“煩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
わずら46.5%
うるさ15.0%
わづら11.3%
うる10.6%
はん3.3%
わずらわ2.7%
わず2.3%
わづ1.3%
わずらい1.0%
わずろ1.0%
わづらひ0.7%
わづらは0.6%
むず0.4%
うるそ0.3%
くど0.3%
むづ0.3%
わざわ0.3%
わづらはし0.1%
むづか0.1%
うるせ0.1%
うれ0.1%
こちた0.1%
なや0.1%
はずら0.1%
ほお0.1%
むずかし0.1%
もだ0.1%
わずらっ0.1%
わずらひ0.1%
わづらい0.1%
わづらし0.1%
アツカ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何人なんぴとが進んでそのしょくに応ずるかはの知る限りでない。余はただ文壇のために一言して諸君子の一考いっこうわずらわしたいと思うだけである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分が邪魔でやりきれなくなったのである。まるでうるさい他人のように其処いらに煩い自分がふさがっていて、厭らしくうんざりした。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それからわづらひついて、何時いつまでつてもなほらなかつたから、なにもいはないでうちをさがつた。たゞちにわすれるやうに快復くわいふくしたのである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ故、私は是非とも受け入れて欲しいと思ふ程重要なことについては何時までも/\うるさいと怒鳴られる程続けたいと思つてゐる。
感想の断片 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
千句を示せとならば千句を示すべし。しかれどもそはいたずらはんを増すのみ。千句万句ことごとく皆この種の句たることを明言しなば則ち足らん。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ここにおいてわたくしは、外崎さんの捜索をわずらわすまでもなく、保さんの今の牛込うしごめ船河原町ふながわらちょうの住所を知って、すぐにそれを外崎さんに告げた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
場中じょうちゅうの様子は先刻さっき見た時と何の変りもなかった。土間を歩く男女なんにょの姿が、まるで人の頭の上を渡っているようにわずらわしくながめられた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
久し振でお目にかかつて何か申たい事は沢山たんとあるやうなれど口へ出ませぬは察して下され、では私は御別れに致します、随分からだをいとふてわづらはぬ様に
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は学校生活の時代から一種の読書家であった。卒業の後も、衣食のわずらいなしに、購読の利益を適意に収め得る身分を誇りにしていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うん/\成程此の宿屋に泊って居るうちわずろうてお供さんが…おう/\それはお心細いことで、此の村方へ御送葬ごそう/\になりましたかえ、それは御看経ごかんきんをいたしましょう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれは学校生活の時代から一種の読書家であつた。卒業ののちも、衣食のわづらひなしに、講読の利益を適意に収め得る身分みぶんほこりにしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の石榴ざくろに四時過の西日のおびただしく輝けるを、彼はわづらはしと目を移して更に梧桐ごどうすずしき広葉を眺めたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つい台所用に女房が立ったあとへは、鋲の目が出て髯を揉むと、「高利貸あいすが居るぜ。」とか云って、貸本の素見ひやかしまでが遠ざかる。当り触り、世渡よわたりむずかしい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——旦那さん、その虫は構うた事にはかないませんわ。——うるそうてな……」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
述懐はかへつて敬之進の胸の中を軽くさせた。其晩は割合に早く酔つて、次第に物の言ひ様もくどく、しまひには呂律ろれつも廻らないやうに成つて了つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
けづとき釣合つりあひひとつで、みづれたときかたちがふでねえかの、たてまればしやうがある、よこれば、んだりよ。……むづことではねえだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
安価なやくざな品であったからこそ、意識のわざわいに犯されていないのである。かかる絵を描かねばならぬ彼らの運命に、何の誇りをか感じたであろう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
今やその願足りて、しかもつひに饜きたる彼はいよいまつはらるる愛情のわづらはしきにへずして、むしろ影を追ふよりもはかなき昔の恋を思ひて、ひそかに楽むのあぢはひあるを覚ゆるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし、僕だつて、其様そんつめたい人間ぢや無いよ。まあ、僕に言はせると、あまり君は物をむづかしく考へ過ぎて居るやうに思はれる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
前様めえさま、今の住居すまいは、隣の嚊々かかあ小児がきい産んで、ぎゃあぎゃあうるせえ、どこか貸す処があるめえか、言わるるで、そん当時黒門さどうだちゅったら、あれは、と二の足をましっけな。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心洵に神にあこがれていまだその声を聴かざるもの、人知れず心の悩みに泣くもの、迷ふもの、うれふるもの、一言すればすべて人生問題につまづきずつきて惨痛の涙を味へるもの
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
他言ひとごとはまことこちたくなりぬともそこにさはらむ吾ならなくに」(巻十二・二八八六)。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
法然ほうねんの弟子親鸞しんらんも、同じなやみを持っていた。古来、事を成す人間ほど、生きる力の強い人間ほど、同時に、この生れながら負って来る苦しみも強くそして大きい。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
難船なんせん? それはなんですか、本船ほんせんにはえず海上かいじやう警戒みは當番たうばん水夫すゐふがあるです、あへ貴下きかはずらはすはづいです。』
その声にふと眼がさめた時、涙は実際彼のほおに、冷たいあととどめていた。彼はそれから身を起して、かすかな榾明ほたあかりに照らされた、洞穴ほらあなの中を見廻した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたいを口説く気で、うござんすか。まったくは、あの御守殿より、私の方が口説くにはむずかしいんだから、そのつもりで、しっかりして。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かますの煙草入を懐中ふところしまうと、しずかに身を起して立ったのは——あらためて松の幹にも凭懸よりかかって、すがって、あせって、もだえて、——ここから見ゆるという、花の雲井をいまはただ、あおくも白くも
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
モウ四月になったら外に出て歩くようになり、そのあいだに兄は僂麻質斯レウマチスわずらっり、私は熱病の大病後である、如何どうにも始末が付かない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私宅老妻は無事、おきやうとかくわずらひ申候。夏も秋もさむく候。此比このころ楊皮やうひ蕃名ばんめいキヤキヤとか申候)柴胡さいこ鼈甲等入候和解之剤たべゐ申候。堯佐妻げうささいもと無病人むびやうじん、寒邪に壮熱、其のち腹痛等にて打臥候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
何として何として、これはそなたに聞かすべき事でなし。我が心一ツのわづらいのみ、迷ひのみ。ああさてもさても世はなさけなきものなるかな、恋愛と功名、これはいかにしても両立し難きものにこそ。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
例のわづらしき人は今日もつ、しかもあだならずこころめたりとおぼしき見舞物など持ちて。はや一時間余を過せども、彼は枕頭に起ちつ、居つして、なかなか帰り行くべくも見えず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
沖縄の島も、北の山原ヤンバルなど言ふ地方では、行つても/\、こんな村ばかりが多かつた。どうにもならぬからだを持ちアツカうて、こんな浦伝ひを続ける遊子も、おなじ世間には、まだ/\ある。