“些少”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さしょう60.2%
すこし5.6%
いささか5.6%
ちつと4.6%
ちっと4.6%
いさゝか3.7%
させう3.7%
ちと2.8%
ささい1.9%
ほん1.9%
すくな0.9%
ささやか0.9%
さゝい0.9%
ちっとも0.9%
ちょっと0.9%
わづか0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
些少さしょうながら、席料の代わりに謝金を包みて床の間の上に置けり。また、別に残肴を入れたる折二箱あり。請う、晩酌の助けとせよ』
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
『音さん。四斗七升の何のと言はないで、何卒どうか悉皆すつかり地親ぢやうやさんの方へ上げて了つて御呉おくんなんしよや——わしはもう些少すこしりやせん。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つらつら観ずれば、人の命なるもの、たつとしと思えば、尊ときに相違なけれど、とうとからずと見る時は、何のまた些少いささかの尊さのあるべき。
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ぼくね、あのウだつてもね、先生せんせい、人だつて、大勢おほぜいで、みんな体操場たいさうばで、てんでになにかいつてるのをとほくンとこいてると、なにをいつてるのか些少ちつとわからないで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「全く、知らないです。いつて利益になることなら、何かくすものですか。また些少ちっとも秘さねばならない必要も見出さないです。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どうも是節は不景気でして、一向にういふものがけやせん。御引取り申しても好うごはすが、しかし金高があまり些少いさゝかで。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
所謂いはゆる幹事の才なる者は蓋し彼に於て始めて見るべし。之を聞く彼れの時事新報を書くや些少させうの誤字をも注意して更正することはなはだ綿密なりと。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
些少ちとどうも児戯に過ぎる……いずれ御蔵内の黄金なども、何処かへ移したことだろうがさて何処へ移したかな? これは是非とも調べなければならない
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この、おいたる婿と、しゅうとしゅうとめが、どうした事か、毎日の、どんな些少ささいな交渉でもみんな私のところへ、一々もってくるのだった。
「いや/\、それはそれ、これはこれ、たゞ些少ほんこゝろざしですから。……さあ/\わかしうかるをさめて。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
尾鰭をひれを付けて人は物を言ふのが常、まして種牛の為に傷けられたといふ事実は、些少すくなからず好奇ものずきな手合の心を驚かして、いたる処に茶話の種となる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二人は又、お吉に伴れられて行つて、本郷館で些少ささやかな土産物をも買ひ整へた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何所どこへ參りしぞととはれしかば女房何事か出來しゆつたいしたかと驚き今日は商賣用しやうばいようにて栗橋くりはしまで參りました故申刻過なゝつすぎには大方おほかたもどりませうしかし御役人樣へ申上ますわたくしの良人をつとは當年六十に相成りますが近所きんじよでもほとけ林藏と申て何も惡事は是迄これまですこしも致しましたことは御座りませんが些少さゝいなことは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから皆は室のうちを隅から隅まで調べました、格闘したらしい形跡など何処にも些少ちっともございませんでした。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのにくむべき感謝状を、かういつた上でも、裂いて棄てんか。やつぱりましいことはないが、些少ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちやあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宮は些少わづかなりともおのれの姿の多く彼の目に触れざらんやうにとねがへる如く、木蔭こかげに身をそばめて、打過うちはず呼吸いきを人に聞かれじとハンカチイフに口元をおほひて、見るはくるしけれども
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)