“蛇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
へび52.9%
じゃ30.1%
じや5.6%
くちなわ4.9%
くちなは2.7%
おろち1.0%
だ1.0%
をろち0.5%
ながむし0.5%
ぢや0.5%
へみ0.2%
ヘビ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蛇(へび)の卵の事があってから、十日ほど経ち、不吉な事がつづいて起り、いよいよお母さまの悲しみを深くさせ、そのお命を薄くさせた。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
見送ってぼんやりと佇んでいると足立駅長が洋服に蛇(じゃ)の目(め)の傘をさして社宅から来かけたが、廊下に立ってじっと私の方を見ていた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
なくてはならざる匂袋、これを忘れてなるものか。頭巾(づきん)を冠(かぶ)つて肩掛を懸ける、雨の降る日は道行合羽(みちゆきがつぱ)、蛇(じや)の目の傘(からかさ)をさすなるべし。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「さてはその蝙蝠(かわほり)の翼、山羊の蹄、蛇(くちなわ)の鱗(うろこ)を備えしものが、目にこそ見えね、わが耳のほとりに蹲(うずくま)りて、淫(みだ)らなる恋を囁くにや」
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼(かの)堆(うづたか)く積(つ)める蛇(くちなは)の屍(しかばね)も、彼等(かれら)將(まさ)に去(さ)らむとするに際(さい)しては、穴(あな)を穿(うが)ちて盡(こと/″\)く埋(うづ)むるなり。さても清風(せいふう)吹(ふ)きて不淨(ふじやう)を掃(はら)へば、山野(さんや)一點(いつてん)の妖氛(えうふん)をも止(とゞ)めず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
さて谷本博士は、『古事記』に、品地別命(ほむじわけみこと)肥長比売(ひながひめ)と婚し、窃(ひそ)かに伺えば、その美人(おとめご)は蛇(おろち)なり、すなわち見(み)畏(かしこ)みて遁(に)げたもう。
そこにこそ外部の静穏の下に、ホメロスの描ける巨人の戦いがあり、ミルトンの語れる竜や九頭蛇(だ)の混戦があり妖怪の群れがあり、ダンテの言える幻の渦がある。
又人活(い)きながらにして鬼に化(け)するもあり。五八楚王(そわう)の宮人は蛇(をろち)となり、五九王含(わうがん)が母は六〇夜叉(やしや)となり、六一呉生(ごせい)が妻は蛾(が)となる。
あたりが翛然(ゆうぜん)と、暗くなった。その中に、ただ、蛇(ながむし)の死骸(しがい)だけが、前よりもいっそう腹の脂(あぶら)を、ぎらつかせているのが見える。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さうしてその上には、蛇(ぢや)の目(め)蝶(てう)が、渋色の翅を合せた儘、何羽もぎつしり止まつてゐた。
槍ヶ岳紀行 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ここにその大神出で見て、「こは葦原色許男(あしはらしこを)の命といふぞ」とのりたまひて、すなはち喚び入れて、その蛇(へみ)の室(むろや)六に寢しめたまひき。