがおこつてかたくなると、こんなもんだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
馬鹿野郎! おいら弟子はいくらでもある、が小児こどもの内から手許に置いて、あめン棒までねぶらせて、妙と同一ひとつ内で育てたのは、きさまばかりだ。その子分が、道学者に冷かされるような事を、なぜするよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
追分一杯鳴り渡り、軽井沢まで届きそうだ。それに比べりゃあおいらの唄う、追分節なんか子供騙しにもならねえ。ああ本当にいい音だなあ
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おいらはこの犬に引張られて来たんだ。もしこのお邸に、君ちゃんという女の子がいやしねえかな。俺らは米友というものだよ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
早瀬 難有ありがたい、おいら嬉しいぜ。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そりゃアそうと、ねえ松代さん、おいらはお前さんが好きなんだよ」こんなことを云い出した。気恥ずかしそうなところがある。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ナーニ、これっぽっち。気の利いた泥棒はこんなものに目をくれやしない、おいらはまだ、ウンと山の中へ隠しておくんだ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人一倍その方は強いおいらだ! ……それがよ二十一日の間、オアズケ食っていたんじゃあねえか! ……オレ恐れるオレ心配だ。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「まあ、いいから任しておいてくれ、兄貴は兄貴で兵糧方を持ってもらいてえ、おいらは俺らで、これ見たかということを別にして見せるんだ」
「これはおいがよくなかった。軽卒な真似など決してせぬ。帰れといわれて帰られるものではなし、一緒に上人を送らせてくれ」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
冗談じょうだん言っちゃあ困る、飛脚屋に頼むにもなんにも、からきりお前の居どころが知れねえじゃねえか、それがためにずいぶんおいらは心配したぜ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
戦国時代の食い物は、おいらの食い物と大差はない、なまの獣、生の鳥、生の野菜、生の魚、せいぜい焼いて食うぐらいのものだ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「人に知れて悪いお客様なら、おいらにも知れようはずがなし、お嬢さん、お前にだって知れるはずがなかろうじゃねえか」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
どうあろうと起こしてはならぬ! それを何んじゃ斬るの突くのと! もうおはんの力など借りぬ! おい一人で送って行く! 帰れ帰れ、おはん帰れ!
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「話せねえな、印度で虎を退治して来た黒ん坊なんだよ、おいらはお父さんにつれて行ってもらったんだ、ずいぶんこわい槍の使い方をして見せたよ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「邪魔の奴はつぶしてしまうがいいなあ。……でないといい目が見られないからなあ。……豊ちゃんとおいらとのいい目がさ」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おいらは一体いってい、雪というやつはあまり好かねえんだ、降る時は威勢がいいけれど、あとのザマと言ったらねえからな」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そうかなあ、そうかなあ」吉次は茫然ぼっとして考えたが、「おいらは醜男ぶおとこで片輪者で、女に思われたことなんかない。俺らの方では想ったがな。 ...
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうだ、あの女はお蝶と言ったっけ、あれでなかなか正直な女だ、あの女の親方という奴もなかなか親切な奴で、おいらを暫く世話をしてくれたんだ。
いかに中野碩翁様が、おいらの親分であろうとも、秘密は秘密、お堅いものだ。実はこれだけ聞き出すにも、たいてい苦労をしたことじゃねえ。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「なんだってお前、おいらのつらばっかりながめてるんだ。第一、人の面を、ちょっとぐらいならいいが、そう長くながめているのは失礼に当るだろう」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……うん、そう云えば仮面の大将を、おいらチラリと見たことがあった。……それはそうと、あッ、畜生! 相変らず濛気もうきが立ってやがるなあ!
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お世話になるのならねえの、そんなことはどうでもいいが、おいらはちっとばかりお前に聞きてえことがあるんだ」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「綺麗な女煙術師が、水戸様石置き場の空屋敷へ、出入りをしていると知っていたら、おいらそれこそ張りに行ったものを」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おいらの死んだちゃんと俺らと二人で、山や谷を探して見つけ出しておいたものだよ、これだけあればおばさん、三年や五年は楽に暮して行けると言ったよ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いんね、そうじゃごぜえません。噂で聞けばおめえさんの所へ化物が出るということで。ひとつおいらがその化物を退治してやろうと思いましてね」
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それにしても、おいらたち二人を泥棒の罪に落した奴は誰だろう、きっとほかに泥棒があるんだぜ、そいつが盗んで、俺らたちに罪をなすりつけたんだな」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おいらの身分はもうこれでお解りになったと思いますが、今度はそっちのご身分を承わりたいものでございますな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「うん、おいらも、もうあんなところにはいてくれといったって一日もいられやしねえ、ちょうどいい幸いだ」