“はな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハナ
語句割合
花18.8%
話14.8%
離12.4%
放10.0%
鼻8.1%
華7.8%
洟5.2%
談3.2%
端2.8%
距2.0%
最初1.8%
鼻汁1.6%
咄1.4%
冒頭0.6%
噺0.6%
発0.6%
隔0.5%
縦0.4%
鼻洟0.4%
纏頭0.4%
初0.3%
桜花0.3%
葩0.3%
挿花0.2%
花牌0.2%
祝儀0.2%
花札0.2%
洟汁0.2%
鼻孔0.2%
談話0.2%
岬0.2%
涕0.2%
發0.2%
弄花0.1%
𡽶0.1%
濞0.1%
鼻涕0.1%
落花0.1%
生花0.1%
先頭0.1%
初手0.1%
劈頭0.1%
桜0.1%
涕汁0.1%
瓶花0.1%
発端0.1%
端初0.1%
纒頭0.1%
語0.1%
辞0.1%
鼻液0.1%
鼻腔0.1%
当初0.0%
花華0.0%
花骨牌0.0%
一端0.0%
二人談0.0%
光0.0%
八七0.0%
典物0.0%
初日0.0%
口0.0%
売却0.0%
山端0.0%
従0.0%
放免0.0%
樒0.0%
甚0.0%
発散0.0%
相談0.0%
秘花0.0%
絶0.0%
縱0.0%
花代0.0%
花子0.0%
角0.0%
解放0.0%
説明0.0%
談合0.0%
釈0.0%
釈放0.0%
頭0.0%
頴花0.0%
香花0.0%
黄0.0%
黄金0.0%
鼻涎0.0%
鼻面0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寶鼎(はうてい)金虎(きんこ)を存(そん)し、芝田(しでん)白鴉(はくあ)を養(やしな)ふ。一瓢(いつぺう)に造化(ざうくわ)を藏(ざう)し、三尺(さんじやく)妖邪(えうじや)を斬(き)り、逡巡(しゆんじゆん)の酒(さけ)を造(つく)ることを解(かい)し、また能(よ)く頃刻(けいこく)の花(はな)を開(ひら)かしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
番(ばん)ごと喧嘩(けんくわ)をして遣(や)り込(こ)めてやるのだが隨分(ずゐぶん)おもしろいよと話(はな)しながら、鐵網(かなあみ)の上(うへ)へ餅(もち)をのせて、おゝ熱々(あつ/\)と指先(ゆびさき)を吹(ふ)いてかゝりぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
越前(ゑちぜん)の府(ふ)、武生(たけふ)の、侘(わび)しい旅宿(やど)の、雪(ゆき)に埋(うも)れた軒(のき)を離(はな)れて、二町(ちやう)ばかりも進(すゝ)んだ時(とき)、吹雪(ふゞき)に行惱(ゆきなや)みながら、私(わたし)は——然(さ)う思(おも)ひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
といいながら、鉢(はち)をつかんで引(ひ)き上(あ)げますと、下(した)から人間(にんげん)の姿(すがた)が現(あらわ)れたので、びっくりして、手(て)を放(はな)して逃(に)げていってしまいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おばあさんは、いい香水(こうすい)の匂(にお)いが、少女(しょうじょ)の体(からだ)にしみているとみえて、こうして話(はな)している間(あいだ)に、ぷんぷんと鼻(はな)にくるのを感(かん)じました。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その広い座敷がただ一枚の絨毯(じゅうたん)で敷きつめられて、四角(よすみ)だけがわずかばかり華(はな)やかな織物の色と映(て)り合(あ)うために、薄暗く光っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ぼくとのことは、一回だけです。まるで強姦でしたが、途中からマリは抵抗はしなかった」洟(はな)をすすり、彼は早口にしゃべった。
演技の果て (新字新仮名) / 山川方夫(著)
さあ坊(ぼっ)ちゃん。きっとこいつは談(はな)します。早く涙(なみだ)をおふきなさい。まるで顔中ぐじゃぐじゃだ。そらええああすっかりさっぱりした。
黄いろのトマト (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
諏訪、上原の合戦では、糧道の先達(せんだつ)に道を教えなかったら、村端(はな)へ煙硝を仕掛け、一郡七カ村を跡方もなく噴き飛ばしてしまった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此処(ここ)は千葉県の外房海岸。俗に「不帰浜(かえらずはま)」という岩石峭立する荒磯から、二百ヤードほど距(はな)れた小島にある廃灯台であった。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
俺あ、今日の入れ札には、最初(はな)から厭だった。親分も親分だ! 餓鬼の時から一緒に育ったお前を連れて行くと云わねえ法はねえ。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
御承知の通り鼻汁(はな)をかむ時は、是非鼻を抓みます、鼻を抓んで、ことにこの局部だけに刺激を与えますと、進化論の大原則によって
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
