“やつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤツ
語句割合
41.5%
27.0%
4.1%
丑刻2.7%
2.0%
未刻1.9%
1.8%
八歳1.2%
1.1%
八刻1.1%
1.0%
0.9%
0.8%
0.7%
彼奴0.7%
0.7%
0.6%
憔悴0.6%
二時0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
矢継0.3%
0.2%
三時0.2%
0.2%
事件0.2%
八個0.2%
化粧0.2%
0.2%
扮装0.2%
谷津0.2%
0.2%
0.2%
清兵0.1%
0.1%
0.1%
ヶ谷0.1%
0.1%
彼女0.1%
魚屋0.1%
0.1%
丑時0.1%
丑満0.1%
亡者0.1%
人間0.1%
八時0.1%
八津0.1%
八頭0.1%
品物0.1%
喧嘩0.1%
0.1%
0.1%
大砲0.1%
女児0.1%
女房0.1%
女郎0.1%
巳刻0.1%
弥津0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
所作0.1%
時計0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
河豚0.1%
0.1%
湯女0.1%
漁師0.1%
0.1%
0.1%
焦悴0.1%
0.1%
0.1%
犯人0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
罪人0.1%
0.1%
0.1%
茶飯0.1%
0.1%
葡萄酒0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
農奴0.1%
連中0.1%
道場0.1%
青木0.1%
青竜王0.1%
0.1%
馬力0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これからはいよ/\おたみどの大役たいやくなり、前門ぜんもんとら後門こうもんおほかみみぎにもひだりにもこわらしきやつおほをか、あたら美玉びぎよくきずをつけたまふは
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もう三十二三にはなっているのだろう、着崩れた着物の下から、何かあだめいた匂いがしてやつれた河合武雄と云ってもみたい女だった。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
さうして女房にようばう激烈げきれつ神經痛しんけいつううつたへつゝんだ。卯平うへい有繋さすがいた。葬式さうしき姻戚みより近所きんじよとでいとなんだが、卯平うへいやつつゑすがつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そのお玉どのは、——何を隱さう、あの時刻——丁度子刻こゝのつから丑刻やつ前まで、ツイ裏の私の浪宅に來て居たとしたら、どんなものでせう」
また山に沿う丘やらやつやら狭道で攻めるにかたい。——のみならず、南は海で、その海面に義貞はなんら攻め手を持っていなかった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを飲んで居ると、ポーンと未刻やつの鐘が響きますから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もう冬と言ってもよいくらいですから欅の紅葉は、ほとんどやつ岳颪たけおろしで吹き払われていました。木の下には黒くなった落葉がうずたかく落ちていました。
「まだお八歳やつにしかおなりなさいませぬが、ご当家において、ご養育あそばされている、吉里君よしさとぎみではないかと」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大変にやつれて居るわ。私達の独逸語を習いたい事を話したら、笑って、——つまらない事だ、斯んな国の言葉を憶えたって役に立たないでしょう。
母と娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
と、やり出したとき、どウウウウん、どうん! お太鼓櫓たいこやぐらで打ち出した八刻やつの合図である。長廊下の向うから多勢の気配が曲って来て、老中方お退出さがりという声がする。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
叔父は売薬商人にやつしていったのだが、どの家でも泊めようとしなかったし、ふいに物蔭から、石や棒切れを投げられたりした。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
おまけやつと此の川下へ出たら、何うだえ貴方あんた此間こなひだ洪水みづましに流れたと見えて橋が無いといふ騒ぎぢやないか。それからまた半里はんみちも斯うして上つて来た。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
見ていると白石さんは日に日にやつれて、心の苦悶が顔にあらわれ、極度の神経衰弱に陥ってゆく様子にもう黙ってはいられなくなりました。
機密の魅惑 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
露助の兵隊なんか大きなやつを振り廻してやたらに、ヤポウネツ・ヤポンツァ! って呶鳴どなる——。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ところが彼奴やつはひどく喜んでお礼を言っていたかと思うと、急に昏睡状態に陥ってしまったのです
