“おやぢ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
親父18.8%
老爺17.0%
親爺14.7%
11.6%
親仁9.8%
父親8.0%
阿爺2.2%
老父2.2%
阿父2.2%
1.8%
父爺0.9%
亡父0.9%
爺仁0.9%
老僕0.9%
老夫0.9%
0.9%
教父0.4%
老猾0.4%
船頭0.4%
主翁0.4%
叟父0.4%
0.4%
実父0.4%
御親爺0.4%
愚父0.4%
爺父0.4%
老奴0.4%
老漢0.4%
老翁0.4%
野爺0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
西尾にしをからひがしして小僧こぞう皆身みなみため年季奉公ねんきぼうこうと、東西南北とうざいなんぼくで書いてると、おまへ親父おやぢがそれをくにへ持つてつて表装へうさうを加へ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これで病附やみついた東皐子とうくわうしは、翌日よくじつ徒弟とていおよ穴掘あなほり老爺おやぢ同行どうかうして、さかんに發掘はつくつし、朝貌形完全土器あさがほがたくわんぜんどきしたなどは、茶氣ちやき滿々まん/\である。
実際を云ふと親爺おやぢの所謂薫育は、此父子のあひだに纏綿するあたゝかい情味を次第に冷却せしめた丈である。少なくとも代助はさう思つてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
顔を白く塗つて耳かくしにしてゐる女給の二三人もあるカフエーだの、肥つたおやぢのゐる薬屋だの、八百屋だの、蕎麦屋だの、鮨屋だのが混雑ごた/\と……。
くづれた土手 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
中津川備前屋の親仁おやぢ伊左衞門なぞは師走しはすの月にでもなると馬籠下町の紋九郎方に來て十日あまりも滯在し、町中へ小貸しなどして
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お妻の父親おやぢもわざわざやつて来て、炉辺ろばたでの昔語。すゝけた古壁に懸かる例の『山猫』を見るにつけても、くなつた老牧夫のうはさは尽きなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
中禅寺では夏のうちは鱒は釣れない事になつてゐるのを、この阿爺おやぢさんはいとを垂れるが早いか、十五六ぴきの鱒を釣りあげたので、土地ところの漁師を吃驚びつくりさせてしまつた。
すると軌道レール沿ふて三にん田舍者ゐなかもの小田原をだはら城下じやうかるといふ旅裝いでたちあかえるのはむすめの、しろえるのは老母らうぼの、からげたこし頑丈ぐわんぢやうらしいのは老父おやぢさんで
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
早い話が阿父おやぢのやうな壓制君主あつせいくんしゆまでも、此處だけは治外法權ぢぐわいはふけんとして、何等の侵略しんりやくくはへ得ない奴さ。痛快つうくわいだ。いや、出まい。蟹も穴籠をしてゐた方が安全だからな。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それに京伝本なんぞも、おやぢや母のことで懐しい記念が多うございますから、淋しい時は枕許に置きますとね。若菜姫なんざ、アノ画の通りの姿で蜘蛛くもの術をつかふのが幻に見えますよ。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
廐には未だ二日分許りまぐさがあつたので、隣家の松太郎の姉に誘はれたけれども、父爺おやぢが行かなくても可いと言つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
可笑をかしいのは賭博ばくちが好きだつたからといつて、墓石はかいし骰子さいころの目まで盛つたのがあつた事だ。それを考へてせがれの右団次も亡父おやぢの墓を幽霊の姿にでも刻んだら面白からう。
武家だつた頃の味噌摺みそすり用人だつたさうで、五十年輩のニヤニヤした爺仁おやぢですが、あつしとお君が話して居るのを見かけて、——後で、お孃さんも可哀さうだ、親分は幸ひ仲が良いやうだから
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
是非お迎ひにとならば老僕おやぢが参らん、まづ待給へと止めらるゝ憎くさ、真実まことは此雪にくこそと賞められたく、是非に我が身行きたければ、其方は知らぬ顔にて居よかしと言ふに
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何処どこの扉も鎖したるに狼狽うろたふるを、車掌に強曳しよぴかれてやうや安堵あんどせるも無く、青洟垂あをばなたらせる女の子を率ゐて、五十あまり老夫おやぢのこれも戸惑とまどひしてきつもどりつせし揚句あげく、駅夫にひかれて室内に押入れられ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なんでも或る晩げのことで、さう、今頃よりもう少し早目の時刻だつたでがせう、みんな夕餉のぜんについてをりましたのさ、死んだおふくろに、死んだおやぢ、それに日傭男に日傭女と、子供が五人ばかりとね。
