“辞”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
ことば40.4%
19.9%
いな15.1%
10.2%
ことわ4.8%
コト2.4%
ことわり1.8%
はな1.2%
いなみ0.6%
いら0.6%
いろ0.6%
ことは0.6%
こば0.6%
ごと0.6%
ぜりふ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小村は蟇口がまぐちから一枚の紙幣をつまみ出して相手に握らせた。放浪者はひどく辞退していたが、熱心な小村のことばに動かされてしまった。
流転 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
なかなかそんな者ではありません。を低うして迎えるべき人物でさえあるのです。それだけでも大きな意義があるではありませんか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こころ合はでもいなまむよしなきに、日々にあひ見てむこころくまでつのりたる時、これに添はするならいさりとてはことわりなの世や。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「残念だが、しかしそうした因縁だった人も、一度自分の決めたことだから後宮にはいることとは違った尚侍ないしのかみの職はめる必要がない」
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
渡し守は、彼が渡し舟に乗るのをことわらうとした。しかし、彼の腰にさしてゐる刀がこはかつたので、黙つて向かふ岸へ渡してやつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
此によつて……タテマツる物は、……横山の如く置き高成タカナして、天津祝詞の太祝詞事を以ちてたゝへ、コトをへまつらくと申す。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
山畠やまはたけにかけがへのないいねくさつては、餓死うゑじにでござりまする、総領さうりやうわしは一ばん働手はたらきて、かうしてはられませぬから、とことわりをいつて、やれくでねえぞ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな
岩沼卿いわぬまきょうよばせらるるたっとき御身分の御方おんかた、是も御用にて欧州に御滞在中、数ならぬ我を見たて御子おんこなき家の跡目にすわれとのあり難き仰せ、再三いなみたれど許されねばいなみかねて承知し
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
否ももわれはいらへじかにかくに人の心は人に任せめ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
もっとも些少さしょう東西ものなれども、こたびの路用をたすくるのみ。わがわたくし餞別はなむけならず、里見殿さとみどのたまものなるに、いろわで納め給えと言う。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
隣の老人は二三度ことはつて見たが、それでもあとでは四五杯受けて飲んだ。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
痛惻にへざるなり、彼等は高妙なる趣致ある道徳を其門にこばみ、韻調の整厳なる管絃を謝して容れず、卑野なる楽詞をて飲宴の興を補ひ、放縦なる諧謔かいぎやくを以て人生を醜殺す。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
今のお歌のもとごとを申しあげませう。此はお聞き知りにならぬ昔語りで御座る。だが、姫様にも深いかゝはりのあることえ。心を静めてお聴きにならねばなりませぬ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「あなた、私は身体が悪いんですから、もうお帰んなさいッ」そんな棄てぜりふをいっておいて、ついと先に立って駆けていった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)