“指”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
39.8%
ゆびさ26.0%
ゆび25.9%
さす1.6%
さし1.1%
ゆびさし1.1%
および0.9%
0.7%
ゆびざ0.4%
オヨビ0.4%
さゝ0.3%
ゆびさす0.3%
おゆび0.3%
させ0.1%
いび0.1%
およ0.1%
これ0.1%
ささ0.1%
0.1%
ざし0.1%
サス0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかしその麦畑の隅の、土手の築いてある側へ来ると、金三は急に良平の方へ笑い顔を振り向けながら、足もとのうねして見せた。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と客の前から、いきなり座敷へ飛込んで、突立状つったちざまゆびさしたのは、床の間わきの、欞子れんじに据えた黒檀こくたんの机の上の立派な卓上電話であった。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひとり苦笑くせうする。のうちに、何故なぜか、バスケツトをけて、なべして、まどらしてたくてならない。ゆびさきがむづがゆい。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨夜十二時少し過ぎ、小石川区さす町○○番地の坂の上で、「人殺しーい」という悲鳴が、人通りの少ない闇の街の空気にひびき渡った。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
その間、何やらしたためていた検事は、法水をさし招いて、卓上の紙片を示した。それには次のような箇条書で、検事の質問が記されてあった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
鱗に、爪に、角に、一糸掛けない白身はくしんいだかれ包まれて、渡津海わたつみの広さを散歩しても、あえて世にはばかる事はない。誰の目にも触れない。人はゆびさしをせん。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かの日のゆうべ、山の端に見たおもかげびと——。乳のあたりと、膝元とにある手——そのおよび、白玉の指。姫は、起き直った。天井の光りの輪が、元のままに、ただほのかに、事もなく揺れて居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
故郷くに靜岡しづをか流石さすが士族出しぞくでだけ人品じんぴん高尚かうしようにて男振をとこぶりぶんなく、さいありがくあり天晴あつぱれの人物じんぶついまこそ内科ないくわ助手しよしゆといへども行末ゆくすゑのぞみは十のさすところなるを
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日出雄ひでをや、あのむかふにえるたかやまおぼえておいでかえ。』と住馴すみなれし子ープルス市街まち東南とうなんそびゆるやまゆびざすと、日出雄少年ひでをせうねん
かのユフベ、山のに見た俤びと——。乳のあたりと、膝元とにある手——そのオヨビ、白玉のオヨビ
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
其の代り心底しんそこからこの人と見込んで惚れて仕舞うと、なか/\情合は深い、素人衆の一寸ちょいぼれして水でもさゝれると移りがするのと訳がちがうそうで
今俗にゆびさすをゑがきてそのしたにをしゆる所をしるしたるをまゝみる事あり、和漢の俗情おなじ事なり。
鱠手かしはびとなるもの、まづ我が両眼を左手ひだりおゆびにてつよくとらへ、七六右手みぎりぎすませし七七かたなをとりて俎盤まないたにのぼし、七八既に切るべかりしとき、我くるしさのあまりに大声をあげて
出して渡せばしかと懷中して則ち頭にさせくしを出し是はお前樣も知る通り我が爲に千金にもかへがたき母の紀念かたみにして片時もはなさず祕藏ひざうの品此櫛このくし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
駑癡どじだなあ。そんなに締める奴があるかい。もっといびの股をゆるめろい」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
秋の七種ななくさの歌は著名なもので、『万葉集』巻八に出て山上憶良やまのうえのおくらが咏んだもので、その歌は誰もがよく知っている通り、「秋のきたる花をおより、かき数ふれば七種の花」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「自分のお金の高が判らないなんて、そんな鈍間のろまなおじさまじゃないでしょう、はっきり正直にいうものよ、これだけはいっていたんでしょう。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
土地の待合ではしつッこい年寄のお客へなら千代香さんでなくてはならぬようにいつも目星をさされていただけ、朋輩の評判ははなは宜敷よろしからず、第一がケチでしみったれで
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
完全なる浮浪少年は、パリーのすべての巡査を知悉ちしつしていて、そのひとりに出会えばすぐに名すことができる。各巡査をくわしく研究している。
と見るといつの間に握られていたのだろう師匠の手の二尺ざしが烈しくブルブル慄えていた。そうして、そうして、自分の右の手の甲がこんなにも堆く、紫いろに腫れ上がってしまっていた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
本郷臺をサスかけて下りける時、丸山新町と云へるを通りたることありしが、一葉女史がかゝる町の中に住まむとは、告ぐる人三たりありて吾等やうや首肯うなづきぬ。