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乘組
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のりく
且つ
其の
乘組んだ
艦の
帆柱に、
夕陽の
光を
浴びて、一
羽雪の
如き
鷹の
來り
留つた
報を
受け
取つた
時、
連添ふ
身の
民子は
如何に
感じたらう。
序だから
言つて
置くが、
私は
初め
此船に
乘組んだ
時から
一見して
此船長はどうも
正直な
人物では
無いと
思つて
居つたが
果して
然り、
彼は
今
……
二人三人、
乘組んだのも
何處へか
消えたやうに、もう
寂寞する。
幕を
切つて
扉を
下ろした。
風は
留んだ。
汽車は
糠雨の
中を
陰々として
行く。
殘り
一群の
水兵と、
私と、
日出雄少年とは、
未だ
艇に
乘組む
必要も
無いので、
再び
海岸の
家へ
歸つたのである。
で、
何時何處から
乘組んだか、つい、それは
知らなかつたが、
丁ど
私たちの
並んで
掛けた
向う
側——
墓地とは
反對——の
處に、二十三四の
色の
白い
婦人が
居る……