“対”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
むか41.1%
たい26.9%
つい16.4%
こた4.3%
むこ2.4%
つゐ2.3%
1.9%
てえ1.3%
てい0.4%
あわ0.4%
つひ0.4%
むかい0.4%
むかう0.2%
むかひ0.2%
ムカ0.2%
0.2%
あは0.2%
くら0.2%
こと0.2%
むかっ0.2%
むかへ0.2%
むけ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だが、自分よりずっと上脊丈うわぜいのある三方の大人にむかって、彼がやった一瞬の身の動かし方は、同時に平等な打撃を相手に加えていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なつになると、しろくも屋根やねうえながれました。おんなは、ときどき、それらのうつりかわる自然しぜんたいして、ぼんやりながめましたが
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
葉子は下宿へいに来る一色とついで二三度庸三の書斎に姿を現わしたが、ある晩到頭一人でやって来て机の前にいる彼に近づいた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さて、今度はどこが一番疼むかと問うに、こたえて歯がひどく疼むというと、コイツは旨い。本当だ「玉抜いてこそ歯もうずくなれ」。
いつぞやの凌雲院りょううんいんの仕事の時も鉄やけいむこうにしてつまらぬことから喧嘩けんかを初め、鉄が肩先へ大怪我をさしたその後で鉄が親から泣き込まれ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雪をはらふは落花らくくわをはらふにつゐして風雅ふうがの一ツとし、和漢わかん吟咏ぎんえいあまた見えたれども、かゝる大雪をはらふは風雅ふうがすがたにあらず。
すると、講演の順番が彼にめぐって来た。彼はステージに出て、渦巻く聴衆の顔ときあっていたが、緑色の幻は眼の前にチラついた。
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
この片一方の腕にてえしても、かおが合わせられねえ仕儀さ。何とかしてこの腹癒はらいせをしねえことには、この虫がおさまらねえ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今一度逢いていもんだと、親父が達者でいればわれが事は片時も心に忘れる気遣いのねえもんだから、親父にていしても誠におらア気の毒に思うだ、おらわれにくむじゃねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恩あるその人のむこうに今は立ち居る十兵衛に連れ添える身のおもてあわすこと辛く、女気の繊弱かよわくも胸をどきつかせながら、まあ親方様
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
エヽ此水指このみづさしまこと結構けつこうですな、それからむかうのお屏風びやうぶ、三ぷくつひ探幽たんにゆうのおぢくそれ此霰このあられかま蘆屋あしやでげせうな
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
板の色白く、てらてらとむかいなる岸にかかりたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のつそりは憎い奴、親方のむかうを張つて大それた、五重の塔を生意気にも建てやうなんとは憎い奴憎い奴、親方がやさし過ぎるので増長した謀反人め
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
坦々たる古道の尽くるあたり、荊棘けいきよく路をふさぎたる原野にむかひて、これが開拓を勤むる勇猛の徒をけなす者はきようらずむば惰なり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
若くから氏上ウヂノカミで、数十の一族や、日本国中数万の氏人ウヂビトから立てられて来た家持ヤカモチも、ぢつとムカうてゐると、その静かな威に、圧せられるやうな気がして来る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
二人は、こう言いうと、童子を真中にして庭後へ出た。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
恩ある其人のむかうに今は立ち居る十兵衞に連添へる身の面をあはすこと辛く、女気の纎弱かよわくも胸を動悸どきつかせながら、まあ親方様
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その言いしれぬ肉のおもいを含んだ笑い声が、光の薄い湿っぽい待合室に鳴り渡って人の心を滅入めいらすような戸外そとの景色にくらべて何となく悲しいような、またあさましいような気がして来る。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
子曰く、賜や、なんじわれを以て多く学びて之を識る者と為すかと。ことえて曰く、然り、非なるかと、曰く、非なり。われ一以て之を貫くと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
実は昨日きのう朝飯あさはんの時、文三が叔母にむかって、一昨日おととい教師を番町に訪うて身の振方を依頼して来た趣を縷々るるはなし出したが、叔母は木然ぼくぜんとして情すくなき者の如く
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
又右の紀に、辺土と中州をむかへいひしに依ては、此五字をつ国のとも訓べし。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
常人つねなみのひとならばといひてにぐべきに、さはなくてその方に身をむけてつら/\見るに、かうくらくなりしにかゝるものゝあり/\と見ゆるもたゞ人ならじと猶よく見れば