イヤ……お勢じゃない叔母に咄して……さぞ……厭な顔……厭な顔を咄して……口……口汚なく咄(はな)……して……アア頭が乱れた……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
唐突ながら——と冒頭(はな)に自分でもことわってるとおり、いかにも唐突。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
公然単独(ひとり)で墓参に行くと、そこには必ず誰か彼女を待って居るものがあった、所謂誘拐される四日前も二人は遇(あっ)た、そして女は降りかかる結婚問題を噺(はな)したのだね
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
と、濁った呶号(どごう)を発(はな)つと一緒に、躍り上ったと見えたが、上段に振りかぶっていた一刀を、雪之丞の真向から叩きつけて来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
教師が教場に出ても志(こころざし)を遠きに着(つ)け、役人が執務するに、俗務のために没却(ぼっきゃく)されない、すなわち一言(ごん)に縮(ちぢ)めると、吾人(ごじん)が人格としてまったく世を隔(はな)れた思想をいだくと同時に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
王が縦(はな)つや鼠欲しさに妃に飛び掛かったから、王一切の物件を妃に渡し、妃これを象馬に積んで夫の従者を領して帰国した。
ぼろぼろの襤褸(つづれ)を着て、青い鼻洟(はな)を垂(た)らして、結う油もない頭髪を手拭(てぬぐ)いで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日田舎唄(いなかうた)を唄うころは無邪気であった。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ちょっと手土産(てみやげ)がわりという纏頭(はな)でも、百両千両はきれいにお撒(ま)きになるお大尽。おっかさん、どうでしょう?
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へへへ、こりゃどうも……。初(はな)はちょいと入り組んだ事件だったんですが、なにしろ、下手人が出て、腹を
顎十郎捕物帳:03 都鳥 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
散りかかる桜花(はな)の下道を背戸へまわって二階建ての母屋(おもや)、焼きつくような饗庭の視線を絶えず首筋に意識しながら、ここが奥座敷と思われるあたりへ出た。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
方々を歩いてみると、往々このイチハツを藁屋根の棟に密に列植してあるのを見かけるが、その紫葩(はな)を飜えす花時にはすこぶる風流な光景を見せている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「お目に掛れば解ります。何に致せ、おおお、まあ、梅が好く咲きましたぢやございませんか。当日の挿花(はな)はやつぱりこの梅が宜(よろし)からうと存じます。さあ、どうぞ此方(こちら)へお入り下さいまし、御遠慮無しに、さあ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
同じ顔ぶれがたいがい顔を揃へてゐて、麻雀の者、碁を打つ者、花牌(はな)をひく者、拳(けん)を打つ者、酒を飲む者。
外套と青空 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
金五郎から、祝儀(はな)もやってある。新之助が、福岡監獄に服役中、知りあいになった熊丸虎市(くままるとらいち)と、共同で、この、関西若手歌舞伎一座の興行をやっているのだった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
すこし小母が氣分の好い時には、池の金魚の見えるところへ人を集めて、病を慰める爲に花札(はな)を引いた。
眼の中に入れても痛くない位可愛がって、振袖を着せたり、洟汁(はな)を擤(か)んでやったりしているのであった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
早速履脱(くつぬぎ)へ引入れて之を当がうと、小狗(こいぬ)は一寸(ちょっと)香(か)を嗅いで、直ぐ甘(うま)そうに先ずピチャピチャと舐出(なめだ)したが、汁が鼻孔(はな)へ入ると見えて、時々クシンクシンと小さな嚔(くしゃみ)をする。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お父さんはお昼に神保(じんぼう)さんをお招き申した。何でも何とか町の地所を此人(このひと)に買わせるんだって、お母さんと談話(はな)していた。今日は料理人が馬鹿に意地が悪い。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小笠原嶋ブラボが岬(はな)に巻く渦のこほろこほろに故国(くに)ぞ恋(こほ)しき
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏(すそうら)をまくって涕(はな)をかみ、そうして其涕(それ)をうまくすり付けてしまう。余り涕(汁)が多いと筒(つつ)っ袖(ぽ)の方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
