ちりばめ)” の例文
昼を短かしとする文明の民の夜会には、あらわなる肌にちりばめたる宝石がひとり幅をかす。金剛石ダイアモンドは人の心を奪うがゆえに人の心よりも高価である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
死んだ過去のうちに静かにちりばめられて、動くかとは掛念けねんしながらも、まず大丈夫だろうと、その日、その日に立ち退いては、顧みるパノラマの長く連なるだけで、一点も動かぬに胸をでていた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)