“先方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さき38.4%
むこう34.0%
むかう8.2%
せんぽう7.5%
せんぱう3.7%
むかふ1.9%
あつち1.5%
あちら0.7%
あっち0.7%
さきがた0.7%
あひて0.4%
かなた0.4%
こちら0.4%
さきかた0.4%
さっき0.4%
さつき0.4%
せんばう0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夢中で二三げんけ出すとね、ちゃらんと音がしたので、またハッと思いましたよ。おあしを落したのが先方さきへ聞えやしまいかと思って。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「じゃ御止およしになれば好いのに。つまらないわ、貴夫、今になってあんな人と交際うのは。一体どういう気なんでしょう、先方むこうは」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は、然し、主筆が常に自己おのれと利害の反する側の人を、好く云はぬ事を知つて居た。「先方むかうが六人で、此方こつちよりは一人増えたな。」
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「どうか、この荷物にもつ無事ぶじ先方せんぽうとどけてくれ。そうすればかえりにあんころもちをってやるぞ。」と、おとこは、うしにいったのであります。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これから釣堀つりぼりへまゐりますと、男女なんによ二人連ふたりづれゆゑ先方せんぱうでもかして小間こまとほして、しゞみのおつけ、おいも煑転につころがしで一猪口いつちよこ出ました。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さよか、先方むかふがそない言うてるのんやと——」鴈治郎の顔は見る/\相好さうがうが崩れた。「会うだけなら一遍会うても構やへんな。」
私は然し、主筆が常に自己おのれと利害の反する側の人を、好く云はぬ事を知つて居た。「先方あつちが六人で、此方よりは一人増えたな。」
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「道理でさっき私がこの事をいいかけるとあのかたが目で留めたんですよ。やはり先方あちらでもあなたに知らせまいとして。いじらしいじゃありませんか」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
所が先方あっちの奴も抜かん、此方こっち勿論もちろん抜かん、所で擦違すれちがったから、それを拍子に私はドン/\逃げた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いま先方さきがた門野を呼んでくくり枕を取り寄せて、午寐ひるねむさぼった時は、あまりに溌溂はつらつたる宇宙の刺激に堪えなくなった頭を、出来るならば、あおい色の付いた、深い水の中に沈めたい位に思った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
せておまへさまは何故なぜそのやうに御心おこゝろよわいことおほせられるぞ八重やへ元來もとより愚鈍ぐどんなり相談はなしてからが甲斐かひなしとおぼしめしてかれぬ御使おつかひも一しんは一しん先方かなたさまどのやう御情おなさけしらずでらうともつらぬかぬといふことあるやうなしなにともしておのぞ屹度きつとかなへさせますものを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先方こちらからの望みであったというし、目下区長が全責任を負うて心配している信用組合の破綻を救うために、村民の決議で村有の山林原野を抵当にした、相当有利な条件の借金話が
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親子は裁縫の師匠をしているので、つい先方さきかた弟子の娘たちが帰った後の、断布片たちぎれや糸屑がまだ座敷に散らかっているのを手早く片寄せて、ともかくもとしとねに請ずる。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
家の門を這入はいると、玄関に誠太郎のらしいくつ叮嚀ていねいならべてあった。門野に聞いたら、へえそうです、先方さっきから待って御出ですという答であった。代助はすぐ書斎へ来て見た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うちもん這入はいると、玄関に誠太郎のらしいくつが叮嚀にならべてあつた。門野かどのいたら、へえ左様さうです、先方さつきからつて御出おいでですといふこたへであつた。代助はすぐ書斎へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やうや鐵條網てつでうもうそとからお賽錢さいせんげたのを、へん男子をとこがノコ/\て、敬禮けいれいず、無遠慮むゑんりよに、あなはいつて加之あまつさへ賽錢さいせんんだのだから、先方せんばうになるとはらつのももつとも千ばん