“蔑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さげす57.4%
ないがしろ9.8%
ないがし7.2%
さげ6.4%
けな3.4%
いや2.6%
なみ2.1%
ないが1.7%
サモ1.3%
ナイガシロ1.3%
0.9%
あなど0.9%
いやし0.9%
くさ0.4%
おと0.4%
0.4%
さげすみ0.4%
さも0.4%
べっ0.4%
みくだ0.4%
みさ0.4%
みさぐ0.4%
サゲス0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今あることどもをすたれしめんがために、この世の卑しきことどもと、さげすまれしことどもと、あるなきことどもとを選みたまえり……。
自我の利欲に目のくらむ必要がある。少くとも古来より聖賢の教えた道をないがしろにする必要がある。生活難をうたえる人よ。私は諸君がうらやましい。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
出入のものは皆これを知っているから、手っ取り早く直接じかに奥さんに当りたがる。しかし夫人はそんな良人をないがしろにした行動を許さない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あなたにさげすまれるかも知れませんけど……こんなお話に嘘を交ぜると、何もかもわからなくなりますから正直に告白しますが……。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、彼は一概にこれを馬鹿馬鹿しいとけなしてしまうほどの生物識なまものじりでもなかった。市郎はあくまでも科学的にの怪物の秘密をあばこうと決心したのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
世間の眼は、ようやく、赤穂の遺臣の心根に猜疑さいぎを向け、かげ口、露骨なそしり、いやしみなど、冷たいものの中ではあったが
しかも摩利信乃法師の容子ようすでは、私どももただ、神仏をなみされるのが口惜くちおしいので、闇討をしかけたものだと思ったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
沮喪そそうした家中のものと共に、生きもしよう死にもしようと、両肌を脱いだ彼の決意をないがしろにすることは出来なかった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
貴人は言はぬ、かう言ふ種類の噂は、えて供をして見て來た道々ミチヽヽ博士ハカセたちと謂つた、心サモしいものゝ、言ひさうな事である。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
第一、ほかの氏々——大伴家よりも、ぐんと歴史の新しい、人の世になつて初まつた家々の氏人までが、御一族をナイガシロに致すことになりませう。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
畜生、巫山戯ふざけている。私は……一昨々年——家内をなくしたのでございますが、つれがそれだったらこういうめた口は利きますまい。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は心中ひそかに、少し美し過ぎるように思って聴いていたが、その時に既に心中に疑惑が根ざしていた。しかし声はあなどるべからずいい声である。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「新・平家物語」は、古典平家物語にはっていない。が、だいたい、伊勢平氏忠盛と、子の清盛の逆境時代に、起筆しました。いやしめられていた地下人ちげびと階級の擡頭たいとうが、始まりです。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仏蘭西フランスの写実派には興味を持っても、人生本位の露西亜の小説はジメジメして陰気だとくさし、その頃からツルゲネフやトルストイを推奨した私を外道げどうと呼び
旧物に対する蔑視べっしと、新らしき物に対する憧憬とが、前述のようにはげしかったその当時は、役者は勿論のこと、三味線を手にしてさえも、科人とがにんのように人々からおとしめられたものであった。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
犬よりも下に新介を見げていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世のそしり人のさげすみも迷へるものはかえりみず。われは唯この迷ありしがためにいはゆる当世の教育なるもの受けし女学生あがりの新夫人を迎ふる災厄をまぬかれたり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
貴人は言わぬ、こう言う種類の噂は、えて供をして見て来た道々の博士たちと謂った、心さもしいものの、言いそうな事である。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
このブシュメン人は濠州土人火地人フェージャン等とならびに最劣等民とべっせらるるに、かくのごとき優等の創製を出した上に、パッフ・アッダーを殺すごとその毒をまば
とのっけからみくだしていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そちも定めて、人の喰うものを喰い、人の着る衣を着ている人間であろうに、孟達の詭弁きべんに同意し、みすみす恩ある叔父を見殺しになすとは犬か畜生か、みさげ果てたやつではある。起てっ、去れっ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南欧や北アフリカからペルシア、インドに、今もこの迷信甚だ行われ、にくみさぐるどころか賞めてなりとも、人の顔を見ると非常に機嫌を損じ、時に大騒動に及ぶ事あり。
一乗山イチジヨウザン根来寺ネゴロジハ、開山上人カイザンシヤウニン、伝法院ノ建立コンリフ以来、専ラ近隣ト闘争シ、弓矢ヲ取ルヲ寺法トナス、六百年来、富ヲホシイママニシ、強敵ニ向フナク、小敵ヲサゲスミ、オモム井蛙セイアホコリニ似タリ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)