“真中”のいろいろな読み方と例文
旧字:眞中
読み方割合
まんなか89.5%
まなか7.4%
ただなか1.1%
さなか0.5%
たゞなか0.5%
みなか0.5%
もなか0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこへ、中仕切なかじきりの障子が、次のあかりにほのめいて、二枚見えた。真中まんなかへ、ぱっと映ったのが、大坊主の額の出た、唇のおおきい影法師。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余は空を仰いで町の真中まなかたたずんだ。二週間の後この地を去るべき今の余も、病むからだよこたえて、とこの上にひとり佇ずまざるを得なかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
城山のふもとにてく鐘雲に響きて、屋根瓦のこけ白きこの町のはてよりはてへともの哀しげなる音の漂う様はうお住まぬ湖水みずうみ真中ただなかに石一個投げ入れたるごとし。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
鮎猟の真中さなかに一時しよぼ/\と雨をふらしてゐた陰鬱な梅雨空にもいくらか雲の絶え間が出来て、爽かな星の影さへ覗いてゐた。
草いきれ (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
栄子が何うして三人の子供まで取られたうへに、実家からさへもうとまれて独りで世のなかの真中たゞなかおよぎ出さなければならなかつたかと云ふ事情が、段々明かになつて来た。
質物 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どほくの野にも逢はなむ心なく里の真中みなかに逢へるせなかも (同・三四六三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
一月いちぐわつの冬の真中もなかにくろぐろと蝌蚪おたまじやくしはかたまるあはれ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)