“遠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とお57.6%
とほ22.7%
をち4.6%
とおざ3.2%
とほざ3.2%
どお1.1%
どほ1.1%
トホ1.1%
えん0.9%
0.9%
とほく0.5%
おち0.4%
0.4%
とおざか0.4%
とほざか0.4%
とう0.2%
ゑん0.2%
とおー0.2%
0.2%
0.2%
とうざ0.2%
とおき0.2%
0.2%
みち0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは、ひろい、さびしい野原のはらでありました。まちからも、むらからも、とおはなれていまして、人間にんげんのめったにゆかないところであります。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さく年の初夏しよか兩親れうしんの家から別居べつきよして、赤坂區さかく新町に家を持ち、馴染なじみのその球突塲たまつきばとほくなるとともにまたほとんどやめたやうなかたちになつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
と長く声を引いて独言ひとりごとを言っているのを、夫人は横目にながめて、「浦よりをちぐ船の」(我をばよそに隔てつるかな)と低く言って、物思わしそうにしていた。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかし蘆荻蒹葭は日と共に都市の周囲よりとおざけられ、今日では荒川放水路の堤防から更に江戸川の沿岸まで行かねば見られぬようになった。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
醜悪なる社界を罵蹴して一蹶いつけつ青山に入り、怪しげなる草廬さうろを結びて、空しく俗骨をして畸人の名に敬して心にはとほざけしめたるなり。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
子供こどもは、これをくと、がっかりしました。それから、どんなに、はるのくるのをどおしくおもったことでしょう。
魚と白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今日けふまでの所では、読む時にはなり引入れられるやうであるけれど、読み終つたあとでは何だか縁どほい世界の消息の気がするし、多少の反感さへ残るやうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
春洋は、今こそまことに、トホの 関塞ミカドの防人として、夜の守り・日の衛りにつかへて、ヤスい日とてはあるまい。
鵠が音:03 追ひ書き (新字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
祖父以来の駿すんえんさんの三ヵ国を他人に取られて、ただ一個の鞠をいだき、得意がっておるあの容子ようすは……さてさて、見るもなかなか不愍ふびんであった
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何卒御面ながら御足お止められ候所を一筆御印置可(おしるしおきつかはさるべき)よふ(のぞみたてまつり)候。
先生はとほくから此の聲を聞いて再び面白さうに笑ふ。時々はわざとからかふつもりで、凋れかゝつた花なぞを投げてやる事がある。先生はいつも獨りである。
鴎外先生 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
われらみなかし老木おいきたてにしてその陰にうずくまりぬ。四辺あたりの家々より起こる叫び声、泣き声、おちかたに響く騒然たる物音、げにまれなる強震なり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
うに忘れちまった顔でも、皺一本違わずに、恐ろしいほど正確に、現われてくるじゃないか……写真は五官を超越した神秘が、美しく絵を形造っているんだ。
魔像 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
以前のは一概に女の前に目も鼻もなくなって書かれた小説、近頃のは机の上で外国の小説などから暗示を得て書かれた小説、共に世相の真実にはとおざかっておるかと存じます。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
ヨーロツパも文明の中心からはとほざかつて男ははでな着物きて、よるの窓下にセレナドを弾き、女は薔薇ばらの花を黒髪にさしあらはなる半身をマンチラに蔽ひ
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
蒙り駿すんゑんの四ヶ國の巡見使じゆんけんしとして松平縫殿頭罷越まかりこせし處なり然ば其方共願ひの筋江戸表へ御差出に相成天下の御評定ひやうぢやうにも相成に付願書の趣き一通り御吟味ぎんみ有之により有難く存ずべしとの仰にけり扨是より一通り糺問たゞしの上藤八お節の兩人江戸表へ差立さしたてとなりたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こう気がとおーくなりますと、すうと人の来るはいがいたして、悴の枕もとにすわる者があるのです。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
さらにそれを貫いて進むと、ついに漠然たる生活に充ちた、波瀾重畳のちかたに没してしまう。しかししばらくたつと、眼尻からある一瞥が、広間の中へさっと戻って来る。
神童 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
北の島根にかり來て
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
一時ひとゝきばかり海中かいちうひたつてつたが、其内そのうち救助すくひもとむるひとこゑきこえずなり、その弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつしたところより餘程よほどとうざかつた樣子やうす不意ふゐ日出雄少年ひでをせうねんが『あらくろものが。』とさけぶので
第五 遍地ニ罨覆あんぷくシテ寒ノ土中ニ侵透スルヲ防拒ス 地中よりテ以テ寒冷ヲ致サズ かえっテ温ヲ得 故ニ草木肥茂シ蟄虫ちっちゅう生ヲ得 又雪上ニそりヲ走ラシ犬鹿ヲ駆使シおもきヲ引キとおきニ致ス 故ニ北陲ほくすいおおきモ害ナク利アリ
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それには仔細しさいがあって、今当分は、わざとおとなされた方が、のちのちのためによいとおもわれての事かも知れない——あのお方には世間がある、芸がある——それを、一途いちずに、女気で
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
彼の専門とする経済学も、彼をして人毎に一つの癖はある者を我には許せ経済のみち洒落しやれしめたる経済学も、或は古風なる「マンチェスター」派のものなりと顧みざる者もあらん。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
けだし氏輝は女は遠ざけたが、「若衆春留するかまはぬかのえさる」小姓を愛し通したのだ。