“暖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あたた31.4%
あたたか14.3%
あった10.2%
あたゝか9.0%
あたゝ8.1%
ぬく5.6%
あったか4.0%
だん2.8%
あっ2.5%
あつたか1.9%
あたたま1.9%
あつた1.6%
あた1.6%
あつ0.6%
0.6%
あたゝま0.6%
ぬる0.6%
ぬくと0.3%
あたたこ0.3%
あつたけ0.3%
あゝたか0.3%
あツたか0.3%
うらら0.3%
ぬくて0.3%
0.3%
ヌク0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かがやいて、あたたかなかぜが、やわらかなくさうえわたるときは、ふえうたこえは、もつれあって、あかるいみなみうみほうながれてゆきました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
郊外かうぐわい際涯さいがいもなくうゑられたもゝはなが一ぱいあかくなると木陰こかげむぎあをおほうて、江戸川えどがはみづさかのぼ高瀬船たかせぶね白帆しらほあたたかえて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
十日ばかりというもの風ほこりも立たず雨も降らず小春といってもないほどあったかな天気のつづいた今年の年暮くれは見るから景気だって
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
堀割ほりわり丁度ちやうど真昼まひる引汐ひきしほ真黒まつくろきたない泥土でいどそこを見せてゐる上に、四月のあたゝかい日光に照付てりつけられて、溝泥どぶどろ臭気しうきさかんに発散してる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あはれ新婚しんこんしきげて、一年ひとゝせふすまあたゝかならず、戰地せんちむかつて出立いでたつたをりには、しのんでかなかつたのも、嬉涙うれしなみだれたのであつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だが、人の氣はひであつたものは午後から西づいた日あしのぬくもりが、この部屋に毎日當つてゐる一つの原因でもあるやうに思へた。
はるあはれ (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
男は仕損しまったと心得て、だいぶあったかになりましたと気を換えて見たが、それでもげんが見えぬので、鯉がの方へ移ろうとしたのである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぶたい花みちは雪にて作りたる上に板をならぶる、此板も一夜のうちにこほりつきて釘付くぎづけにしたるよりもかたし。だん国にくらぶればろんほかなり。
三十分でも好いから、あの布団を敷いて、あの掻捲をけて、あったかにして楽々寝て見たい、今頃は誰があの部屋へ寝ているだろうか。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見れば、自分の爲に新しい茶碗ちやわんかくはしまでが用意されてあツた。周三は一しゆあつたか情趣じやうしゆを感じて、何といふ意味も無くうれしかつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
多分おおかた小鼻怒らし大胡坐おおあぐらかきて炉のはたに、アヽ、憎さげの顔見ゆる様な、藍格子あいごうしの大どてら着て、充分酒にもあたたまりながらぶんを知らねばまだ足らず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うですあつたかいうちに」と主人しゆじんつたので、宗助そうすけはじめてこの饅頭まんぢゆうしてもないあたらしさにいた。めづらしさうに黄色きいろかはながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
があたつてあたたかさうな、あかる腰障子こししやうじうちに、前刻さつきからしづかにみづ掻𢌞かきまは氣勢けはひがしてたが、ばつたりといつて、下駄げたおと
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何だか水晶の珠を香水であつためて、てのひらへ握つて見た様な心持ちがした。年寄の方が脊は低い。然し顔はよく似て居るから親子だらう。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
湯から上ったら始めてったかになった。晴々せいせいして、うちへ帰って書斎に這入ると、洋灯ランプいて窓掛まどかけが下りている。火鉢には新しい切炭きりずみけてある。自分は座布団ざぶとんの上にどっかりと坐った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじうす蒲團ふとんへくるまつてうちからえてたあしあたゝまらなかつた。うと/\と熟睡じゆくすゐすることも出來できないで輾轉ごろ/\してながやうやあかした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いきれにいきれて、なまぐさく、ぬるくプンと臭って来る。おはぐろのともつれ合って、何とも言えない。……それで吐き戻したものがあった。——
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本當ほんたうぬくとつたんだよなあ日輪おてんとさままでひどまちつぽくなつたやうなんだよ」おつぎはれいすこあまえるやうな口吻くちつきで一まい掛蒲團かけぶとんをとつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
貴下あなた、このまあうららかな、樹も、草も、血があればくんでしょう。しゅの色した日の光にほかほかと、土も人膚ひとはだのようにあたたこうござんす。竹があっても暗くなく、花に陰もありません。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わつちだつて何も盗つ人の肩を持つにや当ら無えけれど、あいつは懐のあつたけえ大名屋敷へ忍びこんぢや、御手許金と云ふやつを掻攫かつさらつて、その日に追はれる貧乏人へ恵んでやるのだと云ひやすぜ。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ふたのほのあゝたかいのに、ひやりとした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うやつて何時いつにやらうつゝともしに、う、不思議ふしぎな、結構けつこうかほりのするあツたかはななかへ、やはらかにつゝまれて、あしこしかたえりから次第しだいに、天窓あたままで一めんかぶつたから吃驚びツくりいし尻持しりもちいて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
野を散歩すうららかにして小春の季節なり。櫨紅葉はじもみじは半ば散りて半ば枝に残りたる、風吹くごとにひらめき飛ぶ。海近き河口に至る。潮退きてあらわれ鳥のぐん、飛び回る。水門をろす童子どうじあり。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「おとつゝあ、ぬくてえんだよ」おつぎはいつてまた
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そら、持ってけ、持ってけ。賭博場ぼんござのまじないだ。みを食えばかだ。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一月六日 雨、何といふ薄気味の悪いヌクさだらう、そして何といふ陰欝な空模様だらう。
行乞記:02 三八九日記 (新字旧仮名) / 種田山頭火(著)