“閃”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひらめ56.0%
ひら26.9%
せん6.1%
きら3.1%
きらめ3.1%
ひらめき1.7%
ちら0.7%
きらめき0.3%
きっ0.3%
ひか0.3%
ひらめか0.3%
きらめか0.2%
ぎら0.2%
はため0.2%
ひらめく0.2%
ひらり0.2%
ヒラメ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一座の人は皆黙々として思いもよらぬその話にあまり意をとめなかったようであったが、私は二十年前のことがたちまち頭にひらめいて
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
囲みは自然に解けて、五六人の荒くれ男、手拭や風呂敷で面体を包んだのが、棍棒、匕首あいくちひらめかして、三方から競いかかりました。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
まぶしいものが一せん硝子ガラスとほしてわたしつた。そして一しゆんのち小松こまつえだはもうかつた。それはひかりなかひかかゞや斑點はんてんであつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
と言って土間へ出たが、振返ると、若いひとは泣いていました。露がきらめく葉を分けて、明石に透いた素膚すはだを焼くか、と鬼百合がかっあかい。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その鋭利えいりなる三尖衝角さんせんしやうかくそらきらめ電光いなづまごと賊船ぞくせん右舷うげん霹靂萬雷へきれきばんらいひゞきあり、極惡無道ごくあくむだう海蛇丸かいだまるつひ水煙すいゑんげて海底かいていぼつつた。
少し間を置いて、「わたし又来てよ」と云うかと思うと、大きい目のひらめきを跡に残して、千代田草履は飛石の上をばたばたと踏んで去った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『ハ、いいえ。』と喉が塞つた様に言つて、山内は其狡さうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髯を捻つてゐる信吾の顔をちらと見た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あゝ聖靈のまこときらめきよ、その不意にしてかつ輝くこといかばかりなりけむ、わが目くらみて堪ふるをえざりき 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
間もなく与茂七とお袖は宅悦の家から『藪のやぶのうち』と書いた提燈ちょうちんを借りて出て往った。其の時直助が出て二人の後を見送ってきっとなった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
毒のはなのような妖女ようじょの手が動いて、黄昏の空気がキラリとひかったのは、彼女のかざした薄刃のナイフだったであろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
四谷の方の坂から見ると、貧家のブリキ屋根は木立こだちの間に寺院と墓地の裏手を見せた向側の崖下にごたごたと重り合ってその間から折々汚らしい洗濯物をば風にひらめかしている。
ドイツのタウベ飛行機が、夏の空高く、黒い十字を描いた翼をきらめかしながら、ワルシャワの街の上を飛び回ることがあった。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ぎらつく長いのを引抜いて振り上げたが、寄らば斬らんと小三郎が前後左右へ振廻して居りまするから、寄り附けません。
たけのこを輪切りにすると、こんな風になる。はりのあるまゆに風を起して、これぎりでたくさんだと締切った口元になおこもる何物かがちょっとはためいてすぐ消えた。母は相槌あいづちを打つ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕の眼に広島上空にひらめくく光が見える。光はゆるゆると夢のように悠然ゆうぜんと伸びひろがる。あッと思うと光はさッと速度を増している。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼方かなたの狐も一生懸命、はたの作物を蹴散けちらして、里のかたへ走りしが、ある人家の外面そとべに、結ひめぐらしたる生垣いけがきを、ひらりおどり越え、家のうちに逃げ入りしにぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
郎女は、暫らく幾本とも知れぬその光りの筋の、ヒラメき過ぎた色を、マブタの裏に、見つめて居た。をとゝひの日の入り方、山の端に見た輝きが、思はずには居られなかつたからである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)