“たい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タイ
語句割合
18.7%
17.4%
11.9%
11.8%
7.6%
6.8%
4.3%
2.7%
2.5%
2.4%
2.1%
2.0%
1.0%
0.9%
0.9%
0.8%
退0.7%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
他意0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
田居0.3%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
田井0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
詫異0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と言って、それから特に小さい者だけが来るようにと東のたいのほうへ童女を呼びにやった。しばらくして愛らしい姿の子が四人来た。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「凡そ事物の久遠くをんに垂るる者は、(中略)切実のたいあるを要す」(芥舟学画編かいしうがくぐわへん)とは、文芸の上にも確論だと思ふ。(十月六日)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あやしげなたい長芋ながいものおわん、こぶ巻、ご馳走ちそうといっても、そんな程度だが、倹約家の土肥半蔵にしては、大散財のつもりなのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにをとこころすなぞは、あなたがたおもつてゐるやうに、たいしたことではありません。どうせをんなうばふとなれば、かならずをとこころされるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
浴室よくしつまどからもこれえて、うつすりと湯氣ゆげすかすと、ほかの土地とちにはあまりあるまい、海市かいしたいする、山谷さんこく蜃氣樓しんきろうつた風情ふぜいがある。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この二つは、共に比較的あたらしい改良であって、以前はなるべくたいらな、まっすぐな棒を、少しもけずらずに使うのがおこであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なにうまはゐなかつたか? あそこは一たいうまなぞには、はひれないところでございます。なにしろうまかよみちとは、やぶひとへだたつてりますから。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何故なぜかともうすに、いわうえから見渡みわたす一たい景色けしきが、どうても昔馴染むかしなじみ三浦みうら西海岸にしかいがん何所どこやら似通にかよってるのでございますから……。
だが、その典医たちがくるよりも、鐘巻一火かねまきいっか門下もんか壮士そうしたいをしたがえてそこへ飛んできたほうが一足ひとあしばかり早かったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかれ彼等を生んだたいは、——大いなる民衆は滅びない。あらゆる芸術は形を変へても、必ずそのうちから生まれるであらう。
闇中問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかるにその日偶然にも二たいの上人の作が私の目に映ったのです。目に映ったという方が応わしいでしょう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
夕立雲ゆふだちぐも立籠たちこめたのでもなさゝうで、山嶽さんがくおもむきは墨染すみぞめ法衣ころもかさねて、かたむらさき袈裟けさした、大聖僧だいせいそうたいがないでもない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さてまた此大したお金を何ぞいことにつかたいと思ふにつけ、さき/\のかんがへが胸のうちに浮んで来ましたが、いづれも夢か幻のやうくうな考へでした。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
とほくからみなみまはらうとしておもひのほかあたゝかいひかりで一たいしもかしたので、何處どこでもみづつたやうなうるほひをつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私達の立つてゐる北山公園の一部には、若葉の蔭に楡銭がたいを成して散り重なり、何処からか柳絮が飛ぶのであつた。
目科は其声高しと叱り鎮めて「いや此傷は、なにたいした事でも有ますまいが何分にも痛むので幸い貴方が医学生だから手当をて貰おうと思いまして」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
浜野知三郎さんのことに拠るに、「北条子譲墓碣銘」は山陽の作つた最後の金石文であらうと云ふことである。霞亭の家は養子退たいが襲いだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
とにもかくにもたいさんの所へ、知慧を借りに出かけようとすると、ちょうどそこへその泰さんの所から、電話がかかって来たじゃありませんか。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
戴きましょうだが、毎月その扶持米をしらげてもらいたい。モ一つついでにその米をめしか粥にたいて貰いたい。イヤ毎月と云わずに毎日もらいたい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「ほんとうに蛇なら、いい人がいる、白馬廟の前に、蛇捉へびとりたいという先生がいる、この人に頼もうじゃないか」
