“穿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
58.5%
うが29.2%
2.5%
1.7%
1.5%
はき1.2%
ほじ1.1%
ばき0.8%
はい0.6%
0.4%
すぼ0.4%
うがち0.2%
0.2%
はく0.2%
はま0.2%
ほぢ0.2%
あなぐ0.1%
うがつ0.1%
0.1%
0.1%
つつ0.1%
つゝ0.1%
はか0.1%
ほじく0.1%
ほり0.1%
0.1%
ゑぐ0.1%
アナグ0.1%
0.1%
ウガ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この伯母さんは、女学校を出て、行燈袴あんどんばかま穿いて、四円の月給の小学教師になったので、私の母から姉妹きょうだいの縁を切るといわれたひとだ。
故意にあさ子を外出せしめたのだろうという穿うがった解釈をするものもあるが、果してそうであったかどうかは誰にもわかる筈がない。
血の盃 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
暗道ポテルンの光沢のある橄欖石の側壁が、そこだけ花のうてなのようなかたちに穿れ、その中にあふれるばかりの水をひっそりとたたえていた。水。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼方かなたへすたすたと行く後ろ姿を見れば、黒い布で顔をつつみ、黒い膝行袴たっつけや脚絆もはいて、足も身軽なわらじ穿きではないか。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにも増して、刀身へ穴でも穿けるかのように、その刀身を見詰めているのは、おきのように熱を持った薪左衛門の眼であった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どうしたんだって聞くと、裏のうちへ背戸口から入った炭屋の穿はきかえたのが、雪が解けて、引掛ひっかかったんじゃあない……乗ってるんだって——
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有松氏の顔は名代の痘痕面あばたづらなので、その窪みに入り込んだ砂利は、おいそれととりばや穿ほじくり出す事が出来なかつたのだ。
格子の音はカラカラと高く奥から響いたけれども、幸に吾妻下駄の音ではなくて、色気も忘れて踏鳴らす台所穿ばきおおき跫音あしおと
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は、藁靴わらぐつ穿はいて、合羽かっぱを着た。両脚りょうあしは急に太くなって、頭から三角帽子を被ったので、まるで転がるように身体がまるくなった。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
左右が高くって、中心がくぼんで、まるで一間はばを三角に穿って、その頂点が真中まんなかつらぬいていると評してもよい。路を行くと云わんより川底をわたると云う方が適当だ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれ其日そのひ役所やくしよかへけに駿河臺下するがだいしたまでて、電車でんしやりて、いものを頬張ほゝばつたやうくち穿すぼめて一二ちやうあるいたのち、ある齒醫者はいしやかどくゞつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかるに初雪しよせつのち十月のころまでにこの二条ふたすぢ小流こながれ雪のため降埋ふりうめられ、流水は雪の下にあり、ゆゑ家毎いへごとくむべきほどに雪を穿うがち水用すゐようを弁ず。
一〇七卑吝ひりん貪酷どんこうの人は、金銀を見ては父母のごとくしたしみ、くらふべきをもくらはず、一〇八穿べきをもず、得がたきいのちさへ惜しとおもはで、起きておもひ臥してわすれねば
○かくていそぐほどに雪吹ふゞきます/\甚しく、かじき穿はくゆゑみちおそく日もすでくれなんとす。此時にいたりて焼飯を売たる農夫のうふはらへりつかれ、商人は焼飯にはらみち足をすゝめてゆく
と、骨董好きが古渡こわたりの茶盌ちやわんでも見るやうな、うつとりした眼つきで自分の手首に穿はまつた手錠に見惚みとれてゐる。
もう日が暮れたに太吉たきちは何故かへつて来ぬ、源さんも又何処どこを歩いてゐるかしらんとて仕事を片づけて一服吸つけ、苦労らしく目をぱちつかせて、更に土瓶どびんの下を穿ほぢくり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
象徴派の詩篇の、国語に訳出せられたものは、実におびただしい数である。だがおよそ、こんな風にわれわれの理会力を逆立て、穿あなぐり考えて見ても結局、到底わからない、と溜息ためいきを吐かせるに過ぎない。
詩語としての日本語 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
人家じんかにちかきながれさへかくのごとくなれば、この二すぢながれ水源みなかみも雪にうづもれ、水用すゐよううしのふのみならず水あがりのおそれあるゆゑ、ところの人ちからあはせて流のかゝり口の雪を穿うがつ事なり。
にこの奥方なれば、金時計持てるも、真珠の襟留せるも、指環を五つまで穿せるも、よし馬車に乗りて行かんとも、何をかづべき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はかま穿けないでセルのコートを着てゐるので尚更女振が違つて見えた。しかし、極りの惡い風などしないで、以前のやうに懷しく隔てない口を利いた。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
行くときは壁や障子を伝つて危気あぶなげに下駄を穿つつかけたが、帰つて来てそれを脱ぐと、モウ立つてるせいがなかつた。で、台所の板敷をやつと這つて来たが、室に入ると、布団の裾に倒れて了つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
行くときは壁や障子を傳つてあぶな氣に下駄を穿つゝかけたが、歸つて來てそれを脱ぐと、もう立つてる勢ひがなかつた。で、臺所の板敷をやつと這つて來たが、室に入ると、布團の裾に倒れて了つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それはなんのことかと思つたらば、京都にとまつてゐた私は、出がけに小雨に降られたので、宿の人の親切から、京阪出來の中齒の下駄を穿はかしてくれたのだつた。
三十五氏 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「ハハハハ外面如菩薩、内心如夜叉。女は危ないものだ」と云いながら、老人は雁首がんくびの先で祥瑞しょんずいの中を穿ほじくり廻す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
樹の下を、草を分けて参りますと、処々ところどころ窓のように山が切れて、其処そこから、松葉掻まつばかき、枝拾い、じねんじょ穿ほりが谷へさして通行する、下の村へ続いたみちのある処が、あっちこっちにいくらもございます。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞えよがしに苦笑しいしい、税関吏に穿じり返された荷物の始末をしている。嬢はじっとそれをながめていた。やっと後片付けも終ると
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
内新好ないしんかうが『一目ひとめ土堤づゝみ』に穿ゑぐりしつう仕込じこみおん作者さくしや様方さまがた一連いちれんを云ふなれば、其職分しよくぶんさらおもくしてたふときは扇子せんす前額ひたひきたへる幇間だいこならんや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
だが凡、こんな風にわれ/\の理会力を逆立て、穿アナグり考へて見ても結局、到底わからない、と溜息を吐かせるに過ぎない。
詩語としての日本語 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
なす(寝) いそはく(<イソふ) またく(<待つ) はやす(<ゆ) こらす(<懲る) うがつ(<穿く) わがぬ(<曲ぐ) おさふ(<圧す) たゝかふ(<叩く)
日本品詞論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
孟獲、旗ノ下に、捲毛ケンモウ赤兎セキトノ馬ヲオドラセ、カシラ羽毛ウモウ宝玉冠ホウギョッカンヲ載キ、身に瓔珞ヨウラク紅錦コウキンノ袍ヲ着、腰ニ碾玉テンギョクノ獅子帯ヲ掛ケ、脚ニ鷹嘴ヨウシ抹緑マツリョクノ靴ヲ穿ウガツ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)