“とう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トウ
語句割合
20.8%
9.5%
8.1%
6.5%
4.8%
4.8%
4.5%
3.9%
3.9%
3.5%
2.1%
2.1%
1.9%
1.5%
1.5%
1.3%
1.2%
1.0%
0.9%
0.8%
0.8%
多武0.7%
義父0.6%
十歳0.6%
0.6%
0.6%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
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養父0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
阿父0.1%
0.1%
父親0.1%
ヷ島0.1%
一頭0.1%
0.1%
0.1%
十箇0.1%
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0.1%
実父0.1%
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舅父0.1%
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訪問0.1%
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途法0.1%
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おれのおとうさんが少し出すには、お前のお父さんが澤山出す何倍の骨が折れたか知れないのだ。なる程お前のにいさんは博士ではない。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
小生、今朝こんてうふと応接室へまゐり候所、この影のうすき少女、とうのテエブルの上へのしかかり、熱心に「けふの自習課題」を読み居り候。
伊東から (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また、一とうしつからも、大臣だいじんや、高等官こうとうかんかおがちょっとばかりあらわれました。しかしそのひとたちのかおは、じきにんでしまいました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その頃ではもうき遲れの二十二、非凡の美しさで、娘姿にとうも立ちませんが、はたの者に氣を揉ませることは一と通りではありません。
じつは、あの犬どもは魔法まほうをかけられておりまして、あのとうのなかにあるたくさんのたからもののばんをしていなければならないのです。
おそかなおのれより三歳みつわか山田やまだすで竪琴草子たてごとざうしなる一篇いつぺんつゞつて、とうからあたへつ者であつたのは奈何どうです、さうふ物を書いたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
千山はとうの時代に開いた梵刹ぼんさつで、今だに残っているのは、牛でもなければ豚でもない、ただ山と谷といわと御寺と坊主だけであるから
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分じぶんうしより、よくないうしや、うまは、一とうだって、ここにはいないだろうとおもったほど、自分じぶんうしがつまらなくおもわれたのであります。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この×××らばおれにも殺せる。」——田口一等卒はそう思いながら、枯柳の根もとに腰をおろした。騎兵はまたとうを振り上げた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それにもかかわらず、とうの名探偵は、いつさめるともなく、昏々こんこんと眠っている。眠った上にご丁寧ていねいにも身動きもできずしばられている。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その男の押すボタンに連れて、珠が鏡に変わるのである。部屋の広さ三十畳敷ぐらいそこに幾個か円卓があり、円卓の周囲まわりとうがある。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
勘次かんじころからおしなのいふなりにるのであつた。二人ふたりとほくはけないので、隣村となりむら知合しりあひとうじた。兩方りやうはう姻戚みよりさわした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
どすーンと音がして、空から庭のまん中に落ちてきたのは、とうの寝椅子だった。と思うまもなく、こんどはその上へ人間が降ってきて、どすン。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうこうしているうちに汽車に乗るはずの時刻はとうに過ぎた。絣姿の弟たちはステーションでさぞ待ちかねて不安でもいるのだろう。私は
突堤 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そこここのへいとへいとの間にガスとうがちらちらしていた。親方は立ち止まったとき、かれがいよいよ力のつきたことをわたしは知った。
「何んとかして下さいよ、親分。あんな怪物えてものにのさばられちや、こちとらの耻ばかりでなく、神田つ子一とうの耻ぢやありませんか」
