“ただなか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
只中55.2%
中央10.3%
唯中10.3%
直中6.9%
真中6.9%
忠脩3.4%
正中3.4%
眞中3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
曲角まがりかどの青大将と、このかたわらなる菜の花の中の赤楝蛇やまかがしと、向うの馬のつらとへ線を引くと、細長い三角形の只中ただなかへ、封じ籠められた形になる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
明しつ暮しつ長き年、月日は今日にいたるまで、待てども助くる人無ければ、最早忍び兼ねて宵のほど、壁にかしらを打砕きて、自殺をせんと思い詰め、西向の壁の中央ただなかへ、ひしと額を触れけるに
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その名のとおり、夜の幕の唯中ただなかに、燦然さんぜんかがやく百光を浴びて城のように浮きあがっている歓楽の大殿堂だいでんどうは、どこにむべき吸血鬼の巣があるかと思うほどだった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何の罪咎つみとがもない身に一挺いっちょうの小刀すらも帯びぬ市民たちは、たちまち血煙立ててそこに数百人の死傷者を生じました。その阿鼻叫喚あびきょうかん直中ただなかへ、騎馬兵がさらに砂塵を挙げて吶喊とっかんしてきました。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
その真中ただなかにただひとつ、ぎすましたる悲愁かなしみ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
東西両軍必死に戦い、東軍では先鋒本多忠朝及び小笠原秀政忠脩ただなか親子戦死す。幸村は越前兵に突入した。此の日諸隊躍進いずれも先駆の功名にはやり後方の配備甚だ手薄だった。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
夕空にむらむらとたけの堂を流れて出た、一団の雲の正中ただなかに、さっと揺れたようにドンと一発、ドドド、ドンと波に響いた。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
塵にまみるる草原の、その眞中ただなかおそろしき
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)