くちなは)” の例文
かのうづたかめるくちなはしかばねも、彼等かれらまさらむとするにさいしては、あな穿うがちてこと/″\うづむるなり。さても清風せいふうきて不淨ふじやうはらへば、山野さんや一點いつてん妖氛えうふんをもとゞめず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丹精こめたかひもなく、しろがねの月をつて御足みあしの台とすることがかなひませぬならば、わたくしのはらわたを噛むくちなはかかとの下に置くでござりませう、いとさはに罪を贖ひたまふ、栄光さかえある女王さま
其頃御坊ごばうさんの竹薮たけやぶたけのこを取りにはいつた在所ざいしよの者が白いくちなはを見附けた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
風ひきて一日ひとひ臥したりわが部屋のなげしわたらふくちなはひとつ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
眼のうらに光る汲水場くみづくちなははしる影さへすばやかりしか
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
見ればつとほぐれて走るくちなはのうせてのち——
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
くちなはまとふ「肉」のちやう
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
くちなはきらめきぬ、蜥蜴とかげも見えぬ、其他の湿虫しつちうぐんをなして、縦横じうわう交馳かうちし奔走せるさま一眼ひとめ見るだに胸悪きに、手足をばくされ衣服をがれ若き婦人をんな肥肉ふとりじし酒塩さかしほに味付けられて
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
白栄しらはえくちなは奔る裏堀は水紋すゐもんの動きかげとありつつ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
用意よういをはればたゞちにはしりて、一本榎いつぽんえのきうろより數十條すうじふでうくちなはとらきたり、投込なげこむと同時どうじ緻密こまかなるざるおほひ、うへにはひし大石たいせきき、枯草こさうふすべて、したより爆※ぱツ/\けば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夜は黒…………ぬるぬるとくちなはの目が光り
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
渠等かれらおのれこばみたるもの店前みせさきあつまり、あるひ戸口とぐち立並たちならび、御繁昌ごはんじやう旦那だんなけちにしてしよくあたへず、ゑてくらふもののなになるかをよ、とさけびて、たもとぐれば畝々うね/\這出はひいづるくちなはつかみて
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへ蝦蟆がまにてやありけむ、くちなはなんいみじおぢける。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)