“おもむき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
91.8%
2.3%
風趣1.2%
趣味1.2%
0.8%
趣致0.8%
情趣0.4%
旨趣0.4%
0.4%
興趣0.4%
趣意0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やまおきならんでうかこれも無用なる御台場おだいば相俟あひまつて、いかにも過去すぎさつた時代の遺物らしく放棄された悲しいおもむきを示してゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
幸いに植物が好きであったために、この九十二歳になっても、英気ぼつぼつ、壮者をしのぐおもむきがある。
やみ夜更よふけにひとりかへるわたぶね殘月ざんげつのあしたに渡る夏の朝、雪の日、暴風雨あらしの日、風趣おもむきはあつてもはなしはない。平日なみひの並のはなしのひとつふたつが、手帳のはしに殘つてゐる。
佃のわたし (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
鳴き渡る音も趣味おもむきある不忍しのばずの池の景色を下物さかなのほかの下物にして、客に酒をば亀の子ほど飲まする蓬莱屋ほうらいやの裏二階に、気持のよさそうな顔して欣然と人を待つ男一人。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
手引てびきとし金子きんす才覺さいかく致させんには調達てうだつすべき事もあらんと云にまかつひに其儀にけつ密々みつ/\用意して天一坊と大膳の兩人は長洞ながほら村を出立し信州下諏訪へとおもむきたりやうやく遠藤屋彌次六方へちやく案内あんないこひ先年の事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いずれ趣致おもむきなきはなけれど、ここのはそれらとはさまかわりて、巌という巌にはあるが習いなる劈痕さけめ皺裂ひびりほとんどなくして、光るというにはあらざれど底におのずからうるおいを含みたる美しさ
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かくの如き溝泥臭どぶどろくさい堀割とくさった木の橋と肥料船や芥船ごみぶね棟割長屋むねわりながやなぞから成立つ陰惨な光景中に寺院の屋根を望み木魚もくぎょと鐘とを聞く情趣おもむき
忠八は涙とともに聞終り御意の旨委細ゐさいかしこまり奉つり候お花樣には屹度きつと御目に懸り此二品を御渡し申御遺言の旨趣おもむきも御傳へ申すべし然れどかたき吾助未だ遠くは參るまじ追止おひとめて恨みを報ぜんとかたな追取おつとり立上るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日本の油畫ではややふるくは久米氏の稻村の畫、山本森之助氏の山麓の農家の畫、それから一昨年かの白馬會の跡見泰氏の田圃の畫の外にはかう云ふおもむきを寫したのは見ない。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
外国人の大きな曲馬団が来て、天幕を張り、夜になると太いまきを積みあげて炎をたてるのが、下町そだちの子供に、どんなにエキゾチックな興趣おもむきを教えこんだであろう。
めぐまれ其後五ヶ年の後九助江戸より歸國のせつ藤八方へ一ぱく致せし時私しも藤八方に居不思議に再會さいくわい仕つりしかど其節は途中とちうにて胡麻灰ごまのはひに出合九助難儀なんぎ致す趣意おもむきに付金子のことに心つかひ仕つり居り先年の禮さへ熟々しみ/″\申候間合まあひ御座なく候まゝ不義など致し候事は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)