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りやうせい
一
度でもしめやかに
語り
合うた
兩性が
邂逅へば
彼等は一
切を
忘れて、それでも
有繋に
人目をのみは
厭うて
小徑から一
歩木の
間に
身を
避ける。
無論小六よりも
御米の
方が
年上であるし、
又從來の
關係から
云つても、
兩性を
絡み
付ける
艷つぽい
空氣は、
箝束的な
初期に
於てすら、
二人の
間に
起り
得べき
筈のものではなかつた。
兩性が
然も
他人の
手を
藉りて
一つに
成る
婚姻の
事實を
聯想することから
彼等の
心が
微妙に
刺戟される。
彼等の
凡ては
悉く
異性を
知り
又知らんとして
居る。
さうして
纔に
相接した
兩性が
心から
相曳く
時相互に
他の
凡てに
對して
恐怖の
念を
懷きはじめるのである。
帝頻に
再び
見んことを
欲して
終に
如何ともすること
能はず。
侍中進んで
曰く、
獺や
鯔魚を
嗜む、
猫にまたゝびと
承る。
臣願くは
是を
能くせんと、
板に
畫いて
兩生の
鯔魚を
躍らし、
岸に
懸けて
水を
窺ふ。