私はかうして死んだ! (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
「うん。やつが来たら咳払せきばれえして下せえよ。いいけえ、頼んだぜ。」
同じように仲間小者ちゅうげんこものに身をやつして、仇家の偵察にも従事すれば、江戸じゅうを走り廻って、諸所に散在している同士の間に聯絡れんらくをも取っていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
気がつくと、夏も妻もみんな一週間のまにすっかり憔悴やつれてしまった、それでも妻は気ばかり立っていた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
二時やつさがりに松葉まつばこぼれて、ゆめめて蜻蛉とんぼはねかゞやとき心太ところてんおきなこゑは、いち名劍めいけんひさぐにて、打水うちみづ胡蝶てふ/\おどろく。行水ぎやうずゐはな夕顏ゆふがほ納涼臺すゞみだい縁臺えんだい月見草つきみさう
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
身は疳癪かんしやくに筋骨つまつてか人よりは一寸法師ぼし一寸法師とそしらるるも口惜くちをしきに、吉や手前てめへは親の日になまぐさをやつたであらう、ざまを見ろ廻りの廻りの小仏と朋輩の鼻垂れに仕事の上のあだを返されて
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
五年変り種漁りに憂身をやつしていたのであったが、バルセローナ州選出の上院議員ルロイ・ソレル男爵の夫人は、すでに一昨年と昨年と続けて二回も入選していた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
板のやうな掛蒲団をあはせの上にかぶつて禿筆ちびふでを噛みつゝ原稿紙にむかふ日に焼けてあかゞね色をしたる頬のやつれて顴骨くわんこつの高く現れた神経質らしいおな年輩としごろの男を冷やかに見て
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
男達が其処に停ち止まったアイリスの傍まで駈けつけた途端に、振り向いたアイリスは、右の人差指を延ばして矢継やつやにワルトンとジョーンの心臓部を目がけて突いた。
決闘場 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
屹度抜いて上げませうと思つて待つてると、信吾さんに札が無くなつて、貴君あなたが「むべ山」と「流れもあへぬ」を信吾さんへやつたでせう? 私厭になつちまひましたよ。ホホヽヽ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
みっちゃんは、お三時やつのとき、二つ目の木の葉パンを半分ほおばりながら、母様にいいました。
クリスマスの贈物 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
藤「伯母様、藤原喜代之助でござる、お萓も一緒に、分りましたか、大層おやつれ……」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
トテツもない事件やつなんですよ……
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
一杯いつぱい日當ひあたりで、いきなりつちうへ白木しらき卓子テエブルを一きやくゑた、そのうへには大土瓶おほどびんが一茶呑茶碗ちやのみぢやわん七個なゝつ八個やつ
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「お浜さん。いつも化粧やつしていやはるな。初日まえで忙がしいやろ」
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今日は穀屋の若旦那というこしらえで、すっかり灰汁あくが抜けてはいるが紛れもない、女にまかれたやつである。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おお此奴こいつは先ほど、廻国の武芸者に扮装やつして入りこんだ矢倉伝内めじゃ!」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
谷津やつ蓮台寺れんだいじ、加茂あたりまで出かけて行くことは難かしかつた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「こう、漁師りょうしたち。すずきでも鯉でもいいや、見事なやつを、二、三びきってよこしねえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さっきもおれアうっかり踏んむと、殺しに来たと思いやがったンだね、いきなりおけの後ろから抜剣ぬきみ清兵やつが飛び出しやがって、おいらアもうちっとで娑婆しゃばにお別れよ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ちょうど兵隊さんが来て清兵やつめすぐくたばっちまやがったが。おいらア肝つぶしちゃったぜ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
あをやつれたる直道が顔は可忌いまはしくも白き色に変じ、声は甲高かんだかに細りて、ひざに置ける手頭てさきしきりに震ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母は語るべき事の日頃蓄へたる数々をきて、先づ宮が血色の気遣きづかはしく衰へたる故をなじりぬ。同じ事を夫にさへ問れしを思合せて、彼はさまでに己のやつれたるをおそれつつも
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