生は國歌を破壞し盡すの考にては無之日本文學の城壁を今少し堅固に致し度外國の髯づらどもが大砲を發(はな)たうが地雷火を仕掛けうがびくとも致さぬ程の城壁に致し度心願有之
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
神田で雑誌を出している友人の元へ、弄花(はな)に往くと云う細君と伴(つ)れ立って家を出て、二三日横浜あたりを遊び歩いて帰った日の細君の倒錯的な癖を彼は思いだした。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
夕方館の庭から沼に突き出た岬(みさき)の𡽶(はな)で、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の写生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、附近(あたり)の林で草花を折ったり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
「焦(じ)れッてえな、武大さんときたら。だから世間でいうんだよ。濞(はな)ッ垂らしの薄野呂(うすのろ)だッて。——見ねえな、おらの顔や手頸(てくび)を」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝つぼには落花(はな)の芥(あくた)が浮いたり沈んだりしていた。どこかで、老鶯(おいうぐいす)が啼きぬくのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顧客(とくい)先で、小野田が知合になった生花(はな)の先生が出入(ではい)りしたり、蓄音器を買込んだりするほど、その頃景気づいて来ていた店の経済が、暗いお島などの頭脳(あたま)では、ちょと考えられないほど
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それを先頭(はな)にして、夫人とお鶴とを乗せた車は順に砂地の道を軋(きし)り始めた。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おつそろしく斑(むら)のある文章だ! 一目で人間の書いたものでないことが分つてしまふ——初手(はな)はちやんとまとまつてゐたが、末の方で犬式に足を出してしまつてゐらあ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「今度ばかりは全く見当違いだったよ。権三郎と気が付いたら、劈頭(はな)から踏込んで縛るのに、三人の武家にばかり眼を付けて、とんだ手間取ってしまったよ」
「根岸にはお大名の別荘(しもやしき)が沢山あるけれど、加賀様のお姫さまがたは揃ってお美しかった。お前さん、桜(はな)の咲くころに、お三方(さんかた)もお四方(よかた)も揃ってお出(いで)になると、まるで田舎源氏の挿絵のようさね。」
「鼻汁(はな)をたらしていると、東京へ行って笑われるで、綺麗(きれい)に行儀をよくしているだぞ。」と、父親はお庄の涕汁(はな)なぞを拭(か)んでやった。気の荒い父親も旅へ出てからの妻や子に対する心持は優しかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その日はもう発端(はな)から晴れがましく、心を奪うようにできていた。
承った処では、居士だと、牡丹(ぼたん)のおひたしで、鼠は朝顔のさしみですかな。いや、お話がおくれましたが、端初(はな)から、あなた——美しい像は、跣足(はだし)だ。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五陵(ごりょう)の年少は 争って 纒頭(はな)を贈る
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
怪量は詳しく当時の模様を語(はな)した。時どき自分で可笑(おかし)くなると見えて大声を出して笑った。怪量を取り調べていた役人は同僚と何か相談した。そして、向き直って怪量を睨みつけた。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
滔々(たう/\)たる水路(すゐろ)五百余里(より)を流(なが)れて東海に入り、巨濤(こたう)に千倒(たう)し風波に万顛(てん)すれども断折(だんせつ)砕粉(さいふん)せず、直身(ちよくしん)挺然(ていぜん)として我国の洋中(おきなか)に漂(たゞよ)ひ、北海の地方に近(ちか)より、椎谷(しひや)の貧民(ひんみん)に拾(ひろは)れて始(はじめ)て水を辞(はな)れ
子供の時分に私はよく鼻液(はな)が出ました。それを兩方の袖口で拭きましたから何時でも私の着物には鼻液が干乾(ひから)び着いて光つて居りました。そればかりでなく、着物の胸のあたりをも汚したものです。
濛々とする秣草のほこりに噎せ反つて、私は眼や鼻腔(はな)をおさへたまゝ枯草の中へ打ち伏すのであつた。
剥製 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
