“ちち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
22.4%
20.8%
亡父14.5%
遅々11.0%
牛乳5.9%
養父4.7%
義父3.5%
母乳2.4%
老父1.6%
乳汁1.6%
乳房1.6%
父親1.2%
親父1.2%
実父1.2%
故父1.2%
父皇0.8%
胸乳0.8%
阿爺0.4%
乳液0.4%
亡夫0.4%
師父0.4%
0.4%
樹乳0.4%
病父0.4%
聖父0.4%
遅遅0.4%
遲遲0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おとめはひもをといて、おきさきさまの背中せなかから小さな男の子をおろしました。そして、お妃さまの乳房ちぶさにあてがって、おちちをのませました。
時男さんの家は、私と同じやうにちちははと三人暮しで、そのお母さんといふ人は、いつ見ても大そうきれいな身なりをしてゐました。
時男さんのこと (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
わたしが陸奥みちのくの山里にいたころ、毎日毎日、歌日記をよこしてくれて、ある日、早いはぎの花を封じこめ、一枚の写真を添えて、この男を、亡父ちち
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
然しながら、訳筆は遅々ちちとして進まなかった。不案内な内容をひねくれた文章で書いてある上に、少しも気乗りがしなかった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
二三日すると、其父なる人が眼に涙を浮めて、牛乳屋が来たら最早牛乳ちち不用いらんと云うてくれと頼みに来た。亡くなったのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「全くその通りです。実松源次郎氏を殺さずとも、その恩義を忘れただけでも当九郎は大罪人だ……と養父ちちは云っておりました」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うっかりすると、この子のために再び鎌倉へ召し出されるハメになり、兄の一万も義父ちちの曾我もともに成敗をうけるようなことになりかねない。
曽我の暴れん坊 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
家にあっても、良人の職とする町奉行というものの重責に何か、大事が起ったと感じると、彼女の母乳ちちの出方にもすぐひびいた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ステレオを購ひしと告ぐる老父ちちの笑み詫ぶべきわれを明るくしたり
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
くわしくいえば、そのはじめにはおそらく赤ん坊を産んだ母の乳汁ちちが出る、赤ん坊の方は強い飢えを感じて、偶然的に必然的に母の乳房に吸いついたのでしょう。
おさなごを発見せよ (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
第二に平岡が、なぜ人血を袖につけて居るか? 先刻、訊問の際注意して見ると平岡は男に似合わず乳房ちちが大きい。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「そしたら先刻さつき郷里くにの弟から葉書を寄越しましたがね、父親ちちが死んだのですつて。」
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
うた敏速さそくの寶澤は空泣そらなきしてさても私しの親父おや養子やうしにて母は私しが二ツの年病死びやうしし夫より祖母ばば養育やういく成長ひとゝなりしが十一歳の年に親父ちち故郷こきやうの熊本へ行とて祖母ばばに私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「こればかりは、死んだ実父ちちの五百之進も、胸を痛めていたことでござりますが、遅からず、一度はお打ち明けせねばならぬこと。あとで、詳しく書いておきまする」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
床の間に、故父ちちの遺愛の品々が飾ってある。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
亡き父皇ちち後宇多ごうだの世頃、その故院こいんに仕えていた古公卿ふるくげもあり、はや新朝廷の内で時めかしている者もあった。——なつかしい顔、憎い顔、いちいちは拾いもえない。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雅楽頭は滝尾をそばにひきつけ、給仕をさせながら、女のやわらかくくびれたあごでたり、着物の上から胸乳ちちを押えたりした。磊落らいらくを気どっているのでもなく、豪放をみせかけるのでもない。
あの、何だかよくは存じませんが、阿爺ちちがね、大臣をしていましたころも、いろいろな頼み事をしていろいろ物を持って来ますの。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
で、阿爺ちち戯談じょうだんに、これではたれでも役人になりたがるはずだって笑っていましたよ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ある日私は山羊を捉らえて試みに乳を絞って見た。すると純白の不透明の乳液ちちが、椰子の実の椀に三杯取れた。それは大変味がよくてきわめて立派な飲料であった。煙草たばこには不自由しなかった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そなたの亡夫ちちがいたらのう」と、かえって泣いてばかりいる。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その子らはかくも歎くを石うつと師父ちちなる人を将たいましめぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
才八さいはちは永禄元年出生そろて、三歳にしてちちを失い、母の手に養育いたされ候て人と成り候。壮年に及びて弥五右衛門景一やごえもんかげかず名告なのり、母の族なる播磨国はりまのくにの人佐野官十郎さのかんじゅうろう方に寄居いたしおり候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
木の裂け目から白い樹乳ちちがながれた、母の乳を思いだしたか、じっと目を注いでいた。母のいない故郷は、山も河もたださびしかった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病父ちちの恢復は、祈るだけ祈ったけれど、いまはもうその甲斐もなく、追っつけ、こんどは、冥福を祈らなければならないようになるであろう……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
而して彼を見る者は聖父ちちを見るのであれば、心の清き者(彼に心を清められし者)は天に挙げられしが如くにまた地にきたり給う聖子を見て聖父を拝し奉るのであろう(行伝一章十一節)。
帳場ちょうばの上にかかった八角時計の針の遅遅ちちとして動いて往くのに注意したり、入口の青いかあてんを開けて入って来る客に注意したりした。時計の長針は十時の処を指していた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、筆は遲遲ちちとして進まず、意をたすやうな作は出來上らずに、いたづらにふえて行くのは苛苛いらいらと引き裂き捨てる原稿紙のくづばかりであつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)