“とほ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トホ
語句割合
36.4%
29.9%
12.9%
10.7%
杜甫3.3%
徒歩1.9%
1.2%
1.2%
0.7%
通行0.2%
0.2%
十穂0.2%
0.2%
0.2%
註文0.2%
透徹0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それといふのが、時節柄じせつがらあつさのため、可恐おそろしわるやまひ流行はやつて、さきとほつたつじなどといふむらは、から一めん石灰いしばひだらけぢやあるまいか。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひさしぶりで、うしてかせたまゝ、りの小間使こまづかひさへとほざけて、ハタとひらきとざしたおとが、こだまするまでひゞいたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はやがて、繰返す女の言葉も遂には途切れたなり聞えなくなつた時、ふと薄い袷の膝をとほして、女の涙の生暖い潤ひを覺え出した。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
天守てんしゆしたへもあなとほつて、おしろ抜道ぬけみちぢや不思議ふしぎぬまでの、……わし祖父殿おんぢいどん手細工てざいくふねで、殿様とのさまめかけいたとつけ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
漢書は蕪村の愛読せし所、その詩を解すること深く、芭蕉が極めておぼろに杜甫とほの詩想を認めしとは異なりしなるべし。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
徒歩とほで枕崎に出るのである。生涯再びは見る事もない此の坊津の風景は、おそろしいほど新鮮であった。私は何度も振り返り振り返り、そのたびの展望に目を見張った。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
とほくの 方では 舎密せいみも 鳴つてる。
けんとほる。君子終り有りきつ。○彖伝たんでんに曰く、天道はくだして光明。地道はいやしくして上行す。
地山謙 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
うつゝぜめとかまをすのに、どら、ねうばち太鼓たいこ一齊いちどきたゝくより、かねばかりですから、餘計よけい脈々みやく/\ひゞいて、とほつて、くるしさつたら、に三注射ちうしやはりされます
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さらでだに虫の音も絶え果てた冬近い夜のさびしさに、まだ宵ながら家々の戸がピタリとしまつて、通行とほる人もなく、話声さへ洩れぬ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
松太郎の通行とほる度、店先にゐさへすれば、屹度この眼で調戯からかふ。落花生なんきんまめの殻を投げることもある。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
とほるばかりのわかに身体を浸し温めて、しばらく清流の響に耳をなぶらせる其楽しさ。夕暮近い日の光は窓からさし入つて、けぶる風呂場の内を朦朧もうろうとして見せた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
空は濃く青くとほるやうになつた。南のかたに当つて、ちぎれ/\な雲の群も起る。今は温暖あたゝかい光の為にされて、野も煙り、岡も呼吸し、踏んで行く街道の土の灰色に乾く臭気にほひ心地こゝろもちが好い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼処かしこに、尾花が十穂とほばかり、例のおなじようなげた丘の腹に、小草おぐさもないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高くつぼみさえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、繻珍しゅちんの帯を矢の字にしたのが
柏軒はこれを聞いて、汗出でてそびらとほつた。此日の燕集が何のために催されたかは、その毫も測り知らざる所であつた。柏軒は此より節を折つて書を読んだと云ふのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ネフスキイとほりを微行で歩く。今上陛下がお通りになつた。まちぢゆうの者が帽子を脱つたのでおれも同じやうにしたけれど、おれが西班牙の王樣だといふことは氣振りにも見せなかつた。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
見識らぬ紳士もカレイライスを註文とほしてゐたものとみえて、その男の前にはやがて料理の皿が運ばれた。ところが、その男はなかなか食ひさうな気色けはいがなかった。
溺死・火事・スプーン (新字旧仮名) / 原民喜(著)
わらべが髪にえつきてほとけの如く透徹とほらしめ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
先方さき公立こうりつなりとておな唱歌しようか本家ほんけのやうなとほをしおる、去年こぞ一昨年おととし先方さきには大人おとな末社まつしやがつきて、まつりの趣向しゆこうれよりははなかせ、喧嘩けんくわ手出てだししのなりがたき仕組しくみもりき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)