“螫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
81.6%
さゝ5.3%
はり2.6%
はさみ2.6%
ささ2.6%
さす1.3%
1.3%
けん1.3%
せせ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たちまち、チクリと右の手の甲が痛み出した。見ると毒虫にいつの間にやらされていた。駕龍の中にはたえなる名香さえ焚いてあるのだ。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
まだかまだかとへいまわりを七まわり、欠伸あくびかずきて、はらふとすれど名物めいぶつ首筋くびすぢひたいぎわしたゝかさゝれ、三五らうよわりきるとき美登利みどり立出たちいでゝいざとふに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
るどころか、却って数もふえて、それが大変いやな小悪魔達で、お尻にとても毒のあるはりを持っていることも知っています。
猴は毎々そうするか否を知らぬが、予かつて庭に遊ぶ蟹に一片の香の物を投ぐると走り寄りて右のはさみでこれを執る。また一片を投ぐると左の螫で執る。
まだかまだかとへいの廻りを七度び廻り、欠伸あくびの数も尽きて、払ふとすれど名物の蚊に首筋額ぎわしたたかさされ、三五郎弱りきる時、美登利立出でていざと言ふに
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかれども人をさすむしにはあらず、顕微鏡むしめがねにてたる所をこゝにして物産家ぶつさんかせつつ。
累「坊が蚊にわれて憫然かわいそうでございますから、何卒どうかそれだけはお釣り遊ばして」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして前の方に鰕の鋏のやうな二つの鋏を持つてゐて、背中は節だらけで、うねつた尾の端にけんがある。鋏は、つまらない嚇し道具で、害にはならない。それは、尾の端の螫で武装してゐるのだ。
「お前さん、こんなとこで寝るのに着物を着て寝る者があるもんですか。ふんどし一筋だって、肌に着けてちゃ、せせられて睡られやしない、素裸すっぱだかでなくっちゃ……」
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)