篦棒べらぼう、さうだやつけえつらかぜとこあるけるもんぢやねえ」ぢいさんはむきにつていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そんでそれよめつちのが心底しんてえのえゝをんなだつちんだからわしもしいのさ本當ほんたうはなしがねえ、さうつちや我慾がよくやうだがおんなじもんならやつけえ言辭ことばでもけてくれるよめでなくつちやねえ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私が海岸からおうぎヶ谷やつへ向う道で非常な馬上美人にったと帰って来て氏に話した。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大正十二年七月中旬の或日、好晴の炎天下に鎌倉雪の下、長谷はせおうぎヶ谷やつ辺を葉子は良人おっとと良人の友と一緒に朝から歩きまわって居た。七月下旬から八月へかけて一家が避暑する貸家を探す為めであった。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
スッカリ若返りにしておりましたので一寸見ちょっとみはフイちゃんよりも可愛いくれえで、フイちゃんとお揃いの前髪を垂らして両方の耳ッたぼに大きな真珠をブラ下げたやつが、翡翠ひすい色の緞子どんすの服の間から
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
台湾館に来る匆々そうそうからどうやら物を言いたそうな眼付きをして、あっしの方を見ておったように思いますがね。そいつを一方のチイチイってやつが感付いて横槍を入れたものらしいんです。ヘエヘエ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
丁度あの鳶頭が来た翌日あくるひでした、吉原なか彼女やつ駈落かけおちと出懸けやしたがね、一年足らず野州やしゅう足利あしかゞで潜んでいるうちにかゝあは梅毒がふき出し、それが原因もとで到頭お目出度めでたくなっちまったんで
熊「フヽム左様そうよ、彼女やつ来てくれとかしアがッてよ、おいらが面を見せなけりゃア店も引くてえんだ、本ものだぜ、鯱鉾しゃちほこだちしたって手前達てめえたちに真似は出来ねえや、ヘンんなもんだい」
その落いた魚屋やつの襟印を見て帳面に『一円五十銭……茂兵衛』とか何とか私共一流の走書きに附込んだやつさらうように引っ担いで走り出て行きます。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
るうちに肩を組んで寄って来た売子の魚屋やつが十コン一円二十銭で落いたとします。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
悠然いうぜん車上しやじようかまんで四方しはう睥睨へいげいしつゝけさせる時は往来わうらいやつ邪魔じやまでならない右へけ左へけ、ひよろひよろもので往来わうらい叱咜しつたされつゝ歩く時は車上しやじようの奴やつ癇癪かんしやくでならない。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
待内に愈々いよ/\雨は小止こやみなくはや耳先へひゞくのは市ヶ谷八まん丑時やつかね時刻じこくはよしと長庵はむつくと起て弟の十兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは水害すゐがいのためにもしふね転覆ひつくりかへると蘇生よみがへ亡者やつが多いので、それでは折角せつかくひらけようといふ地獄ぢごく衰微すゐびだといふので、とほ鉄橋てつけうになつちまいました、それ御覧ごらうじろ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
グリゴリイ・ドエズジャイ・ニェドエジョーシ! お前は一体どんな人間やつだったんだい? 運送屋でも営んで、二頭立の蓙掛馬車でも仕立てて、永久に家を見捨て、生れ故郷を見限って
そして、漁師が久兵衛の家に着いたのは八時やつに近いころであった。久兵衛と女房は午飯も喫わずに地炉の傍でぽかんとしていた。
(新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そんななかで大石先生は三人の子の母となっていた。長男の大吉だいきち、二男の並木なみき、末っ子の八津やつ。すっかり世の常の母親になっている証拠しょうこに、ねえさんとよばれた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ところが鳥取県の八頭やつ郡などで、神返しというのは十月の二十五日で荒れ日であった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「じゃ、亀田が窃盗せっとう冤罪えんざいせられた、あの高瀬夫人のくした品物やつか」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なあ、お絃、久しく暴風しけつづきだな。きょうあたり、大きな喧嘩やつ
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
森 うむ、あの晩は大分あちこちで、自暴酒やけざけをやったやつが多かった。面目ないが、おれと池田も、じつはその組で——。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おお、おさむらいふざけちゃいけねえ。ただの鳥刺とは鳥刺が違う。こう見えても侍だ。しかも武田の家臣だわえ! 鳥刺に姿をやつしているのは尋ねる人があるからさ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