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
固より壊空ゑくうの理をたいして意欲の火炎ほのほを胸に揚げらるゝこともなく、涅槃ねはんの真をして執着の彩色いろに心を染まさるゝことも無ければ、堂塔を興し伽藍を立てんと望まれしにもあらざれど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
主税は、当初はじめから酔わなきゃ話せないで陶然としていたが、さりながら夫人、日本広しといえども、私におまんまたいてくれたおんなは、お蔦の他ありません。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そもそも仏国の土国をたいするを見るに、友誼ゆうぎ懇親によるのほか、さらに他意あらず。ゆえに土国のために害ある約はたつべからず。この理、領解しがたきにあらず。
で、周馬の空表情そらひょうじょうを、他意たいなくうけいれるさまに
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をくたい主義しゆぎ慣習くわんしふもつと雄辯ゆうべん説明せつめいするものゝ一はすなは歴代れきだい遷都せんと史實しじつである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
だがたいらな道でもつまずくことはあるものですし、しょせん人間の運命とはそうしたものです。大本おおもとにおいては誤らぬまでも、区々たることについては間違うものです。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
立去り我が家へ歸りかみいのりしこともむだとも成しとて夫より只管ひたすら菩提ぼだいとふらはんと思ひはなを供へ香をたいて只々一途に後生を願うてゐる所に其夜丑刻やつどき頃と思ふ折しも表の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに——本村ほんむらを遠く離れた、時はずれの、人まぬ田居たいばかりである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
もっともコンナのはその中でも特別あつらえの一例だがね……呉モヨ子は、ふん夫人の心理を夢中遊行で繰り返すと同時に、その姉のたい夫人が
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうしてその記憶のうちにタッタ一つ美しいモヨ子……一千年前の犠牲であったたい夫人に生写いきうつしの姿がアリアリと浮出した
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
カチインと※ずきこ※てくる球突たまつきたまひゞきはさういふ塲面ばめん空氣くうき對應たいおうして、いかにもかんじの美しい、何ともいへない舞たい効果こうくわをなしてゐる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
『はあ——ナニ、たいしたことでも無かつたんです。』と答へて、丑松は気を変へて
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……その時田沼は感激して、涙を流したということだ。……それだのに私のお父上が、この世を辞してからというものは、千たい沙汰の限りの態だ。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
〔譯〕心をれいと爲す。其の條理でうり情識じやうしきうごく、之をよくと謂ふ。欲に公私こうし有り、情識の條理に通ずるを公と爲す。條理の情識にとゞこほるを私と爲す。自ら其のつうたいとをべんずるは、即ち心のれいなり。
ひるかりしてけものしよくとし、夜は樹根きのね岩窟がんくつ寝所ねどころとなし、生木なまきたいさむさしのぎかつあかしとなし、たまゝにて寝臥ねふしをなす。
主従三騎、味方がやがて落そうとする谷を左に道をとり、人も通わぬ田井たいはたという古い道を急ぎ、一の谷の浜辺に出た。まだ深夜である。
全校ぜんかうたい腕白わんぱくでも數學すうがくでも。しかるに天性てんせいきなでは全校ぜんかうだい一の名譽めいよ志村しむらといふ少年せうねんうばはれてた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
だつたいるゐ、人をさすとあればはちるゐ也、雪中のむしじよしたがふべし、しかれば雪蛆せつじよは雪中の蛆蠅うじばへ也。木火土金水もくくわどごんすゐの五行中皆虫をしやうず、木の虫土の虫水の虫はつねに見る所めづらしからず。
五色に透いて輝きまするわにの皮三十六枚、沙金さきんつつみ七十たい
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わかい彼蘭軒が少い此山陽をして、かうべを俯して筆耕を事とせしめたとすると、わたくしは運命のイロニイに詫異たいせざることを得ない。わたくしは当時の山陽の顔が見たくてならない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
野郎と云いざま、幸助は匕首をまっすぐに持って突っかけて来、芳造はたいを右にひらいてそれをかわすと、のめってゆく幸助の背中をうしろからすばやく、力いっぱい突きのめした。
枡落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
字書じしよたい暴風ばうふうともあればよくかなへるにや。さて雪頽なだれ雪吹ふゞきならべて雪国の難義なんぎとす。高山たかやまの雪は里よりもふかく、こほるも又里よりははなはだし。我国東南の山々さとにちかきも雪一丈四五尺なるはあさしとす。