本能やりばなき、血のなかのものを、義貞もいま、三条高倉邸の離亭はなれの一とうに照らして、みずからの身に見ていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目の藥となすか知ねどにあらず目には忌可いむべき物とうありとある醫者どのに聞たりしに中にも風にあたるをみ又白き物を見るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ロボの一とうは、非常に数が多いようにいわれているが、私の調べたところでは、五、六頭にすぎないようだ。しかし、どれもこれも狂暴きょうぼうなやつばかりである。
で、エリークさん、おまえさんやわしの住んでいる、このエーランドとうは、じつをいえば、いま話したチョウのからだなのさ。
相伝あいつたう、維亭いていの張小舎、とうを察すと。たまたま市中を歩く。一人の衣冠甚だ整いたるが、草をになう者に遭うて、数茎を抜き取り、ってかわやにゆくを見る。
行手を見れば、多武とうみね初瀬山はつせやま。歴史にも、風流にも、思い出の多い山々が屏風のように囲んでいる。
行商をしてお母さんを養っている気の毒なお義父とうさんを慰めてあげる事が出来るのだろうか……、何も満足に出来ない私である。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
お杉は重蔵に比べると、殆ど十歳とうばかりの姉であったが、何時いつこの二人がなれ馴染なじんで、一旦は山の奥へ身を隠した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
庭には小さいながらも池があつて、赤い黒い、尺許りの鯉が十ぴきも居た。家の前には、其頃村に唯一つの衡門かぶきもんが立つてゐた。叔父の家のは、とうに朽ちて了つたのである。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
とう州、静海せいかい軍の姚氏ちょうしがその部下と共に、海の魚を捕って年々の貢物みつぎものにしていました。
「おつぎにゐらつしやるのは醉月のとうはん、豐竹小呂昇はんと承知して居るが、こちらにゐらつしやるも一人の娘はんはどなた樣です。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
あのとうとかりし我熱情の、いたずらに消耗された事を思い嘆くあまりの、焦燥から来た我執とみなければなるまい。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
苗字みょうじとう、名はりゅう、つまり湯隆とうりゅうという者で、父はもと延安府えんあんふ軍寨ぐんさい長官だったそうだが、軍人の子にもやくざは多い。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そりゃ惜しいわね。いつか一度はきっと行かなくちゃだめよ。でも、ほんとに加減が悪そうだこと。わたしの頭痛とうを貸して上げましょうか。」
とう将軍。まずよく防ぎ、よく戦い、賊兵を追ッぱらって、宋江の首を持って来給え。それを聟引出むこひきでとして、君にわしの愛娘まなむすめをやろうじゃないか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門口より見るに、土間の中央にとうを折りべて火を燃やし、大いなる鐵のなべりたり。その下に火を吹く童ありて、こなたへ振り向くを見ればピエトロなり。
とうの器、杯などを、卓の上へ並べだした。ところへ、のっそり魯智深が近づいてきたので。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日出雄少年ひでをせうねん二名にめい水兵すいへいもくして一言いちげんなく、稻妻いなづま終夜よもすがらとうしにえたので餘程よほどつかれたとえ、わたくしかたわらよこたはつてる。
其一人の外被うわぎ青白赤せいはくせき三色の線ある徽章しるしおびたるはとうでもしるき警察官にして今一人は予審判事ならん、判事より少し離れたる所に、卓子ていぶるに向い何事をか書認かきしたゝめつゝ有るはたしかに判事の書記生なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
一方は湖だし、いまさらひきかえすことも残念ざんねんだ。ゆくにしたがっていよいよ丘陵きゅうりょうが多くなった。一とうこう、骨の折れることおびただしい。どうやら地面の光景は一変した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ついでにいわく、支那で野猪を画いた古い例は、『晋書しんじょ』に、とう氏の妻病篤く、医手をこまぬき尽しても及ばず、韓支ぜいして野猪を画かせ、臥室の屏風びょうぶに貼らしめてえたそうだ。
ただこの色をあじわえば世界を味わったものである。世界の色は自己の成功につれてあざやかに眼にうつる。鮮やかなる事錦をあざむくに至って生きて甲斐かいある命はとうとい。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と込上げ揉立もみたて、真赤まっかになった、七てんとう息継いきつぎに、つぎざましの茶を取って、がぶりと遣ると
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
出立の日重井おもいの発言によりて大鯰おおなまずの料理を命じ、ひそかに大官吏を暗殺して内外の福利を進めんことを祝しぬ。かくて午後七時頃神戸行きの船にとうぜしは古井、稲垣および妾の三人なりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
