“夥”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おびただ76.1%
おびたゞ17.4%
おびた1.2%
したた0.9%
おびただし0.5%
おび0.5%
おびたゝ0.5%
なかま0.5%
おお0.3%
したゝ0.2%
あまた0.2%
いか0.2%
いけ0.2%
おびだた0.2%
おほ0.2%
か0.2%
くわ0.2%
はなは0.2%
はなはだ0.2%
むれ0.2%
オビタダ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
吾々に支払う蚊の涙ほどの鑑定料が惜しいのかも知れないが、余計なところには一切喙(くちばし)を容(い)れさせないのだから詰まらない事夥(おびただ)しい。
無系統虎列剌 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
庭下駄を突つかけて外へ出ると、庭から、土藏のあたり、裏木戸の材木を漬けた堀、夥(おびたゞ)しい材木置場から、元の庭へ歸つて來ました。
「いや御覽(ごらん)の如(ごと)く亂雜(らんざつ)な有樣(ありさま)で」と言譯(いひわけ)らしい返事(へんじ)をしたが、それを緒(いとくち)に、子供(こども)の世話(せわ)の燒(や)けて、夥(おびた)だしく手(て)の掛(かゝ)る事(こと)などを色々(いろ/\)宗助(そうすけ)に話(はな)して聞(き)かした。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と田鶴子さんは最初は躊躇したが、草茶(くさちゃ)といって薬ですと聞くと、無暗に飲んだ。僕も名物のおこしを夥(したた)か食べた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の石榴(ざくろ)に四時過の西日の夥(おびただし)く輝けるを、彼は煩(わづらは)しと目を移して更に梧桐(ごどう)の涼(すずし)き広葉を眺めたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
夥(おび)ただしい死者が出て、大揺れの済んだ後、長兄は近くの男たちとその死体発掘作業に従い、ぼくより健康で利発な三ツ上の姉なぞ、その模様を見物にでかけたりしていたが
さようなら (新字新仮名) / 田中英光(著)
蔵石(ざうせき)に名の高き人近年夥(おびたゝ)し、余(よ)も諸家の奇石(きせき)を見しに皆一家の蔵(をさむ)る処三千五千種(しゆ)にいたる、五日十日の日を尽(つく)してやう/\眼(め)をふる㕝を得(う)るにいたる
車停むるところへ、はや馴れたる末の姫走り来て、「姉君たち『クロケット』の遊(あそび)したまへば、おん身も夥(なかま)になりたまはずや、」とわれに勧(すす)めぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
プリニウスはいわくバレアリク諸島に熟兎夥(おお)くなって農穫全滅に瀕しその住民アウグスッス帝に兵隊を派してこれを禦(ふせ)がんと乞えりと
それでも狡獪(かうくわい)な雀(すゞめ)の爲(ため)に籾(もみ)のまだ堅(かた)まらないで甘(あま)い液汁(しる)の如(ごと)き状態(じやうたい)をなして居(ゐ)る内(うち)から小(ちひ)さな嘴(くちばし)で噛(か)んで夥(したゝ)かに籾殼(もみがら)が滾(こぼ)された。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
撰(えら)びて立派に婚姻(こんいん)を取結(とりむす)ぶに二個(ふたり)は思(おも)ひ思(おも)はれし中なれば其親みは一方ならす男女夥(あまた)の子を擧(まう)けしに中なる一個(にん)は成長の後有馬家(ありまけ)へ召出(めしいだ)され家臣と成て大藤の家名を再興し武左衞門は一生を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しながら稼ぎに来る女は夥(いか)い事ありますが、彼(あ)の位(くれ)えなのは珍らしい女で、丁寧で口が利けねえのは余程(よっぽど)出が宜(い)いんですねえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
路頭に迷う人も世間には夥(いけ)えことあるが、仮令(たとい)一遍悪い事をしたって改心する時は直(すぐ)に善人だから、あんた全く私(わし)が罰だった、私(わし)に済まないと心附いたらば助けて上げやしょう
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
柱の状挿(じょうさし)には、主(おも)に東京から入って来る手紙や電報が、夥(おびだた)しく挿(はさ)まれてあった。米屋町の旦那のような風をしたその主人を、お島は不思議そうに眺めていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
花の品甚だ夥(おほ)きにや、享保の頃の人の数へ挙げたるのみにても六十八種あり。これもまた好み愛づる人の多くなれば、花の品の多くなり行くこと、牡丹などの如くなるものならん。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その人死して夥(か)の年を経たらんには、魂魄すでに散滅す。魂魄散滅して冤鬼とならんと欲するともよくせんや
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
某年に飯田安石が此夥(くわ)に加はつた。安石は朝急いで塾を出る時、偶(たま/\)脇差が見えなかつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
夥(はなは)だしい迄に楊花を詠った理由を知ったが、北支へ来て青島(大連へ来る前に僕は青島へも立ち寄ったのだよ)
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
原文の方はどうか分らぬが、写しの方は誤字誤文が夥(はなはだ)しく、振(ふ)り仮名(がな)等にも覚束(おぼつか)ない所が多々あって、到底(とうてい)正式の教養ある者の筆に成ったとは信ぜられない。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
随行の少年輩が一人飲み二人飲み、遂に先を争つて群り飲むに至つた。行き行きて岐路に逢ふこと数(しば/″\)であつたが、甘酒売は別れ去らない。甘酒の釜は此夥(むれ)の行厨(かうちゆう)の如くになつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
コノ地銀坑山ト曰(イ)ウハ、瀘水(ロスイ)、甘南水、西城水ノ三江繞(メグ)リ、地平(タイ)ラカニシテ北千里ガ間ハ万物ヲ多ク産シ、東三百里ニシテ塩井(エンセイ)アリ、南三百里ニシテ梁都洞(リョウトドウ)アリ、南方ハ高山ニシテ夥(オビタダ)シク白銀ヲ産ス。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)