“鏤”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちりば88.3%
ちり4.7%
1.6%
ちりばめ0.8%
えり0.8%
0.8%
きざ0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暫く遊んだ牧人が小やすみをしに傍の叢に横わったとき、その全身にちりばめられたように輝く露の珠は、何と奇麗でしょう。
寄附金の額をりつけた石塔や札も、成田山らしく思えた。笹村は御護符おごふや御札を欲にかかって買おうとするお銀をき立てて、じきにそこを出た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
昼を短かしとする文明の民の夜会には、あらわなる肌にちりばめたる宝石がひとり幅をかす。金剛石ダイアモンドは人の心を奪うがゆえに人の心よりも高価である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
家が近所にあったところから、ちいさいおりの馴染なじみであった、おかなと云うその女が、まだ東京で商売に出ている時分、兄は女の名前を腕にえりつけなどして、嬉しがっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
丹精こめたかひもなく、しろがねの月をつて御足みあしの台とすることがかなひませぬならば、わたくしのはらわたを噛むくちなはかかとの下に置くでござりませう、いとさはに罪を贖ひたまふ、栄光さかえある女王さま
諄々くどくど黒暗くらやみはじもうしてあなたの様ななさけ知りの御方に浅墓あさはか心入こころいれ愛想あいそつかさるゝもおそろし、さりとて夢さら御厚意ないがしろにするにはあらず、やさしき御言葉は骨にきざんで七生忘れませぬ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おれは何でもこれは福の神に違いないと思っていて行って見ると、この街の真中の四辻に来て神様は、地面じべたの上を指してそのまま消えてしまった。見るとそこには金剛石ダイヤモンドめた金の指環ゆびわが……
正夢 (新字新仮名) / 夢野久作萠円(著)
而シテ今者こんしゃ秋山小島ノ二氏ソノ遺稿ヲ以テマサニコレヲはんセントス。因テ余ガ一閲ヲ請フ。余コレヲ閲シテ大ニ驚イテ曰ク雲如ノ詩ここニ至ツテ別ニ絶佳ヲ加フ。以前ノ詩ハ佳ナラザルニ非ズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼は先にひし事の胸にられたらんやうに忘るるあたはざるさへあるに、なかなか朽ちも果てざりし恋の更に萠出もえいでて、募りに募らんとする心のみだれは、ふるにかた痛苦くるしみもたらして、一歩は一歩より
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)