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ちうしや
氷嚢や、
注射より、たゞ
髮の
冷いのが、きつけに
成つて、
幾度も、
甦り、
甦り、
甦る
度に、
矢張同じ
所に、ちやんと
膝に
手を
組んで
見て
居ます。
幾回ものカンフル
注射が
施されて、
皆は
彼女の
身内の
者が、
一人でも
來てくれる
事を
待ち
望んでゐたが、
電報を
打つたにも
拘らず、
誰一人、たうとう
來なかつた。
翌日の
午前に
來て
醫者は
復注射をして
大抵此れでよからうといつて
去つた。
然しお
品の
容態は
依然として
恢復の
徴候がないのみでなく
次第に
大儀相に
見えはじめた。
うつゝ
責とか
申すのに、どら、ねう
鉢、
太鼓を
一齊に
敲くより、
鉦ばかりですから、
餘計に
脈々へ
響いて、
貫つて、
其の
苦しさつたら、
日に三
度も
注射の
針を
刺されます
暫くして
針を
拔いて
指の
先で
針の
趾を
抑へて
其處へ
絆創膏を
貼つた。それが
凡て
薄闇い
手ランプの
光で
行はれた。
勘次に
手ランプを
近づけさせて
醫者はやつと
注射を
畢つた。
醫者はモルヒネの
注射をして
僅に
睡眠の
状態を
保たせて
其の
苦痛から
遁れさせようとした。