当然、吉野朝廷のよろこびは大きく、顕家の不とうくつな来援は
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とうは慾が深い。あんなに慾が深くては剛者にはなれないね。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
とう々たる血の流れの歌。酔倒の欷歔すすりなき
いずれにしても孟子とう文公の章句に拠ったのは言うまでもない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「わたくしでございますか、わたくしは、廷章ていしょうと申します、姓はとうでございます」
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新しいお直衣のうしすその長い下襲したがさねを召してお身なりをおととのえになって、客の礼に対するとうの拝礼を階下へ降りてあそばされたが、大将もりっぱであったし、宮もきわめてごりっぱなお姿と見えた。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
彼輩衣食のために無益の事をしげく興し、あるいは奸民と結託し、あるいは謄記料を撤免してまでも、日本国光の一大要素たる古社神林を棄市凌遅りょうち同然の惨刑に処し、その山を赭にしその海をとう
医者は煙管きせるにタバコをつめながら始終ニコ/\して、そんな昔語むかしかたりが楽しさうだつた。強い近眼鏡をとうして見える彼の眼は、正午の猫のやうに細くて愛嬌がある。
念仏の家 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
『あ、もう十二時がとうに過ぎて居る。』と云ツて、少し頭をひねツて居たが、『怎だ君、今夜少し飲まうぢやないか。』
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その痛さより、身はくだくるかと思えども、なおも命はあらしゃった。されども慈悲じひもある人の、生きたと見てはとてもとうべはせまいとて、息を殺しをつぶっていられたじゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ところがです……ここで今一つお尋ねしますが貴方は……貴方のお養父とう様でもおなじ事ですが、この三ツの事件を別々に引き離してお考えになった事は、ありませんか」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
むすめとうが死んでから半年はんねんの間、五百いおは少しく精神の均衡を失して、夕暮になると、窓を開けて庭のやみを凝視していることがしばしばあった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
長女いとは馬場氏に嫁し、三女とうは山内氏をぎ、次女よし、三男八三郎、四男幻香げんこうは亡くなっていたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
とう時、わたしの一家は長さきんでゐた。その長さきには、下岡蓮杖おうならんで、日本寫しんかい元祖ぐわんそである上野彦馬おうが同じくんでゐた。
本石町の小西と淺沼あさぬま、今川小しんどう——それらがとう時のゆう名なみせだつたが、とにかく東けうにも寫眞器屋しやしんきやなどはまだかぞへるほどしかなかつたやうにおもふ。
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
ほと/\えられぬ臭氣しゆうきも、たましひも、とうくなるほどで、最早もはやこのくさつたさかなとは一刻いつこく同居どうきよがたく、無限むげんうらみんで、少年せうねん二人ふたりで、沙魚ふか死骸しがいをば海底かいていふかほうむつてしまつた。
そら、媒人なこうどでしょううちは? だから、阿父とうさんも阿母かあさんも早めに行ってないと不好いけないって、先刻さっき出て行ったのよ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
花模様の丸ボヤの洋灯ランプもとで、隅ではあったが、皆と一つ食卓にむかい、若い雪江さんの罪の無い話を聴きながら、阿父とうさん阿母かあさんの莞爾々々にこにこしたかおを見て、にぎやかに食事して
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
夜が明けると、邸内のお長屋から、槍やとう(革のしない)を持った侍たちが、ぞろぞろと籾蔵もみぐらの前の空地へ出て行った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日吉は、前へ泳いで、辛くも踏み止まったが、そこらにある稽古槍にもとうにも手を出さなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母親かあさんが早く死去なくなり、お父親とうさん一人きりになっている、その大切なお父親とうさんの側に坐り込み、耳を澄ますのを習慣としていた。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
