“あたたか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
42.1%
40.4%
温暖14.0%
0.9%
温味0.9%
温煖0.9%
0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あれからしばらくたつたあたたかい日、栄蔵は勉強に疲れた頭を、海から来る新鮮な風にあてて休めるため、波打際の方へおりていつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「それからむこうの座敷をあたたかにして置け。ストーブをけ。頼むぜ。」といいながら早くも座敷の中で帯を解くので、女中はあわてて
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
明後日が初酉の十一月八日、今年はやや温暖あたたかく小袖を三枚みッつ重襲かさねるほどにもないが、夜がけてはさすがに初冬の寒気さむさが感じられる。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
日はぽかぽかとあたたかい、まるで春の野原にでも寝そべっているようだ。話をするのもものうくなって睡気がさして来る、長次郎などはとうに鼾をかいて寝てしまった。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
枕許に坐って、そっ掻巻かいまきの襟へ手を懸けると、つめたかった。が、底にかすか温味あたたかのある気がしてなりません。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天下のたみ寒き者多し独り温煖あたたかならんやとのたまいし。そうの太祖が大度たいどを慕い。あまねく慈善を施せしも。始め蛍の資本ひだねより。炭もやくべき大竈おおかまどと成りし始末の満尾まんび迄。御覧をねがうというよしの。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この寒き日をこのあたたかしつに、この焦るる身をこの意中の人に並べて、この誠をもてこの恋しさを語らば如何いかに、と思到れる時、宮はほとんど裂けぬべく胸を苦く覚えて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)