「まあ、アファナーシイ・イワーノヸッチ、大変なことになりましたよ。おほぜいの人が門を叩いてゐますの、それに確か、この家の教父おやぢの声もするやうなんですの……。」
なに、心配することはありませんよ、うちのお馬鹿さんは大露西亜人モスカーリに何かちよろまかされやしないかと思つて、ここの教父おやぢといつしよに夜どほし荷馬車の見張りに行つてますからさ。
そこで今の『美人びじクリイム』、これもその手にかかつたので、もとは貧乏士族の娘で堅気であつたのだが、老猾おやぢこの娘を見ると食指大いに動いた訳で
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これはよしんば奴の胸中が見え透いてゐたからとて、勢ひことわりかねる人情だらう。今から六年ばかり前の事で、娘が十九の年老猾おやぢは六十ばかりの禿顱はげあたまの事だから、まさかに色気とは想はんわね。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いや、そんなことより、力餅ちからもちさへはぬ二人ふたりが、辨當べんたうのうまさうなのに、ごくりと一所いつしよをのんでおなかいてたまらない。……船頭おやぢさい糠鰊こぬかにしんで。……
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
船頭おやぢ辨當べんたう使つかあひだ、しばらくはふね漂蕩へうたうながるゝにまかせて、やがて、かれひまして、ざぶりとふなべりあらさまに、割籠わりごむとてみづが、船脚ふなあしよりはながいて、うごくもののないおも
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遊「君の後曳も口ほどではないよ。この間那処あすこ主翁おやぢがさう言つてゐた、風早さんが後曳を三度なさると新いチョオクが半分なくなる……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一老夫いちらうふこゝに来り主人を拱手てをさげて礼をなし後園うらのかたへ行んとせしを、あるじよびとめらう夫をゆびさしていふやう、此叟父おやぢ壮年時わかきとき熊に助られたる人也、あやふいのちをたすかり今年八十二まですこやか長生ながいきするは可賀めでたき老人也
万が一にも仕損じてはお上人様源太親方に十兵衞の顔が向られうか、これ、生きても塔ができねばな、此十兵衞は死んだ同然、死んでも業を仕遂げればうぬおやぢは生て居るはい
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「なアに、花ちやんの為にも矢張り敵なんだよ、の松島大佐がネ」と大和は茶受ちやうけムシヤ/\とみ込みつ「あれが余程以前から、梅子さんを貰はうとしたんだ、梅子さんの実父おやぢも、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それがため時々とき/″\苦しいおもひもする。ある時、友達の御親爺おやぢさんが死んで、葬式のともに立つたが、不図其友達が装束をて、青竹をいて、ひつぎのあとへいて行く姿すがたを見て可笑おかしくなつて困つた事がある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
愚父おやぢがどれ程の事を致したか知りませんが、なかなかこんな御恩返を受けるほどの事が出来るものでは有りません。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お勝手に居る爺父おやぢは、恐ろしく威猛高ゐたけだけです。
今にもその人とおなじくあるじのかへりたまはんもはかりがたし、雪頽なだれにうたれ給ふやうなる不覚人ふかくにんにはあらざるを、かの老奴おやぢめがいらざることをいひて親子おやこたちの心をくるしめたりといふに
けれども、天魔に魅入られたものと親父も愛相あいそつかして、ただ一人の娘を阿父さん彼自身より十歳とをばかりも老漢おやぢの高利貸にくれて了つたのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
されば菓子屋、植木屋、吹屋、射的場の前には、今一客を止めず。吹屋のねえさんは吃驚びつくりした半身を店から出せば、筆屋の老翁おやぢは二三歩往來へ進み出て、共に引き行く人浪の趾を見送る事、少時焉しばしたり。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
それは鍛冶屋の隣りのおよし寡婦やもめが家、月三円で、その代り粟八分の飯で忍耐がまんしろと言ふ。口に似合はぬ親切な野爺おやぢだと、松太郎は心に感謝した。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)