僕は、本船のまえは仏蘭西フランス船にいたんですが、あれに、こういう大砲やつの一、二門もあったらなア。なにしろね、船に魚雷を喰わせやがって、悠々と現われてくるんです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
国に居た頃でも、私が外から帰って来る、母やかないは無愛想でしても、女児やつ阿爺とうさん、阿爺と歓迎して、帽子ぼうしをしまったり、れはよくするのです。私もまったく女児を亡くしてがっかりしてしまいました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
長「直にったって大騒ぎなんで、家内うちに少し取込とりこみがあるんで、年頃の一人娘のあまっちょが今朝出たっきりけえらねえので、内の女房やつ心配しんぺえしてえるんでね」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ですが、閻魔樣あちらさままへでは、けたものですから。——じつ此寺こゝ墓地ぼちに、洲崎すさき女郎やつまつてるんです。へ、へ、へ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お早うじゃないぜ、八、先刻さっき鳴ったのは上野の巳刻やつじゃないか」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
その当時の大阪は摂津大掾せっつだいじょうがまだ越路こしじの名で旭日あさひの登るような勢いであり、そのほかに弥津やつ太夫、大隅おおすみ太夫、呂太夫の錚々そうそうたるがあり、女義には東猿とうえん末虎すえとら長広ながひろ照玉てるぎょくと堂々と立者たてものそろっていた。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
山國にしておけよ、俺の家のやつが、なんでも船乘りになつてゐるさうだ。
佃のわたし (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
やつれたかの女のまえに、庄吉の呼んできた医者が、すわっていた。
あの顔 (新字新仮名) / 林不忘(著)
又右衛門は、やつれ顔でうなずき
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いんや、不可いけない。六十弗で此の毀れた時計やつを買って呉れるか、さもなければ——」
夜汽車 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「昼、やつ、弥太堀……」
返すと見えたのは包装のボール箱だけ……又は用意して来た、ほかの下らない本を詰めたりしてモトの隙間すきまへ突込んで、入用なやつはチャント脇の下に挟みながら……チェッ。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「まあ、それは持っていねえ、おれはこっちのやつで飲むから——時に武者修行」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま、瀧太郎たきたらうさんは、まじろがず、一段いちだん目玉めだまおほきくして、しかぬかにぶく/\とれてあま河豚やつふからおどろく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
グーンと沈んで甲板をザアザアザアと洗われながら次の大山脈のドテッ腹へもぐり込む。なんしろ船脚ふなあしがギッシリと重いのだから一度、大きなやつにたたかれると容易に浮き上らない。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おぬしの買った女はなんという湯女やつだっけ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
友吉の大好物だった虎鰒とらふぐを、絶壁がけの下から投上げてくれた漁師やつがあったからね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「どうも、折角のお招きに、醜態をお目にかけて、おゆるしください。舎弟の張飛は、竹を割ったような気性のやつですが、飲むと元気になり過ぎましてな。……はははは」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親方がのつそりきさまやつて見ろよと譲つて呉れゝば好いけれどものうとの馬鹿に虫の好い答へ、ハヽヽ憶ひ出しても、心配相に大真面目くさく云つた其面が可笑くて堪りませぬ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
だが、彼女はあまりに焦悴やつれていた。男達は一眼見ると、逃げるようにさっさと行ってしまった。彼女の顔は、もはや歓楽にふさわしい顔ではなかった。体だってもそうだ。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
夫ぢやアやつて下さるか如何いかに吾儕われがことをかまて見せようが此姿すがたでは如何どうかう詮方しかたがねへ付ては身姿みなりこせへるだけ金をば五兩貸てくれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吾輩はツカツカとその金網に近づいてブルブル震えているやつを抱き上げた。犬さえ見付かれや他に用は無い。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ウン、今頃は犯人やつ等、千里向うで昼寝してケツカルじゃろ。ハハン。うまくやりおった」
