“おやじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
親爺26.1%
親父20.8%
老爺14.8%
親仁12.0%
10.3%
父親3.2%
阿爺2.4%
老夫1.1%
阿父0.9%
父爺0.8%
亡父0.6%
主人0.6%
0.6%
爺仁0.5%
爺親0.5%
船長0.3%
養父0.3%
亭主0.3%
0.3%
良人0.3%
座頭0.2%
職長0.2%
編輯長0.2%
主任0.2%
主翁0.2%
0.2%
0.2%
守備隊長0.2%
実父0.2%
師匠0.2%
店主0.2%
御親爺0.2%
漁場主0.2%
0.2%
経営者0.2%
義父0.2%
老僕0.2%
老成0.2%
老父0.2%
老翁0.2%
老者0.2%
0.2%
親方0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
抱え主の親爺おやじの話もちょいちょい均平の耳へ入った。ある点は誇張であり、ある点はナイブな彼女の頭脳あたまで仕組まれた虚構であった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
親父おやじに巾着切りの古疵ふるきずがあるとも知らぬ清純さ、それを見るのを唯一の楽しみに、彦兵衛は本当に真っ黒になって働き続けたのです。
スウェーデンの牧牛女うしかいめは狼を黙者だんまり灰色脚はいいろあし金歯きんばなど呼び、熊を老爺おやじ大父おおちち、十二人力にんりき金脚きんあしなど名づけ決してその本名を呼ばず
又右衛門は濁酒どぶろくの燗を熱く熱くと幾度も云ったそうである。茶屋の親仁おやじだから燗の事だけは確かに明瞭はっきりと覚えていたにちがいない。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
片鬢かたびんの禿げた乞食のおやじが、中気で身動きも出来なくなったのを、綺麗な若い女が来て、知辺しるべの者だからと引取って行ったそうですよ。
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お隅の父親おやじがこの男と同じ書記仲間で大屋の登記役場に勤めている時分——お隅も大屋へ来て、唯有とある家に奉公していました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そののち私一人金沢へ出て来て、ある学校へ入っているうち、阿爺おやじくなられて、ちょうど三年前だね、余儀なく中途で学問は廃止やめさ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の早雲という老夫おやじも中々食えない奴で、三略の第一章をチョピリ聴聞すると、もうよい、などと云ったという大きなところを見せて居るかと思うと
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「この雨は——なかなかみそうもない。——とにかく手紙で小夜子さんを呼ぼう。阿父おやじが待ちかねて心配しているに違ない」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
案内の父爺おやじに聞けば「これが赤川の大滝です。この辺は年に一回とも人が来ませんから、こんな大滝でも知ってる人は、山林局の御役人様位でがんす」
貴方あんたわしを甥だの前の忰だのという心を出しては済まないよ、叔母とも甥とも思わず真の他人と思って居なければ、国の亡父おやじのお位牌いへいに対して済まないよ、えゝかえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これを見た古道具屋の主人おやじ、なんとかいってやりたいが、そこに女の眼が光っているからただもじもじ控えているばかり——。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
御茶番から羽織はかまで出て来た赤ら顔の農夫は源のおやじです。そこここと見廻して
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ほっとして傍へ往くと、蕎麦屋の爺仁おやじわけを聞くので、のっぺら坊の妖怪に逢った事を話すと、爺仁は顔をつるりとでて、こんな顔であったかといった。それも目も鼻もないのっぺら坊であった。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「それは、いろいろ、それは商売のことで、やりくりがあるものですから、何人だれにも知らさずに引越して来たのです、それは爺親おやじも知っております、爺親に聞いてくれたら判ります」
藍瓶 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どっかへフッ飛んじゃったい。船長おやじ晩香坡バンクーバからさけかにを積んで桑港シスコから布哇ハワイへ廻わって帰るんだってニコニコしてるぜ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
結局、養父おやじに話して見ようかということになって、暮の二十七日に王様に一緒に行って貰い、正物を養父に見せると、養父も乗気になって、千万円までなら出そうということになった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「オイ、亭主おやじさん、おつりをくんな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九段の公園で砂書きのおやじを見て、彼はただちにこれともの語り、事情を明して弟子入りを頼み、それより二三日の間稽古けいこをして、間もなく大道のかたわらに坐り、一銭、五厘
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これはわし良人おやじの形見でございまして、七ヶ年あと出た行方ゆくえが知れませんが、大方死んだろうと考えていますから、良人の出た日を命日として此の観音さまへ線香を上げ
「ところで、たびたび申し上げました、村次郎のことでござんすが、座頭おやじ行衛ゆくえについて、一度ぜひお耳に入れたいことがございますので」
