おろち)” の例文
さて谷本博士は、『古事記』に、品地別命ほむじわけみこと肥長比売ひながひめと婚し、ひそかに伺えば、その美人おとめごおろちなり、すなわちかしこみてげたもう。
いまもなお道成寺には、おろちつかが残っているということである。一方、庄司の娘富子は、これがもとでついに病気にかかり、死んでしまった。
竜頭といふも恐ろしや、日高の川にその昔、おろちとなつたる清姫の、心もかうと。金色の、鱗に紛ふ、金鎖。くるくる帯に巻付けて。私の念力これこの通り、きつと覚えて、ござりませと。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「邪神は年経としへたるおろちなり、かれがさがみだらなる物にて、牛とつるみてはりんを生み、馬とあいては竜馬りゅうめを生むといえり、このまどわせつるも、はた、そこの秀麗かおよきたわけたると見えたり」と云っていましめた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そうかと思うと、生きながら鬼になる者もおります。楚王そおうに仕えた女官はおろちとなり、王含おうがんの母は夜叉やしゃとなり、呉生ごせいの妻は蛾となったのであります。
案のじょうそうであったか。この邪神は年を経たおろちである。かれの本性は淫蕩いんとうなもので、牛と交尾してはりんを生み、馬と交わっては竜馬を生むといわれている。