という声が聞こえた時、両耳の辺ばかりにわずかの髪をのこしている、お父親とうさんの禿はげた頭が上がり、声の来た方へ向いたので、お蘭もそっちへ顔を向けた。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかしたゞひといまから四十年前しじゆうねんぜん(一八九二ねん)にオランダの軍醫ぐんいデヨボアといふひとが、南洋なんようジャヷ島とうのトリニールといふところ發見はつけんしたほね
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そして、そのなかには、くろてつのがっしりしたかごのなかに、一頭とうおおきなくまが、はいっていました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
七郎の子はとう漂泊ひょうはくしていって、姓をとうと変えていたが、兵卒から身を起し、軍功によって同知将軍になって遼陽りょうように帰って来た。武はもう八十余であった。そこで武はその父の墓を教えてやった。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
精神せいしんとう何事なにごとかならざらん」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「お前も聽いたことだらうが、天井裏に旦那の隱したのは三千兩、三百兩包みが十箇とうだといふが、死骸の傍で見付けたのは三つだけだ、あと二千兩といふ金は、何處へ行つたか、見當はつかないか」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
この蟻は地下きわめて深く巣をうがち発掘せる土をもってとうを造る。時に直径三四十尺に及ぶことあり。しかして諸方面に巣より付近の植物に通ずる道路を設く。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
とうちやんだすか、可愛らしいおますな。』
日記のうち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
此方こつちへ來やはつてから、何んぼにもならんうちや、そいでも三四年してからやつたかなア、とうやんが生れてき死にやはつて、奧さんが墓參りに行きやはると、何んでも寒い時で
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「おりを見て荏原えばら屋敷へ忍び入り、お実父とう様のかたきを討たなければ……」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
峠と書いてタワ又はタヲと読ませているものが中国には可なり多く、四国には滑峠なめつとうてんとうの如くトウと読ませているものさえある。
(新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
まへまをしましたとほり、かの立派りつぱなエヂプトの文明ぶんめいも、クリートとうにあつたギリシア以前いぜん非常ひじようすゝんだ文明ぶんめいも、みな青銅せいどう時代じだいぞくしてゐることをわすれてはなりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もうとうに音楽は始まっていた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それであるのに、この一とうの画を戦火から救っておこうとした、あの発作的の行動は、そもそもどこから生れて来たものであろうか。鶴見にはそれも一つの不思議である。
そして、目的は、相手を負かそうとか、自分の主張をあくまでもとうそうとか、そういう浅薄な野心は毫末ごうまつもない。ただ自分を忘れて、道のために議するというふうの態度がありあり見える。
ソクラテス (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
三輪の萬七は血眼ちまなこでした。小さい路地の内外を鐵とうの如く堅めて、さて路地の一番奧の家、八五郎の宿へ向つたのです。
第二十一子しん王とし、第二十二子えいあん王とし、第二十三子けいとう王とし、第二十四子とうえい王とし、第二十五子𣟗王としたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
熱田の花のとうなどは、書物に由っては「花の堂」とも「花のとう」ともさまざまの字を当てているが、これを諏訪の花会はなえの古式に比べて見れば「花のとう」と書くことの正しいのが分る。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
堂に法華ほっけと云い、石に仏足ぶっそくと云い、とう相輪そうりんと云い、院に浄土と云うも、ただ名と年と歴史をして吾事わがことおわると思うはしかばねいだいて活ける人を髣髴ほうふつするようなものである。見るは名あるがためではない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
〔譯〕がく自得じとくたふとぶ。人いたづらに目を以て有字の書を讀む、故に字にきよくし、通透つうとうすることを得ず。まさに心を以て無字の書を讀むべし、乃ちとうして自得するところ有らん。
わたし(聊斎志異の著者、蒲松齢)の姉の夫の祖父に宋公、諱をとうといった者があった。それは村の給費生であったが、ある日病気で寝ていると、役人がつうちじょうを持ち、ひたいに白毛のある馬をいて来て
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
