“雫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しずく75.1%
しづく22.3%
こぼ0.5%
しず0.5%
しづ0.5%
つゆ0.3%
びっしょり0.3%
シズク0.3%
シヅク0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そんな事を言いながら、ちょうど三本目のしずくを切った時でした。ツイ鼻の先の雨戸をトン、トン、トンと軽く叩く者があったのです。
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
老いたる侍 只今其方そちの母御はな……え、思ふだに涙がこぼれるわ……其方の不孝をう、怨み、怨み死にに死んでおぢやつたのぢや。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
鼻の孔から嗅煙草のかすが、まるで濃い珈琲のしずくみたいに甚だ不体裁に、にょろりと覗いたことも、また部屋着の前がはだけて
しゆ蝋涙ろふるい毒杯どくはいむらさきみだし照りしづく。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「お前の今宵の艶やかさは——その眉は、星月夜の空に飛んだ流れ星のやうな風韻を含んでゐる。その眉の下にうつとりと見開いてゐる瞳は神潭しんたんつゆを宿して、虹の影が瞬いてゐる。」
夜の奇蹟 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
樹と樹との間へ御身体がはさまって了って、もう絶体絶命という時に御目が覚めて見れば——寝汗は御かきなさる、枕紙はれる、御寝衣おねまきはまるでびっしょりになっておったということでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
シズクの雨がそぼ降る日、なきがらを納めた白木の棺はしづ/\と緑ふかい高台の墓地へと運ばれました。
手紙 (新字旧仮名) / 知里幸恵(著)
ぽつちりと目をあいて見廻す瞳に、まづアツしかゝる黒い巌の天井を意識した。次いで、氷になつた岩牀イハドコ。両脇に垂れさがる荒石の壁。した/\と、岩伝イハヅタシヅクの音。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)