“鼓膜”の読み方と例文
読み方割合
こまく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかしその瞬間に彼の鼓膜こまくは「私はX子と云ふのよ。今度御独りでいらしつた時、呼んで頂戴」と云ふ宛転ゑんてんたる嬌声けうせいを捕へる事が出来た。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鼓膜こまくは別に何ともなっていませんとの診断を得てほっと致し、さらに勇気百倍、阿佐ヶ谷の省線踏切の傍なる屋台店にずいとはいり申候。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
自分は母に叱られながら、ぽたぽたしずくを垂らして、三人と共に宿に帰った。どどんどどんという波の音が、帰り道じゅう自分の鼓膜こまくに響いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)