微細(こまか)い奴は蚊帳の目をこぼれて、むらむら降懸(ふりかか)るものですから、当初(はな)一旦寝たのが、起上(おきあが)って、妹が働いて、線を手繰(たぐ)って、次の室(ま)へ電燈を持って行ったので、それなり一枚開(あ)けてあります。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……それでも、当初(はな)乗った時は、一つ二つ、席の空いたのがありました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皇后が、天平(てんぴょう)の美と信仰を代表さるる花華(はな)として仰がれていた証拠でもあろうか。かように奇(くす)しく美しい伝説のまつわっておらるる方は、わが国史でも皇后以外にはない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
天平(てんぴょう)の花華(はな)
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
奥座敷では、午後の慰みに花骨牌(はな)が始まった。お婆さんと主人が細君の相手に成って、病後を慰め顔に一緒に小さな札を並べていた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
花骨牌(はな)にも倦(う)んだ頃、細君は奥座敷の縁側の方から玄関の通い口へ来て佇立(たたず)んだ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……といって閨房(けいぼう)の灯(あかり)らしい艶媚(なまめか)しさも、ほのめいていない……夢のように淡い、処女のように人なつかしげな、桃色のマン丸い光明(こうみょう)が、巨大(おおき)な山脈の一端(はな)らしい黒い山影の中腹に
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その近傍(きんぼう)の或(ある)海岸の村に住んでいる二人の漁夫(ぎょふ)が、或(ある)月夜に、近くの峠を越して、深い林の中を、二人談(はな)しながら、魚類の沢山入っている籠を肩にして、家の方へ帰って来ると、その途中で
月夜峠 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
ジキタリスの紫の花弁(はなびら)は王冠につけた星のように曠野の中で輝いているし、紅玉(ルビー)色をした石竹の光(はな)は恰度(ちょうど)陸上の珊瑚のように緑草の浪に揺(ゆら)れながら陽に向かって微笑を投げている。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鎌の鼻といふのは鎌の八七(はな)、七と八を掛けて七八の五十六だ。千次郎はそれを八十七と思ひ込んだから、飛んでもない方へ行つてしまつた
そうして座頭は其代りとして、莫大な典物(はな)を頂戴した。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自分じゃ、この俺様ほど金持で気儘な人間はないと思ってるんだ。ロシヤからここへ追放されて来たとき、俺は初日(はな)からこう極めたんだ——何にも欲しくはねえ! ってね。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
後影(うしろかげ)を起上りながら、長二が恨めしそうに見送って居りましたが、思わず跣足(はだし)で表へ駈出し、十間ばかり追掛(おっか)けて立止り、向うを見詰めて、何か考えながら後歩(あとじさり)して元の上(あが)り口(はな)に戻り
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はい最(も)う何(な)にも彼(か)も売(う)り尽(つく)しましたが、此品(これ)は私(わたくし)の秘蔵(ひざう)でございますから、此品(これ)だけは何(ど)うも売却(はな)すことが忌嫌(いや)でございますから、只今(たゞいま)もつて麪桶(めんつう)代(がは)りに傍離(そばはな)さずに使つて居(を)ります。
山端(はな)に出た一人の獵師は、(彼の犬は平氣でさつさと先を急いでゐる)ちやうど彼のふり反つた鼻の先の、落葉松に話しかける。「やつたぜ、また」
霾 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
子、魯の大師に楽(がく)を語(つ)げて曰く、楽は其れ知るべきなり。始めて作(おこ)すとき翕如(きゅうじょ)たり。之を従(はな)てば純如たり。皦如(きょうじょ)たり。繹如(えきじょ)たり。以て成ると。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「露八。ここを放免(はな)してやっても、まさか貴様、またお蔦のところへ、二度と帰るのじゃあるまいな」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立去り我が家へ歸り神(かみ)へ祈(いの)りしことも贅(むだ)とも成しとて夫より只管(ひたすら)菩提(ぼだい)を吊(とふ)らはんと思ひ樒(はな)を供へ香を燒(たい)て只々一途に後生を願うて居(ゐる)所に其夜丑刻(やつどき)頃と思ふ折しも表の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恰も我が力なく能なく弁なく気なきを罵るに似たり。渠(かれ)は斯の如く我に徹透す、而して我は地上の一微物、渠に悟達することの甚(はな)はだ難きは如何ぞや。
一夕観 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
色や馨(かお)りを悩ましいまでに発散(はな)すように、栞も、恋心を解放(はな)し、にわかに美しさを加えたのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