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「まあ聴きねえ。座頭おやじがわっしのことを、新劇崩れと云うだろうが、一時この座を離れて、妙なぜににもならねえ、真似をやっていたことがある」
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
職場々々の「職長おやじ」さえもビラを持っていた。然し、そのビラのことは食事中ちっとも誰もの話題にならなかった。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それが職工たちを無遠慮にわした。皆は落付くことを忘れてしまった。休憩時間を待ちかまえて、皆が寄り集った。職長おやじさえその仲間に首を差しこんできた。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「……シッ……編輯長おやじにも伏せて在るんだ。戸田から掛かって来た電話を俺が聞きながら書き止めたんだ。何でもコイツが特種中の特種らしいんだ」
「チェッ。だから君に聞いているんじゃないか。彼奴あいつが居ると星田の事は尻ベタのホクロまで知って居るんだが、きょうに限って居ないもんだから編輯長おやじがプンプンおこって居るんだ」
主任おやじがしてくれていたのか。」
おじさんの話 (新字新仮名) / 小山清(著)
主翁おやじが死んで、石山の新家はよめ天下てんかになった。誰もひささんのうちとは云わず、宮前のお広さんの家と云った。宮前は八幡前を謂うたのである。外交も内政も彼女の手と口とでやってのけた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この砂は何地の砂かと聞いたが、ぼれおやじや婦女子ばかりで何だか分らず、こんな地へ遠国より古くかかる物を持ち来るはずなければ、必ずこの地に多く鉄砂を産する事と考えた。
万が一にも仕損じてはお上人様源太親方に十兵衛の顔が向けらりょうか、これ、生きても塔ができねばな、この十兵衛は死んだ同然、死んでもわざをし遂げれば汝がおやじは生きて居るわい
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
“第一線から、こんな所へ左遷されて、守備隊長おやじは何だっていい気になっているんだろう。の頃の馬鹿な御機嫌はどうだ”
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
と云いさしさめ/″\と泣き沈みましたも道理で、親一人子一人の小三郎ゆえ、実父おやじの死去した事を聞き、こらえ兼ねて男泣きに泣き出し、涙が膝へハラ/\と落ちまするのを重助が見て
「何しろ圓太の野郎が行ってねえから、余計お前ンとこの師匠おやじに早く報せにきたんだ、薄情野郎あン畜生め、四谷が倒れたと聞いたらそれっきり影覗きもしやがらねえって」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
店主おやじの小田亀造ちゅうのは、アメリカの駆逐艦のコックをしとったとかいう面白い男でな、註文してあるけ、あとで来るじゃろが、チャップリンとか、チャプスイとかいうような、珍しい料理も作る。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ある時、友達の御親爺おやじさんが死んで、葬式の供に立ったが、不図その友達が装束を着て、青竹を突いて、ひつぎのあとへ付いて行く姿を見て可笑おかしくなって困った事がある。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしてこんだァ九一金と一緒に契約書の問題ば漁場主おやじに持ち出さなかっただかね?」
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
おやじ?——可哀相に! ハハハハハ。」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「早くせんと経営者おやじが来まっせ」意味あり気に囁いた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そうして、会いたいのは、山々ですが、家を出る時、ひとかどの男にならなければ帰らないと、誓った言葉がありますから——それに、義父おやじにはなおさら、今の姿では会えません」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慣れたものがらんければ不都合ゆえ、織江が忠平に其の手紙を見せまして、先へ忠平を帰しましたから、米藏よねぞうという老僕おやじに提灯を持たして小梅の御中屋敷を立出たちい
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「——賛成だ、至極いいよ。私たち風来とは違って、矢野には学士の肩書がある。——御縁談は、と来ると、悪く老成おやじじみるが仕方がない……として、わけなくまとまるだろうと思うがね、実はこのお取次は、私じゃ不可まずいよ。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
田畑ある島と知れけりあげ雲雀、これは僕の老父おやじの句であるが、山のむこうには人家があるに相違ないと僕は思うた。と見るうち退潮ひきしおあとの日にひかっているところに一人の人がいるのが目についた。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
白髪しらが合総がっそうに取り上げた撫付なでつまげ、品も威もある風貌、いわば幾とせの霜を経た梅の古木のおもかげでこの玄鶯院と名乗る老翁おやじ、どうもただの隠者とは受け取れない。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「それもそうですけれどもな、老者おやじはまことにはやどうも。第一このせんさわりますのでな」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成吉思汗ジンギスカン (虎の下になって戯れつつ、仰向けに寝たまま)おい、おやじ! いい天気だなあ。でかけようじゃねえか。すこしは気持ちのいい戦争もさせてくれよ。
「おうい、親方おやじ、こっちじゃあ……」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)