村は一月晩ひとつきおくれでも、寺は案外陽暦ようれきで行くのがあって、四月八日はお釈迦様しゃかさま誕生会たんじょうえ。寺々のかねが子供を呼ぶと、とうかあねえに連れられた子供が、小さな竹筒をげて、嬉々ききとして甘茶あまちゃを汲みに行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
小野氏に寄せた書は「閏月十日」の日附があつて、広江夫妻に寄するものにさきだつこと十五日である。前書を裁した時とうを病んでゐた陽が、後書を裁する時既にえてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あるはとう々のぼり來る旭日の光見る如し。 135
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
わが昔の知人しるひとの僅に生き殘れるは、西班牙スパニアとうの下なるペツポのをぢのみにて、その「ボン、ジヨオルノ」(好日)の語は猶久しく行人の耳に響くなるべし。
ものにおびえるようなつきは、幾回いくかいとなく、ゲリゾン注射ちゅうしゃや、ぶどうとう注射ちゅうしゃや、ときには輸血ゆけつをもしなければならなかったので、そのたび苦痛くつううったえて、さけ事実じじつかたるのであります。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
騎馬に乗った呼韓邪単于こかんやぜんうと、白馬に乗った王昭君と、同じような白馬ではあったけれど、やや貧弱な白馬に乗ったK、すなわち私とをめぐって、とうだの旗だの盾だの仏狼機ふつろうきだの、弓だの
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うやうやしく献上けんじょうしたものだったが、とうが磨滅した、役にもたたぬ廃物同様の古砲だったので、家光は激怒して、そっくりつっ返させたその四門の加農砲だったのである。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「す! すみません! ……お舅父とう様! もう何もかも申しあげてしまいます。ですけれど、今は、心が取りみだれて、何からお話してよいやら分りませぬ。あとで、心静かに、書きしたためてお手元までさし出しまする」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふきとうが小さい頭をだしていたので、これをつまんで薬味として加えたところ、鼻の奥に涼香漂い舌端に爽烈の気を呼んで、思いがけなく心に佳饌の趣を催したのであった。
食指談 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
はづさず話しなば必ず縁談えんだんとゝのはんと彼の富澤町なる甲州屋吉兵衞の次男千太郎の身持みもちとくさぐりしに何所いづれとうてもよき若者なりと賛成ほめざる者の無かりしかば其趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
細川は軽く点頭うなずき、二人は分れた。いろいろと考え、種々いろいろもがいてみたが校長は遂にその夜富岡を訪問とうことが出来なかった。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
舞踏を善くするなにがしの如く、わが舞場に出でゝ姿勢の美をくをうらむものあり、文法に精しき某の如く、わが往々とうに代ふるに句を以てするを難ずるものあり。
何のために生きているかということが、はっきりしているからこそ、私は主観的にはとうに悲劇を脱却しているわけです。
「おりかさん、あんたに逢ふてどないして居やはりました。途法とうない困つて居りましたやろ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
木村夫人とう子は、田口卯吉の姉であったと聞いている。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
翌日、自動車でゆくと、大へんな雑とうがあり、そういうところに何ということであろう餓死人が倒れたまま放っておいてあるのだった。
成程なるほど一日いちにちの苦とうつかれていへかへツて來る、其處そこには笑顏ゑがほむかへる妻子さいしがある、終日しうじつ辛勞しんらう一杯いつぱいさけために、陶然たうぜんとしてツて、すべて人生の痛苦つうくわすれて了ふ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ここでは、初心しょしんに木剣を持たせなかった。上泉伊勢守の門で考案したというとうという物を使っている。かわのふくろに割竹をつつみこんだ物である。つばはない、革の棒だ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「むかしから雪中に虎に遭うの夢は不祥のしらせとしてある。もしや上洛中の大殿とう将軍の君に、何か凶事でも起ったのではなかろうか」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したがって厩橋城下は殷賑いんしんを極め、武士の往来は雑とうし、商家は盛んに、花街はどんちゃん騒ぎの絶え間がなかったという。
純情狸 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
『敬斎古今とう』三に、騾は必ずしも驢種馬子でなく、自ら騾の一種があるので、生まるる時必ず母の腹をかねばならぬとあるなど、騾の牝が子を産まぬについて、種々虚構した説だ。