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不斷ふだんは、あまり評判ひやうばんのよくないやつで、肩車かたぐるま二十疋にじつぴき三十疋さんじつぴき狼立おほかみだち突立つツたつて、それが火柱ひばしらるの、三聲みこゑつゞけて、きち/\となくとたゝるの、みちるとわるいのとふ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いたましきまでやつれたれど其美そのうつくしさは神々かみ/\しきやうりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
叔母さん、この肺病というやつばかりは恐ろしいもんですね、叔母さんもいくらもご存じでしょう、さいの病気が夫に伝染して一家総だおれになるはよくあるためしです
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
見るからに陥ち凹みし、頬はかうでもなかりしに、さりとてはおやつれと。横顔ながら、身の痩せも、思ひ知らるる悲しさを。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
しかししまりはよさそうゆえ、絵草紙屋の前に立っても、パックリくなどという気遣きづかいは有るまいが、とにかく顋がとがって頬骨があらわれ、非道ひどやつれているせいか顔の造作がとげとげしていて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
積重つみかさね其上へやつ這上はひあがくだんひも兩端りやうはしを柱の上へ縛付しばりつけ首に卷つゝ南無阿彌陀佛のこゑ諸倶もろとも夜着の上よりまろび落れば其途端はずみに首くゝれ終にぞ息はえたりけるかへつとくお菊は田原町にて金の相談せしに金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
非常の時は非常手段でなくっちゃね。その代り素晴らしい代物を連れて来ましたぜ。昨日運転士からお知らせしたように、彼等の中には徒刑場から脱走した罪人やつがいます。
ぼく今日けふまでをんなよろこばすべく半襟はんえりはなかつたが、むすめ此等これらしなやつたら如何どんなよろこぶだらうとおもふと、ぼくもうれしくつてたまらなかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
……まだ他にも二三艘、大きなやつを沈めているんだそうですが、そんなに大きな船でなくとも、チョット乗った木葉船こっぱぶねでも間違いなく沈めるってんで、とてすごがられているんです。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
糞忌々くそいまいましいからそれからグングン仕事に掛って二時過ぎになるとお茶飯やつが出たが、俺は見向みむきも仕ないんだ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あなたのやつれを気づかっていたつい最前の自分も忘れ、お座なり文句もそこそこに、立ちあがると逃げだしてしまいました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
一杯六スーのまっかな葡萄酒やつがはいってるびんだよ。スュレーヌの壜だ。ほんとうによ、パリーの本物のスュレーヌだ。ああメティエンヌ爺さんが死んだって。かわいそうなことをした。
「いやそんなはずはございません。この上の高原でわなにかけ、罠を引っぱずして逃げるやつを、たしかに一本は狙いたがわず毒矢を射当てていたんですから」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これが、ぼると言います。阿漕あこぎやつです。はめられたんです。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病気見舞を兼ねて久しぶりで尋ねると、思ったほどにやつれてもいなかったので、半日を閑談して夜るの九時頃となった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かく睡気ねむけます効目ききめのある話——それもなるたけ、あまり誰にも知られていないというやつを、此の場かぎりという条件で、しゃべることにしちゃ、どうだろうかね
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうです。」とチチコフは答えたが、言葉を柔らげるために、「なに、この世にいない農奴やつをね」と言い足した。
もともと神秘だのと云ふ連中やつは、例の八ツ当りも出来ぬ弱虫ぢやで
星とピエロ (新字旧仮名) / 中原中也(著)
丁度ちょうど幸い、この屋敷の間近に、道場を立てるにはもってこいの空地がある。早速そこに、脇田道場に、勝るとも劣らぬ道場やつを、建てて遣わそう。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「いまも電話をかけましたが、青竜王やつ所在しょざいが不明です。その前は十日間も行方が分らなかった」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そいでおらの方でも、奴にゃあ一桝ひとますがとこ余計に麦をれてやらあな、だって見上げたやつだもの。議員の奴もどうして、感心な馬だ……。
急にスピードを掛けた馬力やつが、イの一番に円棒シャフトへコタえたんだね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どくむぎ、あたますき、なでしこむぎ、はとまめ、やはずえんどう、たいま、いぬすぎな、そのほかいろんなものがはいってやがるんだ。またばかに石の多いやつがあるのは言うまでもねえ。