寄(よ)せてお前(まへ)さまは何故(なぜ)そのやうに御心(おこゝろ)よわい事(こと)仰(おほ)せられるぞ八重(やへ)は元來(もとより)愚鈍(ぐどん)なり相談(はな)してからが甲斐(かひ)なしと思(おぼ)しめしてか馴(な)れぬ御使(おつか)ひも一心(しん)は一心(しん)先方(かなた)さまどの樣(やう)な御情(おなさけ)しらずで有(あ)らうとも貫(つらぬ)かぬといふ事(こと)ある樣(やう)なし何(なに)ともしてお望(のぞ)み屹度(きつと)叶(かな)へさせますものを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むつみあふことなき愛に秘花(はな)濡れて素直に君は妻と云ひ添ふ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
あるいは有能(ちからあるもの)、あるいは今ある者、あるいは後(のち)あらん者、或は高き或いは深き、また他の受造者は我(われ)らを我主イエスキリストに頼(よ)れる神の愛より絶(はな)らすこと能わざる者なるを我は信ぜり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
マリウス敗れて此河岸に濳み、萬死を出で一生を得て、難を亞弗利加(アフリカ)に避けしが、その翌年土を捲きて重ねて來るや、羅馬府を陷いれ、兵を縱(はな)ちて殺戮(さつりく)せしむること五日間なりき。
と聞くと、何家(どこ)の妓(こ)も逃げを張って、花代(はな)に依らず、座敷へ出てがない。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「困(こま)ったわね、正(しょう)ちゃん。」と、花子(はな)さんがいいました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
シエッペラアクは、自分の家であった洞窟を出て、始めてその小さい流れを越え、巌石の角(はな)を曲がった時、彼は自分の下に輝いている現世の平野を見下ろした。
人馬のにひ妻 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
色や馨(かお)りを悩ましいまでに発散(はな)すように、栞も、恋心を解放(はな)し、にわかに美しさを加えたのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この馬(うま)に乘(の)りしが大將(たいしやう)と説明(はな)せば、雀躍(こをどり)して喜(よろこ)び、僕(ぼく)も成長(おほきく)ならば素晴(すば)らしき大將(たいしやう)に成(な)り、賊(ぞく)などは何(なん)でもなく討(う)ち、そして此樣(このやう)に書物(ほん)に記(か)かれる人(ひと)に成(な)りて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ただ月輪殿に会って、談合(はな)したい事件(こと)があって、それも前々から手紙をよこしたうえで来ているのだ。ところが、なんのかのといって、会わせねえから、ここで当人を捕えたという仔細。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがひどく阿英に似ているので、嫂は珏にそういって傍へいって験(しら)べさした。果してそれは阿英であった。珏はうれしくてうれしくてたまらないので、そのまま臂(て)をつかまえて釈(はな)さなかった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
きょうの正午(ひる)過ぎに釈放(はな)された上に、舟まで返してもろうた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こたびは潮(しほ)の頭(はな)の事とて忙しきまで追ひかけ追ひかけて魚の鉤に上り来れば、手も眼も及びかぬるばかりなり。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
頴花(はな)青じろき稲むしろ、 水路のへりにたゝずみて
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
型の通りお墓の前に香花(はな)を捧げ、本堂に立寄られるまでは無事でございましたが、今度は本堂裏のお位牌堂にお参りしたいと仰しゃるのでございます。
蛇性の執念 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「今急(と)くこの水門(みなと)に往きて、水もちて汝が身を洗ひて、すなはちその水門の蒲(かま)の黄(はな)七を取りて、敷き散して、その上に輾(こ)い轉(まろ)びなば、汝が身本の膚(はだ)のごと、かならず差(い)えなむ」
『淀屋が何じゃ……浮橋、皆を呼べ、黄金(はな)を撒(ま)いてやろうぞ、奥の座敷に、負けぬ黄金を』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついでだから説明しておくが、鼻垂先生とあだ名のついた理由は、鼻腔膜炎で、鼻の手術を受けた後、毎日ハンカチを五枚も換えるくらい、鼻涎(はな)を垂れるからである。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
まだ生々(いきいき)としている小さな金壺眼(かなつぼまなこ)は、まるで二十日鼠(はつかねずみ)が暗い穴から尖(とん)がった鼻面(はな)を突き出して、耳を欹(そばだ)てたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か